えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 22日

遥かなる遺産 Part5(1)

平山は、いつものように5時半に起きて、書斎のデスクに向かい、電話回線でインターネットに接続し、電子メールをチェックした。すると、岡野からメールが来ていた。

メールには、宗教のことが書かれていた。

「ミトラ教は、アーリア人がミトラを神とした宗教で、イラン北西部にいたイラン・アーリア人のミトラ信仰が元になって、ミトラ教が作られた。その後、分派として拝火教が作られた。

「拝火教では、善の神アフラ・マズダと悪の神アーリマンが絶え間なく戦い、最後に悪は敗北し、世界は終末を迎え、人は最後の審判を経て救済されるという。

「ユダヤ人は拝火教から終末論を採用し、ユダヤ教を作り上げた。それがキリスト教にも受け継がれている。

「一方、インド・アーリア人は、ミトラ信仰を元に、土着の信仰を取り込んでバラモン教を作り、そこからさらにヒンドゥー教や仏教が作られた。仏教の「弥勒」の起源もミトラといわれる。

「ユダヤ教とキリスト教、それにイスラム教が同じ起源をもつことは周知のことであるが、ミトラ教まで遡ると、ヒンドゥー教や仏教まで同じ起源といえる。」

岡野は、ミトラ教の他の宗教に与えた影響について調べたようだ。そして、ミトラ教がすべての原始宗教の起源だったというのだ。

平山は、この1年間に自分たちがやったことが空恐ろしいように思えた。3,000年前に宇宙から来た3人によって人類全体が大きな影響を受けているのである。3人の肉体は死んでしまったが、彼らの伝授したもの、そのスピリットはしっかりと根付いているのだ。

宗教上では、善と悪との戦いと表現されているが、実際は精神科学と自然科学との戦いである。無秩序な武器開発のため多くの犠牲者を出したことから、自然科学を悪の権化とみなしたようだ。実際問題、野放しでの自然科学の進歩は怖いものである。アインシュタインは、核兵器の出現なんてまったく予想していなかったのだ。

一方、精神科学が勝り過ぎると、自然科学の進歩が止まってしまう。さらに、人々は客観的事実が伴わない理不尽な支配を受けることにある。歴史上、地球が丸いということ、地球が太陽を周回しているということが、事実として認められないという時代があった。

そして、もう一つの要素として社会科学の概念がもたらされている。法律による公平な扱いと秩序の維持、これは国の統治において大変有用なものであろう。しかし、この三要素があっても、依然として世界平和は実現できていない。

その後、地球に来たのは3人であったが、元々は4人のグループであったことが分かった。地球に辿りつけなかった一人の能力についてはまったく分からないが、3人を統率していたことから、三要素を統括できる可能性がある。平山は、この4人目の能力を知りたくてたまらない。戦争を回避するために不可欠な要素に思えるからだ。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-22 00:33 | Comments(2)
2007年 11月 21日

遥かなる遺産 Part4(14)

銃声が聞こえた。倒れたのはチャガタイであった。二人の男たちは逃げ出した。

「何があったんだ?」と岡野。
「私を見ないで撃てるはずがないでしょ」とアツーサが涼しい顔をして言った。
「他の人を撃つとは考えなかったの?」と平山。
「血がのぼれば、私を見るに決まっています」

チャガタイは死んだ訳ではなかった。アツーサが気絶させただけである。

アツーサが言った。

「その弁髪男を家に連れて来てください。完全に記憶を消してあげるから」
「うひゃぁ、怖い、怖い」と小声で岡野。
「ミスター・岡野、何か言いましたか?」
「いや、何でもありません」



テヘランに戻った平山と岡野が話をしている。

「平山さん、せっかくのミニ・シャトルだったけど惜しかったねぇ」
「どうだろうか、あれでよかったんじゃないかな」
「科学技術の進歩に貢献するだろうに」
「悪用されたら大変だ」
「平山さんは、ガリレオを認めない宗教者みたいかな」
「いや、自分たちで開発した技術ならまだしも、1000年も2000年も未来の科学技術なんて相当危険な代物になるだろう」
「そっか、我々がスルガ艦長、いや、ズルワーンの知恵を獲得するまでは危険過ぎるということか」
「残念ながら、それまでは戦争を避けることができないかも知れない」
「人類が賢くなることを期待しよう」



