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えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 25日

遥かなる遺産 Part5(4)

黒塗りの大型ベンツが止まった。運転席と助手席から男が二人降りて来た。助手席の男が後ろのドアを開けた。降りて来たのは、やや小柄で小太りの坊主頭の男である。3人は、サングラスをかけ、黒いシャツに、黒いスーツを着ている。ネクタイは暗い色である。

運転席から降りて来た男が、門にあるインターフォンのボタンを押した。それから1分もしないうちに、チャガタイとその部下が門のところにやって来た。

「ボス・有馬、ホシュアマディード、ハレショマーチェトレー?」
「日本語で話せ、何を言ってんだか分からん」

坊主頭の男は、チャガタイの握手を無視して、ポケットから葉巻を出すと、先端を喰いちぎった。一本が1万円もするハバナである。脇にいる黒い服の男は、すかさずジッポのライターを差し出し、葉巻に火を点けた。

全員がチャガタイのオフィスに入ると、話が始まった。坊主頭は、黒い服の男の通訳を介して話を聞いている。

「ブツの取引の方は順調らしいな」
「へい、警察とは仲良くしていますんで」
「需要は増加している。アフガニスタンからはどうだ?」
「へい、一時は減りましたが、今は持ち返してまさあ」
「よし、引き続き頑張ってくれ」
「へい」
「で、UFOとやらはどうなった?」

坊主頭にこの話をされて、チャガタイは当惑した。どうして知っているのか、部下がボスに知らせたのだろうか・・・ チャガタイには、UFOの伝承とそれを探し始めたときの記憶しかないのだ。

チャガタイの代わりに部下がミニ・シャトルのことを話し始めた。アツーサのこと、誘拐のこと、催眠術にかけられたこと、カスピ海でのこと、それらを話した。話を聞き終えて、坊主頭は言った。

「そうか、ミトラの分身が出現したのか・・・」
「へい、アツーサの目を見ないようにはしたんですが」、チャガタイが答えた。
「バカめ、記憶まで消されおって」
「面目ない」
「ミニ・シャトルはどこかにある」
「またアツーサの子供を誘拐してみましょうか?」
「いや、やつらにミニ・シャトルを使わせるのがいい」
「というと、いずれ宇宙船に接近しようとするってことだよ」
「宇宙船?」
「ああ、母船だな。ミニ・シャトルは短距離移動か作業用だ」
「なるほど」
「動き出さなければ、動かなければならないようにするまでだ」

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。

by elderman | 2007-11-25 05:55


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