えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 02日

遥かなる遺産 Part3(10)

平山には、アツーサの言っていることが分からない。確かに、自分がイランに来たのは、興味があってのことだった。世界史の勉強のせいか、ペルシャという国に惹かれ、興味を持ったことは確かだ。しかし、それが誰かの影響だなんて考えられない。

そこまで考えて、平山は岡野の言葉を思い出した。まさか、ミトラが生きている・・・ アツーサがミトラの能力を持った分身だとしても、どうやって日本にいた自分に影響を与えることができたのだろうか・・・ そんなことはありえない。平山は、考えれば考えるほど混乱して来た。

「ミスター・平山。先に進んでいいでしょうか?」
「うーん、ちょっと待ってください」
「ミトラのスピリットは世界中に広がっているのです」
「それは精神世界の話ですね」
「そういうことです」
「なるほど、だからミトラは死んでいないということなのか」
「そうですよ。ミトラは今でも生きています。アーリマンもね」
「え!?アーリマンはミトラに殺されたのでは?」
「死んだと言っても、スピリットは消えません」
「そういうことなのか・・・」
「ミスター・平山。多分、あなたはマツダのスピリットの持ち主なのだろうと思います」
「・・・」

アツーサの父親は、今は黙ってアツーサと平山を見ていた。しかし、苦悩の表情は消えない。

「それで、誘拐犯の要求は何だって?」
「ミニ・シャトルです」
「え!そんな・・・ でも、どうして?」
「先進的な科学技術のためでしょう。ミニ・シャトルにはいろいろなものが積載されています」
「でも、そんなことを知っている人はいないでしょうに・・・」
「私がミトラの分身なら、アーリマンの分身がいても不思議ではないと思いますが」
「いや、うん、確かに・・・」

平山は、なんだかアツーサに煙に巻かれているような気がして来た。

「あの弁髪の男がそうです」
「ああ、それであんなに激しいやり取りになったのか・・・」
「はい、私のやり過ぎでした」
「いつものアツーサらしくないと思っていたんだ」
「彼ほど強いオーラを感じる人間に出会ったことはありませんでした」
「悪のオーラか・・・」
「いいえ、悪なんて呼んだのは後の話です。神話ですっかり悪者にされただけです」
「ん?悪じゃないのか?」
「ある意味では、多くの悪を生んだといえるでしょうけど・・・」
「ああ、自然科学の神という意味かな」
「そうともいえるでしょう」

平山は思った。ミトラは精神科学の神、マツダは社会科学の神、そういうところなのか。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-02 00:00 | Comments(0)


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