平山のオフィスでは、アツーサがいつものように珈琲を淹れている。軍隊はミニ・シャトルを盗まれても騒ぎ出さなかった。平山は、シャフィプール大佐が自分の責任問題になるのを恐れて、もみ消したのかも知れないと思った。

「アツーサ、ところで本物のミニ・シャトルはどこに隠したの?」
「え!ミスター・平山、どうして分かったんですか?」
「そりゃぁ、アツーサの考えていることくらい分かるよ」
「あらま、そうですか。うまくやったつもりだったんですけど」

(Part4 おわり)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-21 06:52 | Comments(4)
2007年 11月 20日

遥かなる遺産 Part4(13)

平山たちは宇宙船に接近できたが、3,000年もの年月は、カスピ海の湖底に厚い土砂の堆積をもたらしていた。ミニ・シャトルがあっても、これではどうすることもできない。宇宙船に到達するためには、海底油田の採掘ができるような設備がなければ不可能である。

ミニ・シャトルはカスピ海の水面に浮上した後、再びフワリと空中に浮いた。平山、岡野、アツーサの三人は無言であった。3人はそれぞれの物思いにふけっているようだった。ミニ・シャトルはアツーサの実家に向かった。そして、静かに玄関の前の広い庭に降り立った。

「平山さん、これからどうする?」、岡野が訊いた。
「まだ分からない」
「ミスター・平山、ミニ・シャトルを隠さないといけないんじゃない?」
「いずれ軍隊が発見するだろうな」
「ここにいてもしょうがないから、家の中に入って考えましょう」

3人は家の中に入った。突然の来訪にアツーサの両親は驚いたが、直ぐに笑顔を見せて3人を迎えた。

「平山さん、まだ宇宙船のことを考えているの?」
「いや、あれはもう諦めるしかないでしょう」
「じゃぁ、ミニ・シャトルのこと?」
「うん、どうすべきかってね」
「隠すしかないんじゃないの?」
「・・・」

その時、家の電話が鳴った。アツーサの父親が電話に出た。電話は、先日のカリムの誘拐犯からだった。ミニ・シャトルを渡さないと、カリムの命がないと脅かしてきているようだ。アツーサが父親に何か言っている。

「平山さん、ミニ・シャトルを渡すと答えました」
「アツーサ、そんなことをしていいのか?あれには現代にない科学技術がいっぱい集積されている、悪用されたらそれこそ大変だ」
「無傷で渡すとは言いませんでした」
「え!」
「あれがある限り、誘拐犯は何度でも狙って来るでしょう」

アツーサの強い決断に押されて、みんなは準備に掛かった。父親に頼んで爆薬を手に入れ、ミニ・シャトルをカスピ海に浮かべた。ミニ・シャトルの中には大量の爆薬が仕掛けられた。無線の起爆スイッチは、アツーサの手の中にある。ミニ・シャトルは次第に陸から離れていった。

準備ができてから1時間も経たないうちに、先日の誘拐犯であるチャガタイと二人の男が浜辺にやって来た。彼らはカスピ海に浮かんだミニ・シャトルをみつけたようだ。しかし、必死でアツーサを見ないようにしている。アツーサが叫んだ。

「危ないよ!」

アツーサが起爆スイッチを押した。ミニ・シャトルの内部からの爆発である。ミニ・シャトルは粉々になって飛び散った。

「なんてことをするんだ」

チャガタイが叫び、持っている拳銃をアツーサたちに向けた。

「ぶっ殺してやる」

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-20 00:58 | Comments(2)
2007年 11月 19日

遥かなる遺産 Part4(12)

「やったね、3,000年前のマシンがちゃんと動いている!」
「平山さん、どこに行くのですか?」
「決まっているじゃないか、カスピ海さ」

ミニ・シャトルは高く舞い上がった。地上ではこれを目撃した兵隊たちで大騒ぎしている。チャガタイもこの騒ぎに気がついて、車から出たが、もう後の祭である。ミニ・シャトルが飛び去る姿を見送るしかなかった。

