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えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 16日

遥かなる遺産 Part4(9)

マツダがコクピットでミニ・シャトルを操縦している。アリマは、スルガ艦長と一緒に船外活動中であった。ミソラは母船の中で彼らの活動を見守っている。太陽光が船外作業中の二人のヘルメットに当たり光彩を放っている。

「アリマ、どうだ、分かるか?」
「エンジンに不具合があるようには見えません」
「動力装置にも異常は見当たらなかったんだ。よく調べてくれ」
「はい、よく見てみます」
「このままでは帰還できないぞ」

その瞬間、異常な強さの太陽風が襲って来た。マツダは、計器類にしたたかに頭をぶつけてしまった。ミニ・シャトルは二、三回転したようだった。

「うわっ、何だこれは!」

母船は動じなかったが、ミニ・シャトルの外はもっと大変であった。

「艦長、アリマ、大丈夫ですか~!」

母船のミソラが、ミニ・シャトルを見ながら、マツダに通信して来た。

「マツダさん、大丈夫ですか?大変です。アリマさんが、気絶しています。艦長の姿が見えません」

マツダが、ミニ・シャトルの態勢を整えて船外を見ると、アリマがフワフワ浮いている。艦長の姿は見当たらない。よく見ると艦長の命綱が切れているのが見えた。スルガ艦長は、命綱が切れて宇宙空間に飛ばされてしまったようだ。

マツダは、急いで気絶しているアリマを回収した。マツダは、アリマが気がつくのを見て、直ぐにスルガ艦長を追いかけた。

しかし、艦長は既に暗黒の宇宙空間に消え去ってしまっていた。ミニ・シャトルで追いかけてみたが、一度宇宙空間に放り出された艦長を見つけることはできなかった。ミニ・シャトルの航続距離にも限界があった。

「スルガ艦長~!」

大声を出しても真空の宇宙空間では音波は伝わらない。艦長を失い、エンジンの修復うまくいかないまま、ミニ・シャトルは母船に戻った。

「仕方がない、あの青い惑星に緊急着陸することにしよう」



目を覚ました平山は、アツーサが再び夢をみさせたものと確信していた。

「変な夢だが、一体何のために?ミニ・シャトルを操縦方法を教えるために見せたのか?それにしても、宇宙船にいたのが3人ではなくて4人だったとは・・・」

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。

by elderman | 2007-11-16 00:00


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