えるだま・・・世界の国から

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2007年 11月 01日

遥かなる遺産 Part3(9)

平山はアライーに向かって、「カリム、カリム」と言うしかなかった。アライーは何かを察したのか、ソファーに腰掛けて沈黙している。ペルシャ語の分からない平山としては、どうすることもできない。そうして、ソファーに座って1時間も経過しただろうか。アツーサが平山を呼んだ。

「ミスター・平山。こちらに来てくださいますか?」
「オーケー。一体全体何があったの?」
「どうお話したらいいのか・・・」

平山が呼ばれたのは、書斎だった。机には心臓に問題を抱えるアツーサの父親が苦悩の表情のままでいた。

「ミスター・平山。カリムが誘拐されました」
「警察に連絡しないの?」
「できません」
「どうして?」
「誰にも事情をお話しできないのです」
「どういうことなんですか?」

平山は、何か深刻な秘密をアツーサ親子が持っているような気がした。アツーサの父親は昔盗賊の頭領で、昔の仲間が分け前でも要求しているのだろうか・・・ 日本の時代劇じゃあるまいし、そんなことがあるはずがない。

「こうなったら、ミスター・平山にお話をした方がいいと父に言いました」
「うん、話してください」

父親は、依然として無言のままであった。父親が何かを言っても、平山には分からないのだが・・・ ついに、アツーサが口を開いた。

「私が悪かったようです」
「え?いったいどうして?」
「先日のスピードガンのときです」
「あれがどうしたの?」
「尾行されたんです」
「彼らに何の目的があるというの?」
「私がやり過ぎたので、彼らが感づいたのです」
「なにを?」
「私のパワーというか・・・」
「まさか、催眠・・・」
「ご存知だったのでしょ?」
「うーん、なんとなくだけど・・・」

平山には、岡野と話したことが全部真実になったような気がした。そんなバカな・・・あれは空想を楽しんだだけだったのに・・・

「ミスター・平山。あなたのみた夢は全部本当のことです。私たちが伝承しているのです」
「どうして私に?」
「あなたは、ミトラのスピリットによってイランに呼ばれたのです。気がつきませんでしたか?」
「もちろん、知りませんよ」
「あなたは、自分の意思でイランに来られたのでしょう?」
「それはそうですけど・・・」
「ご自分の意思だと思ってらっしゃるのでしょうけど・・・」

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-11-01 01:20 | Comments(2)
Commented by MAKIAND at 2007-11-01 10:01
うわ~本当に誘拐だった。。
こわーい。母親としてはもう強くなるしかないわ!!
しかし、SF。。
Commented by えるだま at 2007-11-01 10:11 x
MAKIANDさん、そうですね。
困ったことになりました。でも、母親のアツーサは強いですから。^^


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