えるだま・・・世界の国から

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2007年 12月 05日

遥かなる遺産 Part5(14)

岡野はミニ・シャトルで行ってしまった。宇宙船に残された平山は、まだ起きたことが信じられないでいた。アツーサが口を開いた。

「ミスター・平山、ミスター・岡野はアーリマンのスピリットに乗っ取られたみたいですね」
「そんなことがあるものか」
「あの有馬という人が死んで、乗り換えたんじゃないでしょうか?」
「アツーサもミトラに乗っ取られているのかい?」
「まさか・・・、でも、ある意味では、そうかも知れません・・・」
「精神科学でいうとそうなるのか?私が思うに、岡野さんには、もともとそういう資質があったんじゃないかな」

平山は、岡野がこれまでに言ったことを思い出した。

「イランって悪の枢軸なんて言われているけど、世の中に悪がなくなったらどうなんでしょう?」
「楽をして儲けたい・・・なんて悪だと思うけど、そういう動機があるから技術が進歩したのでは?」
「戦争で多くの敵兵を殺したら、ヒーローになって勲章がもらえるでしょ」
「うーん、悪という部分も必要な要素なんじゃないかって気がするってことなんだけど・・・」

アツーサのことを見破ったのは岡野であり、魔女と言ったのも岡野だった。

平山は思う。しかし、今、そんなことを考えていてもしょうがない。400mの水深のところから脱出しなければいけないのだ。400mの水深というのは40気圧になる。どんな圧力かも想像できないし、それに耐えられたとしても、水面に達したら、目玉が飛び出してしまうかも知れない。

船内は少し息苦しい、宇宙人に合わせた空気の組成なのだろう。大きな宇宙船だから、窒息死するには相当時間が掛かるだろう。それなら、飢え死にの方が先に来るはずだ。

「アツーサ、さあ、どうするか?」
「この宇宙船ってエンジン故障しているけど、完全に動かないのでしょうか?」
「動かそうというのか?」
「やってみる価値はあるのでは?」

平山は、岡野は動かそうとしていたのかも知れないと思った。それがダメだから、ミニ・シャトルで逃げ出したのかも知れない。だから、あれほど自信たっぷりに「ここで死んでもらおう」なんて言ったのだろう。

ともあれ、他に手はないようだと、平山は操縦席に座った。ミニ・シャトルを操縦できるのは夢のせいだったが、宇宙船を操縦した夢はみたことがない。夢では、アリマが操縦していたのだった。

平山は、いろいろやってみた。多分、岡野もそうしたのだろうと思った。

「ミスター・平山、ホログラフィを調べて来ます」

アツーサは、ホログラフィのある部屋に行ってしまった。平山は、言葉が分からない状態で手掛かりが得られるとは思えなかった。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-12-05 00:22 | Comments(2)
Commented by MAKIAND at 2007-12-05 11:21
うーん。とうとう来ましたね。
Commented by えるだま at 2007-12-05 19:16 x
MAKIANDさん、こんばんは。^^
予想された線でしたか。(汗)
伏線が多過ぎたかな・・・・・


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