えるだま・・・世界の国から

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2007年 10月 03日

遥かなる遺産 Part1(11)

次の日、シラーズの飛行場に着いた二人は、タクシーに乗り、そのままパサルガダエに向かった。ペルセポリスには帰りに寄るつもりでなのだ。一時間も走るとペルセポリスのある場所に差し掛かった。二人はそれを脇目にパサルガダエに向かったが、経路は川に沿って上流に向かうものだった。

平山は、戦乱が絶えなかったこととと思い、この古代都市が山に囲まれた天然の要塞のような場所ではないかと予想していた。ところが現地に着いてみると、そこは彼の予想していたよりもはるかに広大な平野であった。

パサルガダエに着くと遺跡らしいものが点在してみえた。そこはペルセポリスを見たことのある平山にとってはみすぼらしい遺跡に映った。キュロス大王の大きな墓もペルセポリスの全景から比べるとみすぼらしいと思えてしまうのだった。

「平山さん、こういう広大な場所に都市を築いたということは、既に強大な権力を持っていたということですね」
「そうでしょうね、外敵から都市を守る兵隊がたくさんいたってことなのでしょう」
「これだけ広いと農耕でもやっていけそうだが」
「南下してペルセポリスに出て行ったというのは、さらなる権力の拡大を図ったということなのでしょう」
「2500年前といえば、日本ではまだ縄文時代じゃないのかなぁ」

岡野が最初に興味を示したのは、ソロモンの牢獄と呼ばれるものだった。現場に書いてある説明によると名称は後世につけられたもので意味がなく、キュロス大王の息子のカンビュセスの墓だという説、拝火教の寺院という説、宝物館という説などが紹介されていた。岡野は注意深く観察していたが、この意味不明の施設が何であるか見当もつかないようだった。

割り合いおしゃべりな二人だが、この遺跡辺りからめっきり口数が少なくなった。2500年前の遺跡の中に佇むと自然と口数が少なくなるようである。二人の頭の中では往時の都市の姿とそこで活動する人々のイメージが浮かんでいるのかも知れない。

二人は、その後、王宮の跡、謁見の間の跡を見て、石柱に彫られたレリーフのところに行った。最初のレリーフは、人間の足と魚の模様を装った足と牛の足が彫られていた。陸と海とを支配する慈悲深い王であるということを表わしているという説明書きがあった。

王宮の跡でも謁見の間の跡でも、復元できない石柱の欠片が周囲に転がされていた。いずれ専門家がジグソーパズルを解くようにして復元を試みるのだろう。

二人が周囲を見渡すと、近くに一本の柱のようなものがあった。保存のためだろうトタンの屋根がつけられている。近づいてみると、そこには人の形をしたようなレリーフが施されていた。そのレリーフは、四つの翼を持つ天使のように見えた。岡野が呟くように言った。

「この頭にはいったい何を載せているのだろうか・・・」
「王冠にしてはかなり大きなもののように見えるけど」
「何か軽いものじゃないとこの大きさの冠は被れないだろうね」
「まさか鶏冠じゃないだろうし・・・」
「鶏じゃ、空は飛べないね」
「謎だらけだなぁ・・・ こうして実際に見ても、一体何なのか見当もつかない」

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。

(参考)パサルガダエにあるレリーフ
e0031500_845982.jpg

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by elderman | 2007-10-03 07:53


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