えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 13日

遥かなる遺産 Part4(6)

平山のアパートから見えるアルボルズ山脈、テヘランの裏庭にある山のようだが、標高が3,000mを越える立派な山脈である。夏の1か月の間だけ雪が消えるので、今は荒々しい岩山の姿を曝している。

テヘランの北側は高級住宅地が多い。アルボルズ山脈の麓から平山のアパートまで、緑の海の中から白い高層建築物が生えているように見える。テヘランは土地バブル経済のようで、不動産の物価は極めて高い。東京と比べる訳にはいかないが、一般のイラン人の所得ではとても買えない価格である。

したがって、この地区には外国人が多く住んでいる。平山が朝起きて来ると、犬の鳴き声が聴こえてくる。イスラム教徒は犬を好まないはずだが、この地区では犬をペットとしてだけではなく番犬として飼っていたりするので、かなりの数の犬がいるようである。

出勤前の平山がデスクに向かい、インターネットでメールチェックなどをしている。日本とは4時間半の時差である。秋分の日以降の時差は5時間半になる。半というのは聞きなれない時差だろうが、実際テヘランの位置が時間変更ラインの丁度真ん中にあるのでそう決められたのであろう。

平山のアパートでは衛星放送が受信できる。平山はペルシャ語放送は理解できないので、毎朝ユーロニュースを見ることにしている。日本のニュースはインターネットで見ることにしていた。米国がイラクを攻撃したときには、日本のニュースとユーロニュースの論調がかなり違っていた。ユーロニュースではかなり批判的な論調だったのに対して、日本のメディアは米国に賛同するものが多かった。

平山は日ごろから感じている。イランの人々はたいへん個性が強く、繰り返し自己主張する。会議では、他人の意見を聞いているようには思えないのだが、他人が意見を述べている間はおとなしくしている。平山は、イラン人の喧嘩をあまりみたことがない。日本人の方が怒りっぽいと思っている。

平山は暴力で暴力を抑えることはできないと思うし、イラクのような国に米国が入り込んだら、ますます混乱が拡大するだろうと思っている。戦争を仕掛ける前にもっと国民性を学んでおけばいいと思うのだが、今となってはもう遅過ぎる。米国は泥沼のような戦いに突入してしまった。

イラン人については一言では語れない。親切な人、権威主義な人、儲け主義の人、温厚な人、策略の好きな人、などなど本当に多様である。強いて分類するとすれば、貧しい人々、高学歴の中産階級、お金持ちということになるだろうか。貧しい人たちに政府は割り合い手厚い政策をとろうとしているが、貧しさから脱出させられるところまでは来ていない。

平山には、学歴のある中産階級の人々が一番苦労しているように見える。高いポストにつけても政府で働くのでは給料が安いため、もう一つ別な仕事をしなければならない。学歴の低い人は、共働きをしないとテヘランでは暮らせないだろう。

一方、テヘランの大バザールのあるところは活気に満ちている。平山は、イラン人は商売をしているときが一番元気なのかも知れないと思った。バザールの中に店舗を構えられる商人はお金持ちだということを聞いたことがある。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-13 05:43 | Comments(2)
Commented by MAKIAND at 2007-11-13 15:14
なーるほど、とっても興味深いですね。
Commented by えるだま at 2007-11-13 15:37 x
MAKIANDさん、ありがとうございます。^^
今回は、ストーリー展開ではなくて、イランの状況についてのお話でした。


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