えるだま・・・世界の国から

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2007年 10月 30日

遥かなる遺産 Part3(7)

平山たちが目的地に着いたのは、もう既に暗くなってからだった。食堂でお昼を食べ、休憩しながらの移動である。アツーサの子供のカリムは、車の中ではひたすら眠っているが、一度車を降りると元気一杯で走り回っていた。それらが、時間が予想以上に掛かった理由であろう。

アツーサの実家は、小さな町の外れにあるようだった。それでも、道路は街頭がつき、整備されていた。実家は道路に面したところにあった。大きな敷地らしく、門が開いてもさらに車で中に進んだ。玄関には、頭髪の薄くなったアツーサの父親と母親が迎えに出てくれていた。

ようこそ、ここはあなたの家です、平山にはペルシャ語は分からないが、多分、そんな挨拶だろうと思った。平山は、ペルシャ語でありがとうというのが精一杯であった。アツーサはカリムの世話で忙しく、通訳不在だったのである。

二泊三日の日程である。平山は着替えやウイスキーを入れたバッグを持っていた。アツーサは、挨拶や紹介の後、平山をベッドのある部屋に案内した。割り合い大きな家のようであった。

平山が荷物を置いて部屋を出ると、そこは広いリビング兼ダイニングルームだった。まずは、リビングにあるソファーでくつろいだ。カリムは、実家にあるいろいろな玩具で遊んでいる。運転手のアライーもリビングで一服である。ただ、彼は遠慮してか、一番端のソファーに座っている。

アツーサの両親は、英語を話さない。したがって、アツーサは仕事でもないのに、平山の通訳をしなければならなかった。カリムの面倒、通訳、母親の手伝いと一人三役をこなさなければならない。アツーサの両親は、どちらもとても穏やかな性格の持ち主で、平山はまったく緊張せずにくつろぐことができた。

そして圧巻は、アツーサの母親による手料理であった。イランでは、レストランのメニューというのは大体決まっていて、もっぱらラム肉のケバブばかりである。平山は、これにはすっかり辟易していたのだが、家庭料理となると話が違う。そして、夕食が始まる頃になると、アツーサの弟夫婦がやって来て合流した。こちらは英語が話せるので、アツーサは通訳から逃れることができた。

イランの家庭料理は、レストランのものとはまったく違っていた。ケバブはあったが、チョウザメのケバブであり、メインはガチョウの丸焼きだった。シャーミーというハンバーグのようなものもあった。味付けは、果物、ハーブ類を使っているという。キュウリやトマトのサラダも用意されていた。サフランライスのおこげも面白いものだった。

平山は両親の許可を得て、持参したウイスキーを飲んでいる。もちろん両親はイスラム教徒だが、そんなことにはちっとも構わないのであった。もちろん、ウイスキーを飲んでいるのは平山だけであった。飲酒について話を聞くと、父親は飲めないことはないが、心臓に問題があるため飲まないということであった。

平山が気がついたことは、カリムが遊んでいるところにあるテレビが、衛星放送で外国からの番組をやっていた。女性が髪の毛を露出しているので直ぐに分かる。しかも、その姿は日本のテレビ番組で見るものと変わりがなかった。

食事は、11時頃にようやく終了したが、眠ってしまったカリム以外は全員リビングにいた。お開きになったのは、もう1時を過ぎた頃であった。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。

(参考)チョウザメのケバブ
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by elderman | 2007-10-30 06:39 | Comments(4)
Commented by MAY at 2007-10-30 20:51 x
ひさびさです。料理がでてきたの。ところで、タイから帰国語はタイ料理には興味ありますか?
Commented by えるだま at 2007-10-30 21:01 x
MAYさん、こんばんは。^^
それがねぇ・・・ タイ料理の材料を買って来たのですけど、まだ手をつける気にもならなくて・・・ 相当飽きてしまったようです。(汗)
Commented by MAKIAND at 2007-10-31 10:41
ここに本物の料理が出るところが楽しいです。
えるさんの体験をもとにしているのでしょうね。
Commented by えるだま at 2007-10-31 11:06 x
MAKIANDさん、おはようございます。^^
へっへへ、絵本みたいになっちゃったかな。(笑)
レストランのチョウザメのケバブの写真もありますが、今回の話では家庭料理ですからね。^^


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