えるだま・・・世界の国から

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2007年 12月 15日

遥かなる遺産 Part6(7)

アツーサは薄暗い大きな鍾乳洞の中を先導して行く。アツーサは迷路のような通路を完全に理解しているのだ。アツーサにかかっては、心の中まですべて読まれてしまいそうだと平山は思った。

アツーサはしばらく進むと、止まって耳を澄ませた。平山はアツーサの指示に従い、近くの小さな脇道に隠れた。アツーサは聞き耳を立てている。平山には工場からの騒音しか聞こえないが、アツーサには何かが聴こえているようだった。

「ミスター・平山、ダルヴィシュとナスリンが話をしています」
「何を話しているの?」
「ちょっと待ってくださいね」

平山がアツーサを見ていると、アツーサが耳で聴いているのではないような気がした。耳を澄ますというよりも、一心に集中しているように見えたのだ。

「ハルマゲドンと言っています。イスラエルに核ミサイルを撃ち込んで、第三次世界大戦を招こうとしているのです」
「イランから核ミサイルがイスラエルに飛ぶなんてことになったらそれこそ・・・ でも、どうしてそんなバカなことをするんだ」
「ミスター・平山、ハルマゲドンってご存知ないですか?」
「世界の終末のことだろう、終末戦争のことだったかな?」
「今の世界、それを待っている人たちがいっぱいいます」
「バカバカしい。そんなのは狂信的な人たちだろう」
「終末戦争の後、人々が真に救済されると信じている人たちは大勢いますよ」
「でも、ダルヴィシュたちがそれを望むなんて・・・」

平山には信じられないような話だった。アツーサは続けた。

「彼女たちの目的は、ミトラとアーリマンの協力体制のようです。だから、ダルヴィシュはミスター・岡野のアーリマンがほしいのです」
「狂ったミトラの分身とアーリマンとの協力体制なんて、まさに最強、最悪だなぁ」
「ハルマゲドンによって強国が衰退し、その後に彼女たちの世界が来ると信じているようです」
「世界制覇かよ、狂っている・・・」
「ミスター・岡野を殺しても、アーリマンがダルヴィシュに憑依するかどうか分からないので、まだ殺さないでいるのです」
「なるほど、それで、岡野さんはどこにいるの?」
「まだ分かりません。彼の体力の弱るのを待っているのかも知れません」
「ということは、いずれダルヴィシュは岡野さんのところに行くということか?」
「それは間違いありません」
「時間の問題か・・・」
「待ちましょう」

平山は、とんでもない事件に巻き込まれたものだと思った。これが夢であったら覚めてほしいと願った。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-12-15 06:29 | Comments(2)
Commented by MAKIAND at 2007-12-15 10:21
なーるほど。こういうことだったのですか。
やっぱりSFです~^^
Commented by えるだま at 2007-12-15 16:30 x
MAKIANDさん、こんにちは。^^
あはは、どうしてもジャンル分けしたいようですね。
どのみちフィクションですから、サイエンスがついていても構いませんけどね。


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