えるだま・・・世界の国から

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2007年 10月 26日

遥かなる遺産 Part3(3)

スピードガンを探した日の3日後、岡野からアツーサの携帯電話に電話が掛かって来た。

「ミスター・平山。ミスター・岡野からです」
「あ、ありがとう。はい、もしもし、平山です」
「平山さんは、新聞みてないだろ?」
「ペルシャ語じゃぁ、読めないからね」
「昨日の新聞に出ていたんだけど、ダマヴァンド山で偶像がみつかったそうだ」
「偶像・・・ってことは、イスラム以前ってことかな?」
「ミトラ像らしいよ」
「え!ミトラ像なのか」

脇にいたアツーサがミトラという言葉に反応したが、平山が電話中なので直ぐに平静な表情に戻った。

「ヘッドギアをしていて、左手を空に向けて上げているそうだ。そして、臍がないらしい」
「臍がない?」
「まぁ、神様だから臍がないというのは自然だろうけど」
「宇宙人にも臍がないってことか」
「まぁ、そういうことだ」

平山は思った。岡野の主張する宇宙人説を裏付けるものなのだろう、だから電話をして来たのだ。岡野は続けた。

「ところで、ダマヴァンド山にまつわる神話は知っているかな?」
「いや、全然しらないけど」
「私も正確には覚えていないけど、英雄ファリドゥンがアジ・ダハーカという三頭の怪獣をやっつけたときに、蛇とか蠍とか蛙とかが傷口から出て来たらしい。それを退治しようにもできなくて、捕まえてダマヴァンド山に幽閉したということらしい」
「ほう」
「だから、神話が実話だったんじゃないかということで騒がれているということさ」
「でも、ミトラ像なんでしょ。ファリドゥンはどちらかといえば、マツダのはずだけどなぁ」
「偶像は後世の人が作ったものだろうけど、なんでミトラ像なんだろうね?」
「アーリマンをやっつけたミトラの方が強いからかな」
「理由はともあれ、ダマヴァンド山とミトラとが物証で結びついたのは初めてなんじゃないかな」
「なるほど」

電話を終えて平山は思った。臍がない偶像、神様に臍があったら母親から生まれて来た証拠になるから、神様の偶像には臍は敢えて彫らないのだろう。平山にはそれが自然な考えに思われた。宇宙人だから臍がないというのも面白い考えだとは思った。

ヘッドギアについても、戦士のイメージならヘッドギアだって不思議ではないだろう。宇宙人のヘルメットと考える方が不自然なのではないか、しかし、ミトラは女性のようだから、ヘッドギアなんて必要なのだろうか。無敵なはずの女神にヘッドギアというのも奇妙な気がする。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。

(参考)ダマヴァンド山
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by elderman | 2007-10-26 00:05 | Comments(0)


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