えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 06日

遥かなる遺産 Part3(14)

「アツーサ、ミニ・シャトルを持って行かれちゃったけど、これからどうやって奪い返そうか?」
「大丈夫です。彼らは何も持って行っていませんから」
「え?」
「私たちが見たものは存在していないってことです」
「ああ、これが集団催眠なのか・・・」
「全員がミニ・シャトルのイメージを持っているので、それほど難しいことではありませんでした」
「なるほど、そういうことなのか・・・ それにしてもずい分凝ったことをしたものだ」
「そうしないと誰かが殺されそうだったし、カリムが別のところにいると考えていましたから」

平山は思った。ミニ・シャトルを誘拐犯に渡さないことには、カリムが無事ではいられないとアツーサが考えたのだろう。彼らがカリムを連れて来ていたというのは、アツーサには意外なことだったようだ。カリムが別な場所で監禁されていて、携帯電話で「ミニ・シャトルを奪えなかった」という連絡でも入れられたら、カリムの命が危ない。

「ふむ、それにしても、すごい作戦だったねぇ」
「ミニ・シャトルを知らないカリムには、不思議な光景に映ったと思います」
「何もないのにみんなで作業をしていたということなのか・・・」

平山は、ついいままで自分たちのやっていたことが滑稽に思えて来た。

「アツーサ。では、本物のミニ・シャトルはどこにあるの?」
「え!中にないのですか?」
「うん、なかった」

アツーサはカリムを抱いている父親に訊いている。父親も平山と同じことを答えたようだ。

「ミスター・平山。盗掘されてしまったのでしょうか?」
「さあ、分かりませんね。でも、はっきり言えることは、アーリマンの分身たちには渡っていないということでしょう」
「そうですね、それが今のところの救いです」

平山は、ミニ・シャトルなんて最初から存在していないんじゃないかという疑いを持ったが、アツーサの反応をみるとやはり存在していたようだ。

「ところで、彼らのトラックが来るとき、どうやって彼らに接近したの?」
「それは大変でした。命がけでした」
「いったいどうやったの?」
「ふふふ、それは内緒です」

平山たち4人は車で実家に戻った。無事なカリムをみたおばあちゃんの喜びは、それは大変なものだった。催眠から醒めた弁髪の男たちが悔しがっても、アツーサの実家に近寄ることはできない。再びひどい目に遭うだけなのだ。


(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-06 00:00 | Comments(2)
Commented by MAKIAND at 2007-11-06 11:51
うーん、なぞを残したまま明日を待たなくちゃ。
Commented by えるだま at 2007-11-06 12:34 x
MAKIANDさん、ありがとうございます。^^
Part3もそろそろ終わりの頃です。Part4をお楽しみにね。^^


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