えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 23日

遥かなる遺産 Part5(2)

平山のアパートに岡野が夕食を食べに来ている。平山がスリランカ人のシェフを雇っているからだ。シェフと言っても、掃除などいわゆるメイドの役をこなしているのだが、以前はスリランカ大使のシェフをやっていたそうで、その腕前はプロのシェフである。

「平山さん、ミトラの分身はアツーサだけだと思う?」
「え?彼女はギーラーン州の出身だし、特別だと思っていたけど」
「彼女だけが受け継いでいるなんておかしいと思わない?」
「いや、まぁ、そうだけど・・・」
「昔からいたんじゃないかな、ああいう能力を持った女性って」
「まさか・・・ 魔女とか?」
「まさにそうじゃない?」

岡野にアツーサのことを魔女と言われて、平山は驚いた。確かに、アツーサの能力を考えれば、魔女と呼んでもおかしくないと思う。イランに魔女狩りがあるかどうかは知らないが、彼女が自分自身の能力をひたすら隠すのはもっともなことだと思った。

「平山さん、女性には男性には理解できない能力があるんじゃないかな?」
「というと?」
「女の第六感とか、ミトラの能力は男には引き継がれないんだろ?」
「そのようだけどね」
「女性は物理的な力が弱いから、その分精神的な能力が強いんじゃないかな」
「そういうものかねぇ・・・」
「女性はみんな、強さの程度は違うけど、ミトラの能力を持っているのかも知れないよ」
「女性になったことがないから、分からないけどな」
「男なんてみんな、女性の掌の中で踊らされているだけかもよ」
「歴史の裏に女ありっていうね」
「犯罪の裏にじゃなかったかな」

平山は思う。どうも男には女性に対するコンプレックスがあるようである。よく問題になる女性の社会進出への差別というのは、このコンプレックスの裏返しのような気もする。そして、男は所詮母性には敵わない。

「ミトラのスピリットが西に伝わって、そこで魔女の存在が発覚したんじゃないかな」
「魔女狩りは、集団ヒステリーの結果だろうに」
「集団催眠にも似たようなものじゃない?」
「魔女が使うのは箒じゃなくて、スライダーだったとか?」
「あはは、まさか。でも、飛ぶように見せることはできただろう」

平山はアツーサの能力を考えていると、ふと自分たちのことを思った。

「でもさ、今回の事件に巻き込まれた私たちって何だろうか?」
「平山さんにはマツダの能力があるとかアツーサが言っていたんだろ?」
「私には法律の知識なんてないよ」
「そんな具体的なものじゃなくても、何かがあるんじゃないか?」
「残念ながら、何もないね」
「きっと何かあるさ」

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-23 06:59 | Comments(0)


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