「くそぉ!やつら、ミニ・シャトルを動かせたんだ!」

ミニ・シャトルは一気にアルボルズ山脈を越えて飛んだ。平山には、どういう仕組みなのかさっぱり分からないが、コクピットからの外の眺めは良好であった。

「アツーサ、宇宙船の位置は分かるかな?」
「今、調べています」

アツーサは後部座席から、コクピットにある計器をみている。

「その丸いレーダーみたいなのはどうでしょうか?」

平山が、スイッチを入れると黄緑色の光点が映し出された。

「ビンゴ!やったね、それが母船の位置だろう」
「平山さん、すごいね」、岡野が感心して言った。
「今の平山さんは、マツダですからね」、アツーサが微笑んで言った。
「それでは、着水の後、潜行しまーす」、平山の声は弾んでいる。

ミニ・シャトルは着水のため軽い振動を受けたが、順調であった。

「それでは、潜水して目標物に直進しまーす」、平山は快調であった。

ミニ・シャトルはどんどん深く潜行して行った。カスピ海の水深は、だいたい200mだが、深いところでは600mもある。水深の浅いうちは、太陽光のお陰で水中がよく見えたが、水深が増すにつれて暗くなって来た。

カスピ海は、アゼルバイジャン国の辺りで深くなっているようだ。ミニ・シャトルの水深は400mを超えている。

「そろそろ見えてもいい頃だが・・・」、と平山が言った。
「少し暗くなって来たね」
「湖底が見えて来ました」、とアツーサが言った。

薄暗いが湖底がなんとか見える。しかし、宇宙船の姿はなかった。

「おかしいなぁ、この先真っ直ぐのところにあるはずなんだが・・・」

平山は湖底にぶつかりそうになるまでミニ・シャトルを近づけた。しかし、それでも宇宙船の姿は見えない。そのとき、岡野が呟いた。

「ということは、宇宙船は湖の下ってことか・・・」

平山は、ミニ・シャトルの船首を上げて、Uターンした後、もう一度、黄緑色の光点を目指した。しかし、今度も見えたものは湖底でしかなかった。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。

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by elderman | 2007-11-19 00:10 | Comments(4)
2007年 11月 18日

遥かなる遺産 Part4(11)

「チャガタイさま、あいつらトラックをレンタルしようとしてますぜ」
「航空関係コンプレックスから出て来たところを待ち伏せるか」
「向こうにはアツーサがいますぜ」
「なーに、アツーサの目を見なければいいってことよ」
「見たらお仕舞い、またミニ・シャトルのゴーストをもらっちまう」
「嫌なことを思い出させるな」
「へい」
「ミニ・シャトル、米国かロシアに売れば儲かるぞ」
「そうですか?」
「知らない技術がいっぱい詰まっているんだ。1億ドルでも売れるだろうよ」
「うひゃぁ、すげぇ!」
「それにしても、モンゴルの伝承が本当だったとはなぁ・・・」
「へい、驚きです」
「それじゃ、行くぞ!」



運転手付きのレンタル・トラックで三人は、航空関係コンプレックスに向かった。こうなったら、仕事どころではない、世界の平和がかかっているのだ。

トラックが入り口に着いた。アツーサが守衛と話をすると、簡単にトラックは中に入れた。シャフィプール大佐のオフィスに直行する。大佐は不在だったが、秘書がいればどうにでもなる。ここでもあっさりと保管庫の鍵を手に入れた。

三人は保管庫に向かった。航空関係コンプレックスの入り口にはチャガタイの車が到着していた。チャガタイは、平山たちのトラックが出て来るのを待ち伏せする気でいる。

三人は保管庫の鍵を開けてライトを点けると、真っ直ぐにミニ・シャトルに向かった。平山がカバーを外すと、ミニ・シャトルは埃を被っているせいだろう、くすんだ灰色にみえた。

「ミスター・平山、動くかどうか調べてみましょう」
「そうだね、一応調べてみようか」
「ちょっと待ってね」

アツーサは、平山の目をじっと見据えた。平山は、簡単にミニ・シャトルの入り口を開けた。まったく扉など見えなかったところが開いたのだ。アツーサは、平山にマツダになりきれるように催眠をかけたのだった。

三人はミニ・シャトルに乗り込んだ。ミニ・シャトルには三人しか搭乗できないようだ。母船に常時一人が残る必要があるため、三人で十分ということなのだろう。平山が操縦席に座った。岡野とアツーサは後部座席である。

