えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 26日

遥かなる遺産 Part5(5)

平山が、岡野のアパートで話している。岡野がしみじみと言った。

「それにしても、3,000年もの間、壊れないマシーンというのはすごい技術だなぁ」
「電化製品の会社だったら潰れちゃうだろうけどね」
「使っていれば、消耗品には寿命があるだろう」
「使ってなくても、あちこちがおかしくなるものだけどね」
「そこが違うってことだろう」

「ところで、岡野さん、湖底の土砂の下の宇宙船には接近できないのだろうか?」
「絶対とは言わないけど、相当難しいねぇ」
「爆破したらどうだろうか?」
「そんな爆弾、手に入らないだろ?」
「そうだなぁ・・・」
「まあ、諦めるしかないだろう」
「悔しいなぁ」
「確かにな、母船にはいろいろな未来の技術と情報があるだろうなぁ」
「自然科学は、まだ我々の手に負えないだろうけど、戦争を避ける知恵は貴重だ」
「そんなものがあると思うか?」
「ミソラとアリマが共存していたのだからねぇ」
「宇宙船の中の一時的なものかも知れない」
「スルガ艦長、彼の能力をどうしても知りたいんだ」
「アツーサは知らないのか?」
「知っていたら、苦労しないさ」
「それはそうだな」

平山は、スリランカ人のシェフが夕食を用意しているので、岡野のアパートを早々に引き上げた。

平山は、岡野との話で出たアツーサのことを考えている。現在、彼女は問題を抱えているのだ。テヘランの不動産バブルは継続していて、アパートの家賃が年々値上がりしているというのである。平山はアツーサの給料をインフレに合わせて上げているのだが、追いつかないらしいのだ。アツーサは移るためのアパートを探していた。

テヘランで暮らすためには持ち家でないと相当苦しい。一人分の稼ぎは賃貸料に消えてしまうのだ。持ち家でも、子供のいる世帯では、質素な暮らしで月に500ドルは必要だろうし、普通の生活をするためには1,000ドルくらいは必要だろう。

平山は、ときどきアツーサが暗い顔をしているのを見ることがある。そういうときは決まって将来のことを考えているのだった。家賃のこと、自分の仕事のこと、これからかかる子供の教育費のことなど、テヘランで生きるというのは厳しいことのようだ。

カスピ海の実家に行くのはどうかと訊くと、ご主人の仕事の関係でテヘランでないといい仕事がないという。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-26 04:52 | Comments(0)


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