えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 05日

遥かなる妄想 Part3(13)

誘拐犯の二人とも手に拳銃を持っていた。二人の男のうちの一人は、スピードガンを探しに行ったときに会った弁髪の男である。もう一人の男も同じ場所で会ったようだと平山は思った。弁髪の男がアツーサに向かって言った。

「よし、よくやった」
「これでいいでしょう。後はお好きにどうぞ」

平山には男とアツーサの会話の内容を理解できないが、洞窟の方を振り向くと、岩山に大きな穴が開いて、そこには平山が前に夢でみたことのある、あのミニ・シャトルがあった。鏡のような金属光沢を持って輝いている。

ミニ・シャトルは機体の全体が滑らかな曲線を描いていて、平べったい大きな石のように見えた。こちらに向いているのが前なのだろう、平山にはなんとなく分かった。窓らしいものはなく、入り口らしいものも見当たらなかった。こんなものが空を飛べるのだろうかと平山は思った。

平山がミニ・シャトルにみとれている暇はなかった。弁髪の男は、アツーサに拳銃をつきつけて平山たちに大声で命令した。

「そいつをトラックのところまで運べ」

ミニ・シャトルは台車の上に乗せられている。洞窟から移動させるのにはそれほどの力はいらなかった。アツーサの父親と二人で、台車の進む方向に注意しながらミニ・シャトルを移動させた。平山は、誘拐犯の男たちはミニ・シャトルをトラックに載せたら、自分たち全員を撃ち殺すつもりかも知れないと考えた。

生い茂る草木のせいで台車はうまく進まない。アツーサの父親が、大きなナイフで再び枝を払った。ナイフだって立派な武器だが、犯人はアツーサに拳銃をつきつけている。平山たちには抵抗する術がなかった。

平山はアツーサにミトラの能力があると思っていたが、拳銃の前では通用しないようだ。あるいは、誘拐犯がそれなりの防御方法をとっているのかも知れない。誘拐犯がわざわざ人質としてカリムを連れて来ているのはそのためだったのかも知れないと思った。

やっとのことで道路脇までミニ・シャトルを運ぶと、一人の男がトラックに行き、金属製のワイヤーを持って来た。トラックにはクレーンがつけられている。輪になったワイヤーをミニ・シャトルの前後にかけると、男はトラックの運転席に戻り、クレーンを操作し始めた。

ミニ・シャトルがトラックに積まれると、弁髪の男は、アツーサとカリム、アツーサの父親、平山の4人に一か所にまとまるように命令した。平山は、いよいよ拳銃で撃たれるかも知れないと思った。

しかし、弁髪の男は、そのままトラックに乗り込み、平山たち4人を残して去っていった。ミニ・シャトルは強奪されたが、カリムは無事に戻って来た。今は、アツーサの父親が孫のカリムを抱いていた。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-05 00:00 | Comments(2)
Commented by MAKIAND at 2007-11-05 11:47
カリムが無事だったのはよかったけど、んー。えるさんはなにを考えているのか。
Commented by えるだま at 2007-11-05 12:24 x
MAKIANDさん、はい、良かったですね。^^
何を考えているのでしょうねぇ・・・ (笑)


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