えるだま・・・世界の国から

elderman.exblog.jp
ブログトップ
2006年 06月 12日

浦島太郎の雑記(14)豊かさ

暇であること・・・ 現代日本人においては罪悪のような響きを感じます。「暇なやつ」、「どうせ暇なんだろ」というのは嘲りですね。無能だから暇なんだというような価値観が背後にあるのだろうと思います。

勤勉な日本人というイメージができたのは、太平洋戦争で完全に敗北してしまった日本、ゼロからのスタートを余儀なくされた訳ですから、それは仕方のなかったことでしょう。その後、経済大国といわれるまでに発展した日本ですが、今は勢いのついた車がその回転を止められないという様子に思えてしまいます。

私は約12年間に及ぶ発展途上国での仕事を終えて帰国したところですが、とにかく日本人は忙しい、慌しいと感じます。海外で単身赴任の生活をしていた私ですから、使用人がいて自分の時間がたくさんあったとは言えます。しかし、日本での忙しい感じというのはどうもそういうことではなさそうです。世の中全体が忙しく見えるからです。

私は豊かさというのは、個人の自由時間の確保だと考えています。いろいろなことが便利になり、旅行だって移動時間が短縮される、あらゆる努力がこの目的に向かって来たものと考えているくらいです。原始時代なら、時間の大半を食料の確保に割かなければいけなかったでしょう。それが今の日本では調理済みの食材がたくさんあって、食事の準備に掛ける時間は大変短くなっています。

イランやベネズエラでは、そのような調理済みの食材というものが少なく、食事の準備には2時間もかかるというのが通例です。タイでは外食しても安いので、キッチンのない生活というものがあるくらいですから、これは例外ですけどね。電気による全自動洗濯機、全自動食器洗い機、冷蔵庫、これらのものは食事の準備に掛かる時間の短縮のために開発されてきたのでしょう。

それなのに忙しいというのは一体全体どういう訳なのでしょうか。日常の雑用はどこの国でも変わらないことでしょうから、除外して考えてもいいようです。礼拝、式典など宗教や習慣から来る行事などは、日本以外の国々の方が圧倒的に多く、時間も長いのが通例でしょう。

となると、理由は仕事と娯楽ということになるでしょうか。サッカーのワールドカップに熱中できるということは平和なことであり大いに結構なことだと思いますが、これが日常では困ったことになるでしょう。仕事では、資源がなく、給与水準の高い日本ですから、どうしても長時間労働になるという宿命はあるのかも知れません。そして、日常的な娯楽というと、TVを挙げることができるでしょう。

一億総白痴化といわれたのはかなり前のことです。これはTVを見るということに対する批判でした。私はこれはかなり的を得たものと考えています。7時に起きて、仕事に行き、8時に帰ってくる。風呂に入り、夕食をして、TVを見て、12時頃に寝る。これでは一日中自由時間がないようなものです。夕食の時間が一家団欒の貴重な時間であるということはあるでしょう、しかし、これではほとんど自由時間がないということになってしまうでしょう。まぁ、日常なんてこんなものだという割り切りもできるでしょうし、現実的にそうかも知れません。

日本では高度に効率化された仕事の内容ですから、仕事している間にゆとりを持つことは難しいでしょう。ですから、帰宅してからの息抜きはもっとも重要なことになりますね。風呂に入って、晩酌をして、家族と話をし、TV番組で息抜きをする。現代の日本人にはとっても大事なことのように思われます。

サラリーマンは、週末になるとようやく休息の時間が得られることになるでしょう。それでも、エネルギーの余った人たちは、ゴルフやサーフィンに出掛けるということもするでしょう。私には忙しい状況というはずみ車が回転し続けているようにしか見えませんけど、外出した方が家にいるよりストレス発散になるというのが多いのかな。

それから、別な観点ですが、日本と他の国とを比較して思うことは、まず人口の多さです。アジアの国々の人口は他の大陸の国々に比較してものすごく多いですね。その中でも中国の大都市と日本は際立っていると思います。狭いところに大勢が一緒にいる、息が詰まりそうです。それで、マナーの悪さという、周囲が見えない、あるいは見ないという行為が現れるようになったのかも知れません。

改革、改革とさらに高度な効率化が求められているようですが、それらが実現した場合の弊害も考えないと、とんでもない落とし穴にはまる可能性があると私は思っています。それが現代人のライフスタイルだと割り切れる人はいいでしょうが、果たしてどうでしょうか。すべてのものが効率化し、生活に必要な活動時間が節約され、仕事ではさらなる効率が求められる。

たいして必要でもないサービスがどんどん提供され、物質欲を刺激するコマーシャルが流され、精神的な豊かさよりも物質的な豊かさを追いかける。マネーゲームに走る人、一攫千金を狙う人、いろいろな人が登場してきているようです。そして、勝ち組、負け組なんて表現まで登場してきました。

こんなストレスの多い社会では、凶悪犯罪や信じられないような犯罪が登場しても不思議でないような気がします。田舎と思われる地域でそのような犯罪が現れているということは、もはや日本全体の問題なのかも知れません。とは言うものの、今回、国内旅行として金沢と八丈島に行きましたが、まだまだ日本の良さが残っていると感じました。東京を離れて八丈島で仕事をしたいという人の気持ちも分かるような気がします。

高度効率化社会、自由時間を持てるための発展とは逆方向に進む日本、勤勉と言われ働き続ける日本人、誰かこのはずみ車を止められないものでしょうか。

いくら精神的に豊かな生き方ができると言っても、発展途上国ではしょうがないということはあるでしょう。そういう意味で、私が本当に豊かな国だと思うのは、ヨーロッパ諸国であり、特に北欧三国です。ただし、これらの地域の人口の少なさを考えると、人口過密の日本やアジアの国々に同じ発展を求めることは難しいと思われます。
e0031500_8185741.jpg

[PR]

by elderman | 2006-06-12 08:00


<< 八丈島の花(9)ヒメヒオウギズイセン      八丈島の花(8)ナンテン >>