えるだま・・・世界の国から

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2007年 12月 10日

遥かなる遺産 Part6(2)

いろいろなことがあったが、平山のイランでの2年の任期はもう直ぐ終わろうとしていた。日本からは平山の後任が派遣されることになっている。平山の仕事は終わった訳ではないが、遺した仕事は後任の人にやってもらうしかない。相手のある仕事である。平山だけが頑張ってもしょうがないのである。

平山とアツーサは、マジディ部長のオフィスに行って、紅茶をすすりながら話をしている。

「ドクター・マジディ。イランはどうして原子力発電が必要なのでしょうか?石油だけでなく天然ガスだって豊富にあるというのに」
「石油は輸出用に回したいのさ」
「なるほど、天然ガスの輸出には設備が大変だから、石油を輸出専用にですか?」
「そういうことだね」
「核兵器の開発についてはどう思います?」
「開発していると思うよ」
「え?そうなんですか?」
「いろいろな考えの人たちがいるからなぁ」
「国際的には核の平和利用だけだと説明していますけど」
「表向きはそうだが・・・」

平山はマジディ部長の推測だろうと思った。平山も核アレルギーというものを持つ日本人である。日本には多くの原子力発電所が稼動しているという事実にもかかわらずである。

平山には分からないことがあった。どうして、イランの現政権がイスラエルを敵視するのかということである。歴史的にはユダヤ人とは仲良くやって来ているのだ。ホメイニ師が敵視したらしいのだが、イラン人はアラブ人ではない。どうして、イスラエルという国を敵視するのだろうか。

平山は、強いて勘繰ると、イランという国はいまだに大国意識があり、中東という地域でリーダーという役割を意識しているのかも知れないと思った。アラブ人はイスラム教徒でもスンニ派であり、イランはシーア派という違った宗派である。シーア派は少数派だが、イランだけでなく、イラクにもアフガニスタンにもシーア派のイスラム教徒はいる。

しかし、どうしてイランがシリアやパレスチナに援助するのか、その理由が分からないのである。テヘランで特別な警察を見掛けることがある。メルセデスベンツのパトカーに乗っている警察官であり、一目で分かる。アツーサの話では、シリア方面で仕事をし、帰国した人たちだという。

テヘランでは、たまに特定の地区でデモがあるが、普段は大変治安がいい。多くの日本人が思っているような物騒な場所ではない。もっとも、地域によっては外国人を拉致する犯罪グループがあるということで、旅行を差し控えないといけない場所もあることも事実ではあるのだが。

ハジハディが隣の市のカラジから来ている女性職員に研修を行っている。平山はその様子を見て、必要な指導を行うべく、マジディ部長のオフィスを出て、ラボラトリーに向かった。平山は、イラン人による技術指導体制を固めておくことが何よりも肝心だと思っている。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-12-10 02:53 | Comments(2)
Commented by MAKIAND at 2007-12-10 10:41
えるさーん、最近お家のことが忙しいようですね。また様子を聞かせてくださいね~
Commented by えるだま at 2007-12-11 00:26 x
MAKIANDさん、こんばんは。^^
お気遣いありがとうございます。そうなんです。次男夫婦が家に来たのですが、新しい所帯が同居するというのは大変なことで、私の両親の不要なものを整理するのが大仕事なんです。(汗)


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