えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 10日

遥かなる遺産 Part4(3)

平山は、マジディ部長の4WDを降りて友人のシルダム氏のアパートに向かった。玄関に出て来たのは白髪の痩せた初老の男性だった。既に定年退職をして今は悠々自適の生活をしているとのことだった。シルダム氏は笑顔を見せながら平山と握手をして家の中に招き入れた。

平山が案内されたのは、シルダム氏の書斎のようであった。そこには、パジャマのようなゆったりとしたものが置いてあり、なぜかマジディがそれを着るように勧めた。リラックスするためらしい。マジディ部長も着替えて、床にある座布団の上に座った。

イランでは、レストランでも和室のように床に座ることがある。平山は、座ることには抵抗はなかった。のんびりくつろぐのには最適かも知れないと思った。そうしていると、シルダム氏が紅茶を運んで来てくれた。角砂糖の変わりに黄色い砂糖が大きなボールに入れられてあった。平山はサフランの色だろうと思った。

シルダム氏は再び部屋を出ると、今度はなにやら道具箱のようなものを持って来た。マジディ部長は、平山にシルダム氏が彼の兵役時代の上官であったことを説明した。シルダム氏は英語を話さないので、平山は直接の会話をすることができなかった。シルダム氏は、道具箱からナイフを取り出して、何かをスライスしているようだった。

5mmくらいにスライスされた欠片に火を点け、それを溶かした。部屋の中に奇妙な臭いが漂った。シルダム氏は、それを金属のヘラのようなもので取って、棒のついた丸い頭につけた。そして、溶けたものをヘラで丸く固めて、棒の反対側の端を口につけ、ライターの火を溶けたものにつけて吸い始めた。

そして、それをマジディ部長に手渡した。マジディ部長は手馴れた様子で頭のついた棒を扱い、大きく吸い込んだ。このとき、平山はようやく彼らのやっていることの意味が理解できた。これは阿片なのだ。

マジディ部長によると、シルダム氏は定年退職をして、このようにして阿片を毎日楽しんでいるという。阿片中毒ではあるが、コントロールした量で楽しんでいるというのだ。マジディ部長が吸い終わると、シルダム氏は再び同じ作業をしている。マジディ部長は、次は平山の番だと促している。

平山は躊躇した。あの阿片である。繰り返しやらなければ麻薬中毒にはならないだろうが、麻薬であることには違いない。もっとも、阿片はモルヒネの原料になるので、それ自体が有害なものではないと思った。平山は、マジディ部長の手前、拒否するというのも具合が悪い。

平山は手渡された煙管を持った。マジディ部長がライターで火を寄せてくれている。平山は、覚悟を決めて煙管を吸い込んだ。とても美味しいは言えない香りであった。マジディ部長はもっと大きく吸い込むように促している。平山はさらに大きく吸い込んだ。

平山は、体全体が元気になるような気がした。幻覚などはない。平山は、麻薬のようなものは常習しなければ、幻覚などを直ぐに味わえるものではないだろうと思っている。

マジディ部長は、平山に砂糖をいっぱい入れて紅茶を飲むように勧めた。大きく息を吸い込むせいか、血圧が下がるというのだ。平山は、脳貧血になった人に砂糖水を与えるということを思い出していた。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-10 00:00 | Comments(4)
Commented by はしばみセーラ at 2007-11-10 15:55 x
こんにちは。
なんだか、危ない雰囲気になってきましたね。平山さん大丈夫かしら?
こういうときは、知恵を使って脱出をはかったほうが賢いと思いますけど・・・。
Commented by えるだま at 2007-11-10 19:21 x
はしばみセーラさん、こんばんは。^^
にゃはは、どうなんでしょうねぇ。知性派の平山氏ですから大丈夫でしょう。^^
それとも、そっちの世界に足を踏み入れるようになるのかな。
Commented by MAKIAND at 2007-11-12 07:08
うーん。次に急がなくては。
Commented by えるだま at 2007-11-12 07:37 x
MAKIANDさん、おはようございます。^^
お付き合いくださいましてありがとうございます。^^


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