平山が操縦を試みると、ミニ・シャトルがフワリと浮かんだ。反重力装置が作動しているようだ。ミニ・シャトルは浮いたまま静かに前進した。

(つづく)

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by elderman | 2007-11-18 05:38 | Comments(4)
2007年 11月 17日

遥かなる遺産 Part4(10)

平山はインターネットでメッセンジャーサービスを使い、岡野と話をしている。

平山:そんなような変な夢をみたのだが
岡野:ミニ・シャトルの操縦方法は分かったのかい?
平山:それはなんとなく分かった
岡野:4人いたとは、驚いたね
平山:スルガって何者だろうか?
岡野:その一人のことが伝承で残っているかも知れないな
平山:3人の話題にならない方が不思議だね
岡野:そういうことだ 今調べてみる

岡野は、インターネットで検索をかけて調べているようだ。

岡野:アリマがアーリマンなら、スルガはスールガンかな?
平山:ミソラがミトラなら、トールガンかな?
岡野:いや ダメだ どれも該当なしだ
平山:拝火教で調べてみるよ
岡野:そんな名前の神様いたかなぁ
平山:ないなぁ

二人は必死で検索機能を駆使して、文献を探した。

岡野:あった これだ
平山:なに?
岡野:ミトラ教を調べたらズルワーン教というのがでてきた
平山:それは近いね
岡野:マツダとアーリマンの親 マズダとアーリマンの仲介役 なんて書いてある
平山:艦長だったけどな
岡野:中国語では、無上光明王というそうだ
平山:全知全能の神扱いみたいだね
岡野:死んでしまった人ならそういう扱いを受けるということは十分にありうるな
平山:後世 ミトラ教、拝火教、ズルワーン教といろいろ出現した訳だ
岡野:アーリマンだけは悪役だね(笑)
平山:今の時代はアーリマンに支配されているのかも
岡野:そうかも知れないな

ここで、平山はふと閃いた。

平山:ということは、スルガ艦長のことを調べれば、アーリマンの暴走を食い止められるかも
岡野:やはり宇宙船に行かないといけないってことか
平山:スルガ艦長の能力を調べれば、戦争を防げるかも知れない
岡野:逆に考えれば、地球にスルガ艦長が来なかったのが悲劇の始まりということか
平山:これで三人が分かれた理由が分かったような気がするけど
岡野:偉大な仲介役がいなくなったからか
平山:そう思う
岡野:3人分散の必然説はボツかな(笑)

(つづく)

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by elderman | 2007-11-17 15:44 | Comments(0)
2007年 11月 16日

遥かなる遺産 Part4(9)

マツダがコクピットでミニ・シャトルを操縦している。アリマは、スルガ艦長と一緒に船外活動中であった。ミソラは母船の中で彼らの活動を見守っている。太陽光が船外作業中の二人のヘルメットに当たり光彩を放っている。

「アリマ、どうだ、分かるか?」
「エンジンに不具合があるようには見えません」
「動力装置にも異常は見当たらなかったんだ。よく調べてくれ」
「はい、よく見てみます」
「このままでは帰還できないぞ」

その瞬間、異常な強さの太陽風が襲って来た。マツダは、計器類にしたたかに頭をぶつけてしまった。ミニ・シャトルは二、三回転したようだった。

「うわっ、何だこれは!」

母船は動じなかったが、ミニ・シャトルの外はもっと大変であった。

「艦長、アリマ、大丈夫ですか~!」

母船のミソラが、ミニ・シャトルを見ながら、マツダに通信して来た。

「マツダさん、大丈夫ですか?大変です。アリマさんが、気絶しています。艦長の姿が見えません」

マツダが、ミニ・シャトルの態勢を整えて船外を見ると、アリマがフワフワ浮いている。艦長の姿は見当たらない。よく見ると艦長の命綱が切れているのが見えた。スルガ艦長は、命綱が切れて宇宙空間に飛ばされてしまったようだ。

マツダは、急いで気絶しているアリマを回収した。マツダは、アリマが気がつくのを見て、直ぐにスルガ艦長を追いかけた。

しかし、艦長は既に暗黒の宇宙空間に消え去ってしまっていた。ミニ・シャトルで追いかけてみたが、一度宇宙空間に放り出された艦長を見つけることはできなかった。ミニ・シャトルの航続距離にも限界があった。

