えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 20日

遥かなる遺産 Part4(13)

平山たちは宇宙船に接近できたが、3,000年もの年月は、カスピ海の湖底に厚い土砂の堆積をもたらしていた。ミニ・シャトルがあっても、これではどうすることもできない。宇宙船に到達するためには、海底油田の採掘ができるような設備がなければ不可能である。

ミニ・シャトルはカスピ海の水面に浮上した後、再びフワリと空中に浮いた。平山、岡野、アツーサの三人は無言であった。3人はそれぞれの物思いにふけっているようだった。ミニ・シャトルはアツーサの実家に向かった。そして、静かに玄関の前の広い庭に降り立った。

「平山さん、これからどうする?」、岡野が訊いた。
「まだ分からない」
「ミスター・平山、ミニ・シャトルを隠さないといけないんじゃない?」
「いずれ軍隊が発見するだろうな」
「ここにいてもしょうがないから、家の中に入って考えましょう」

3人は家の中に入った。突然の来訪にアツーサの両親は驚いたが、直ぐに笑顔を見せて3人を迎えた。

「平山さん、まだ宇宙船のことを考えているの?」
「いや、あれはもう諦めるしかないでしょう」
「じゃぁ、ミニ・シャトルのこと?」
「うん、どうすべきかってね」
「隠すしかないんじゃないの?」
「・・・」

その時、家の電話が鳴った。アツーサの父親が電話に出た。電話は、先日のカリムの誘拐犯からだった。ミニ・シャトルを渡さないと、カリムの命がないと脅かしてきているようだ。アツーサが父親に何か言っている。

「平山さん、ミニ・シャトルを渡すと答えました」
「アツーサ、そんなことをしていいのか?あれには現代にない科学技術がいっぱい集積されている、悪用されたらそれこそ大変だ」
「無傷で渡すとは言いませんでした」
「え!」
「あれがある限り、誘拐犯は何度でも狙って来るでしょう」

アツーサの強い決断に押されて、みんなは準備に掛かった。父親に頼んで爆薬を手に入れ、ミニ・シャトルをカスピ海に浮かべた。ミニ・シャトルの中には大量の爆薬が仕掛けられた。無線の起爆スイッチは、アツーサの手の中にある。ミニ・シャトルは次第に陸から離れていった。

準備ができてから1時間も経たないうちに、先日の誘拐犯であるチャガタイと二人の男が浜辺にやって来た。彼らはカスピ海に浮かんだミニ・シャトルをみつけたようだ。しかし、必死でアツーサを見ないようにしている。アツーサが叫んだ。

「危ないよ!」

アツーサが起爆スイッチを押した。ミニ・シャトルの内部からの爆発である。ミニ・シャトルは粉々になって飛び散った。

「なんてことをするんだ」

チャガタイが叫び、持っている拳銃をアツーサたちに向けた。

「ぶっ殺してやる」

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-20 00:58 | Comments(2)
Commented by MAKIAND at 2007-11-20 19:54
あらま。予想外の展開でした。
Commented by えるだま at 2007-11-20 20:48 x
MAKIANDさん、そうでしたか。
危ないものは処分しないとねぇ・・・・


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