えるだま・・・世界の国から

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2007年 12月 06日

遥かなる遺産 Part5(15)

平山は、コントロールパネルのあちこちをいじってみた。しかし、宇宙船はうんともすんとも言わない。いったいどうやってパワーを”ON”にするというのだ。あの研究心の強い岡野が諦めたほどのこと、平山にできるとは思えなかった。

しばらくするとアツーサが戻って来た。平山は、やはりダメだったろうという表情でアツーサを見ると、アツーサの目が燃えていた。平山がアツーサのそんな目を見るのは初めてだった。

「ミスター・平山、私の目を見てください」

アツーサの言葉は否応なしの命令だった。その直後、平山は少し眩暈を覚えた。アツーサが続けて言った。

「さあ、もう宇宙船を操縦できるはずです」
「え?そんな・・・」

平山はアツーサの能力を知っているだけに半信半疑だったが、言葉に従い、目をつむり、心を無にするように努力した。私は・・・ マツダ・・・

平山は、パスワードを入力するとパワーを”ON”にした。宇宙船は死んではいなかった。コクピットの計器類にライトが点った。平山が叫んだ。

「アツーサ、シートについて!反重力装置始動!」

宇宙船は、静かに浮上を始めた。

「やったね!壊れていたのは、恒星間移動用のメイン・エンジンだったようだ」
「ミスター・平山、やっぱりね」
「アツーサには、『やっぱり』なのか・・・ でも、いいや。さあ、行くぞ!」

宇宙船は静かに水面まで浮上した。いや、水面以上の高さまで浮上した。

「ミニ・シャトルはどこかな?あ、これか」

パネルの表示板の一つが、岡野の操縦するミニ・シャトルの位置を示していた。まだ飛行中のようだ。

「岡野さん、どこに行く気なのだろう?」
「ミスター・平山、追いかけて!」
「ああ、そうするとも!」

宇宙船は、大きな加速度でミニ・シャトルを追いかけ始めた。ミニ・シャトルの移動速度とは比べものにもならないほど高速である。ミニ・シャトルは、あっという間に至近距離になった。カスピ海を抜け、ロシアの領地に入るところだった。

「待て!岡野!」
「いったいどうやって動かしたんだ・・・」

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-12-06 05:35 | Comments(0)


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