「スルガ艦長~!」

大声を出しても真空の宇宙空間では音波は伝わらない。艦長を失い、エンジンの修復うまくいかないまま、ミニ・シャトルは母船に戻った。

「仕方がない、あの青い惑星に緊急着陸することにしよう」



目を覚ました平山は、アツーサが再び夢をみさせたものと確信していた。

「変な夢だが、一体何のために?ミニ・シャトルを操縦方法を教えるために見せたのか?それにしても、宇宙船にいたのが3人ではなくて4人だったとは・・・」

(つづく)

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by elderman | 2007-11-16 00:00 | Comments(2)
2007年 11月 15日

遥かなる遺産 Part4(8)

「チャガタイさま、あいつら航空関係コンプレックスに入って行きましたぜ」
「やつらの仕事とは関係ないだろう。怪しいな」
「へい、そうなんで」
「それで、何かを持ち出したのか?」
「いいえ、そんな様子はありませんでした」
「情報収集かな、消えたミニ・シャトルの」
「そうかも知れませんね」
「やつらもミニ・シャトルを探しているのか、やはり盗掘されたようだ」
「へい、チャガタイさまの読みのとおりで」
「引き続きやつらの動きを監視していろ」
「へい」



「アツーサ、あのミニ・シャトル、飛べると思う?」
「さあ?」
「3,000年も経っているんだから、まぁ、無理だろうなぁ」
「・・・」
「あれを持ち出すには、クレーン付きのトラックで行かないといけない」
「そうですね」
「今回と同じように上手く行くかな」
「持ち出すとなるとどうでしょう」
「どこに持って行くかも問題だし、これは難題だなぁ」
「そうですね」
「でも、あそこにある限り安全と言えるのでは?」
「今のところは、そうですね」
「考えようによっては一番安全かも」
「そうでしょうか・・・」

このとき、自分たちの行動が弁髪のチャガタイを刺激してしまったことを二人は気がつきもしなかった。



「チャガタイさま、大変です」
「なんだ?騒がしい」
「軍事機密だそうです」
「だから一体何だって?」
「あの航空関係コンプレックスには未確認飛行物体の保管庫があるようです」
「なに!」
「ということは、あそこにミニ・シャトルがあるのか・・・」
「いや、そこまでは分かりませんが」
「分かるようだったら、あそこに眠っているということはないな」
「へい」
「しかし、軍隊が相手ではなぁ・・・ 警察なら何とかなるんだが・・・」

(つづく)

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by elderman | 2007-11-15 00:06 | Comments(0)
2007年 11月 14日

遥かなる遺産 Part4(7)

航空関係コンプレックスの入り口に日産パトロールが止まった。運転しているのは、シルダム氏だった。そして車の中には平山、岡野、アツーサの姿が見られる。シルダム氏が守衛と何やらやりとりとすると、車はあっさりと中に入れられた。

平山たちは、シルダム氏の後をついて行き、軍の本部の建物に入った。シルダム氏は、受付でシャフィプール大佐との面会を求めてた。大佐はコンプレックスの責任者である。案内の人が現れると、シルダム氏一行を3階に案内した。

3階に上がると、そこは広いロビーになっていて、軍服を着た男性が二人働いていた。シルダム氏たち4人は、そこにあるソファーで待機するように言われた。待つこと約10分、大佐の執務室の扉が開いて中から軍服の人が出て来ると、秘書の一人に中に入るように促された。

執務室の奥にいたシャフィプール大佐だったが、シルダム氏をみつけると一行を歓迎した。大佐はシルダム氏との再会を喜んでいるようだった。

アツーサが一緒にいるのだ、重大な軍事機密であろうが、簡単なことである。アツーサが優しく依頼しただけで、大佐は未確認飛行物体の保管庫の鍵を出し、案内人の手配をした。4人は案内人に先導され、シャフプール大佐にお礼を言って部屋を出た。

重大な機密事項であるはずだが、歩哨で守られた施設の中の警備はないようだった。平山には、保管庫には鍵はあるが、それ以上の仕掛けがあるとは思えなかった。案内人が保管庫のライトを点灯した。棚と床にいろいろなものが置かれていた。一見、ガラクタが置かれているようにしか見えない。

4人はバラバラにミニ・シャトルを捜し始めた。シルダム氏にはミニ・シャトルのことは知らせていないので、シルダム氏はなんとなく見回っているだけだった。ミニ・シャトルは車二台くらいの大きさである。バラされていなければ簡単にみつかるはず。

