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2005年 12月 11日

専門家活動の紹介(3)局内セミナー

専門家の技術移転活動としてセミナーは非常に重要なものです。測定データから異常値の発生を防ぐための次の手段は、データを見る目を担当者に養わせることです。そのためには大気汚染がどうして起きるのかということを理解してもらわなければなりません。週に2回、セミナーを開催することにしました。

大気汚染物質の発生源、気象条件、大気汚染発生メカニズム、大気汚染の拡散計算などについて半年にも及ぶセミナーにより技術移転を行いました。受講者は二人の技術者ですが、最後まで受講してくれました。イラン人は大変頭がいいので、こういう技術移転は比較的スムースに進めることができます。

煙突や道路からの大気汚染物質の拡散計算について、エクセルを使って実際に計算をしてもらうのですが、それほどの困難もなく実行することができました。その結果、大気汚染の拡散の様子がよく理解できたと言っていました。講義だけでなく実際の演習が大事だということですね。

データを見る目が養われたら、その次はいよいよ大気汚染物質の測定データ管理です。これまでのようにただ測定したものをそのままにしている状態からの脱却を図らないといけません。どこの国でもそうですが、ただ義務として余分な仕事を与えたのでは技術移転は上手くは行きません。そうは言っても、仕事が楽になるからマスターしなさいというインセンティブだけは与えたくないと思っています。

(セミナーの様子)
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局内セミナーの他、実際に車種別の交通量や走行車両の速度を測るという現地調査を企画し、テヘラン州局のスタッフたちと一緒に24時間野外調査をしました。もちろん調査結果と大気汚染測定結果とを照らし合わせ、各種気象条件を入れて大気汚染物質濃度の変動を説明するということもやりました。

目に見えない大気汚染ですが、実際に野外調査などを行うことにより、イラン環境局と日本の専門家とが一緒になって大気汚染防止対策に取り組んでいるということを、テヘラン州局の大気汚染担当以外のスタッフたちも実感したことでしょう。

局内セミナーで交通量などの調査結果を使って、環境濃度、大気汚染のメカニズムを講義したことは言うまでもないことでしょう。

セミナーの結果、州局のスタッフはもちろんなのですが、一番中身を理解したのが通訳をしたアシスタント(秘書)だったことは驚きです。気象、物理、数学、これらを苦にせずに中身を理解したのには驚きました。このアシスタントのお陰で、私の仕事は比較的スムースに進ませることができたと言えます。

(交通量調査の説明会)
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(車種別交通量調査・昼間)
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(車種別交通量調査・夜間)
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(車種別交通量・車速調査)
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(つづく)
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by elderman | 2005-12-11 13:13
2005年 12月 10日

専門家活動の紹介(2)業務開始

問題点を発見したところで、次は問題解決のためのアプローチです。どうして測定値に異常値が多いのかを調べなければなりません。メンテナンスを委託されている会社の技術者と原因究明をしました。その結果、スペアパーツが古く、故障が起きると、部品調達までに時間が掛かり、異常値が放置されると言う問題もありました。その他、測定レンジの調整のための標準ガスが期限切れだったり、停電による不具合などの問題が明らかになったのです。

(サンプリング・チューブのチェック)
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(コンバーター不具合の修理)
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専門家としての対応:
・スペアパーツの手配、十分な予算の手当てについて州局長に文書で要請
・当座の測定精度の向上のため、必要最低限のスペアパーツの購入手配
・C/Pに対して異常値発見のための常時監視の必要性の提案

テヘランの大気汚染発生源についても調査する必要があるので、主要な発生源について現地視察を行いました。自動車以外の市内にある大規模発生源は、発電所、製油所、セメント工場、煉瓦工場がありましたが、テヘラン全体に影響を及ぼすほどのものではありませんでした。テヘランの大気汚染は自動車交通公害であることが確認できました。

(製油所)
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(セメント工場)
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(煉瓦工場)
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テヘランの大気汚染の発生機構を知るためにはこの地域の気象情報が重要です。私は気象局を訪問し、この地域の気象特性について情報収集をしました。その結果、この地域の季節風、乾燥の理由などを知ることができました。砂漠気候の地域ですから、東京と同じ緯度だと言っても同じ特徴を持っているとは限りません。実際、アルボルズ山脈とザクロス山脈の存在は大きな影響を持っているのでした。カスピ海のあるアルボルズ山脈の向こう側では日本のような気候であることを知ったのもこの時でした。

(気象局)
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(つづく)
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by elderman | 2005-12-10 14:50
2005年 12月 09日

専門家活動の紹介(1)テヘラン州局

初めての国イランでの仕事の開始です。2002年1月7日にテヘランに到着しました。雪のぱらつく寒い冬の夜のことでした。派遣先の環境局テヘラン州局はテヘラン市の東端にあります。私は到着後1週間でアパートをみつけ賃貸の契約をしました。アパートから州局までは約25kmの距離です。通勤ではテヘランの端に向かうことになり、朝夕の渋滞とは反対方向なのでこの点ではラッキーでした。高速道路なので30分の通勤時間です。

(環境局テヘラン州局)
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(副大統領(左)と州局長(右))(当時)
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仕事の方は、まずはC/P(カウンター・パート)と呼ばれるイラン側の相方の紹介から始まります。このC/P当初は一言も英語を話さなかったので、この先どうなることかと心配しました。そこでペルシャ語の分からない私は、早速秘書兼アシスタントの女性を雇いました。

(C/Pとアシスタント)
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当初は本館に執務室が与えられましたが、そのうち日本人開発調査チームも業務を開始することになったので、日本人グループには別館の方にオフィスが与えられました。私もそちらにオフィスを移していよいよ業務開始です。業務の方は、まず現場の様子を知り、それからイラン側との協議の上ワークプランを作成します。

(別館)
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(執務室)
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(大気汚染測定局)
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テヘランの大気汚染測定の実態を視察し、その測定結果をみると、信じられないような数値が並んでいました。私がC/Pに「この測定結果では信頼性がない」と言うと、C/Pの答えは「ないよりまし」というものでした。これが私の仕事のスタートになったのです。

政府がやっている測定値で「ないよりまし」というのはないだろう、測定値が実際より低ければ住民を危険に曝すし、高ければ嘘をついたことになり信用を失うことになる。ということで、信頼できる大気汚染の測定値の管理というのが、私の仕事の大きな課題になったのでした。

(つづく)
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by elderman | 2005-12-09 19:11