えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 29日

遥かなる遺産 Part5(8)

平山の心の中には大きなジレンマが生じた。宇宙船のことなど今回の事件に巻き込まれた自分のことは知りたい、しかし、そのために行動すれば敵の罠にはまるかも知れないのだ。しかし、敵の罠は巧妙だった。平山はその誘惑に抗うことはできないようである。

平山は考えている。こちらにはアツーサがいる。それでも敵に対抗する術があるのだろうか。アツーサは、あのサングラスが読心術あるいは催眠を防ぐプロテクターだという。アリマと名乗るだけのことはあるようだ。

「アツーサ、それで、ミニ・シャトルはどこにあるの?」
「さあ、どこでしょう?」
「こらこら、からかわないでほしいな」
「実家にあります」
「そうか・・・」

平山には不思議に思えてしょうがない。アツーサにはすごい能力があるというのに、自分にはそういうものは何もないのだ。それがどうしてこんな厄介な事件に巻き込まれなければならないのだ。たまたまアツーサを秘書として採用したから、そんな役割を負わされただけではないのか。

平山が、そうやって自分自身を納得させていたところに、アリマの使いがやって来た。彼のメッセージによれば、平山がイランに来るようになって、事件に巻き込まれたのは必然というような話なのだ。平山は、自分自身が選ばれなければならない理由はどこにもないと思った。

「アツーサ、実家に行こう。敵の罠でも構わない。アツーサの力を信じたい」
「そうですか、分かりました」

アツーサは、不本意ながら承諾するという態度だった。そもそも、こんな事件に巻き込んだのはアツーサじゃないかと思う平山である。



こちらは、葉巻の煙が充満した薄暗いオフィスの中である。黒服の男たちが話をしている。

「有馬組長」
「社長と呼べと言ってるだろうが」
「へい、すんません。では、有馬社長。やつら動き出しましたぜ」
「動かなければ、動かすまでよ。がはは」
「では、ヘリコプターにどうぞ」
「イラン人は、チャガタイだけを連れて行く」
「へい、分かりやした」



一方、航空関係コンプレックスのシャフィプール大佐のオフィス。大佐は秘書からの電話を受けている。

「例の日本人か。そうか。待機させてある部隊を出動させろ、尾行に気づかれるな」

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-29 06:50 | Comments(0)


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