平山が一番奥にあるシートの被せられたものをみつけた。シートをめくるとそこには紛れもなくあのミニ・シャトルがあった。特別な関心をみせないように、平山はその場所から離れて、岡野とアツーサのところに行き、囁いた。本当は声を上げて喜びたいところだったが、二人とも顔色を変えないように努力していた。

案内人に礼を言って、シルダム氏の車で航空関係コンプレックスを出た。シルダム氏がアツーサに訊いた。

「どう?目当てのものはあったのかい?」
「いいえ、ありませんでした」
「そうか、残念だったね」
「いいえ、ご協力に感謝します」
「お安い御用だ。お役に立てれば良かったんだが」
「はい、またお願いします」
「ところで、空から降って来たものっていったい何なんだい?」
「私の実家の方で目撃されたものです。何かはよく分かりません」
「そうか、どこか他の場所に保管されているのかもしれないな」
「はい」

(つづく)

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by elderman | 2007-11-14 07:25 | Comments(2)
2007年 11月 13日

遥かなる遺産 Part4(6)

平山のアパートから見えるアルボルズ山脈、テヘランの裏庭にある山のようだが、標高が3,000mを越える立派な山脈である。夏の1か月の間だけ雪が消えるので、今は荒々しい岩山の姿を曝している。

テヘランの北側は高級住宅地が多い。アルボルズ山脈の麓から平山のアパートまで、緑の海の中から白い高層建築物が生えているように見える。テヘランは土地バブル経済のようで、不動産の物価は極めて高い。東京と比べる訳にはいかないが、一般のイラン人の所得ではとても買えない価格である。

したがって、この地区には外国人が多く住んでいる。平山が朝起きて来ると、犬の鳴き声が聴こえてくる。イスラム教徒は犬を好まないはずだが、この地区では犬をペットとしてだけではなく番犬として飼っていたりするので、かなりの数の犬がいるようである。

出勤前の平山がデスクに向かい、インターネットでメールチェックなどをしている。日本とは4時間半の時差である。秋分の日以降の時差は5時間半になる。半というのは聞きなれない時差だろうが、実際テヘランの位置が時間変更ラインの丁度真ん中にあるのでそう決められたのであろう。

平山のアパートでは衛星放送が受信できる。平山はペルシャ語放送は理解できないので、毎朝ユーロニュースを見ることにしている。日本のニュースはインターネットで見ることにしていた。米国がイラクを攻撃したときには、日本のニュースとユーロニュースの論調がかなり違っていた。ユーロニュースではかなり批判的な論調だったのに対して、日本のメディアは米国に賛同するものが多かった。

平山は日ごろから感じている。イランの人々はたいへん個性が強く、繰り返し自己主張する。会議では、他人の意見を聞いているようには思えないのだが、他人が意見を述べている間はおとなしくしている。平山は、イラン人の喧嘩をあまりみたことがない。日本人の方が怒りっぽいと思っている。

平山は暴力で暴力を抑えることはできないと思うし、イラクのような国に米国が入り込んだら、ますます混乱が拡大するだろうと思っている。戦争を仕掛ける前にもっと国民性を学んでおけばいいと思うのだが、今となってはもう遅過ぎる。米国は泥沼のような戦いに突入してしまった。

イラン人については一言では語れない。親切な人、権威主義な人、儲け主義の人、温厚な人、策略の好きな人、などなど本当に多様である。強いて分類するとすれば、貧しい人々、高学歴の中産階級、お金持ちということになるだろうか。貧しい人たちに政府は割り合い手厚い政策をとろうとしているが、貧しさから脱出させられるところまでは来ていない。

平山には、学歴のある中産階級の人々が一番苦労しているように見える。高いポストにつけても政府で働くのでは給料が安いため、もう一つ別な仕事をしなければならない。学歴の低い人は、共働きをしないとテヘランでは暮らせないだろう。

一方、テヘランの大バザールのあるところは活気に満ちている。平山は、イラン人は商売をしているときが一番元気なのかも知れないと思った。バザールの中に店舗を構えられる商人はお金持ちだということを聞いたことがある。

(つづく)

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by elderman | 2007-11-13 05:43 | Comments(2)