えるだま・・・世界の国から

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2007年 10月 24日

遥かなる遺産 Part3(1)

平山がイランに赴任して2年が過ぎ、再び初夏を迎えた。アツーサのご主人は退院して、今は自宅で療養しているという話だった。もう少しで仕事に復帰できるという。アツーサ自身も通常の仕事をこなすようになった。平山は予算の少ないテヘラン州局のために、自らの労力でシステム開発を進めていた。彼にとってPCを使ったデータ処理はそれほど難しい課題ではない。

「アツーサ、ミトラって名前知っている?」
「はい、女性の名前に使われています。若い女性には使われていませんが、昔は人気のあった名前です」
「イラン人の名前にも流行りってあるんだね。ミトラって素敵な名前に響くけどなぁ」
「アツーサという名前も歴史のある名前なんです」
「へぇ、そうなんだ」

平山は、やはりアツーサはミトラについて何かを知っていると思った。しかし、唐突に平山が岡野と話したことを訊く気にもなれないので、彼女の出身地について質問した。

「アツーサの出身地はカスピ海の方だったね?」
「はい、ギーラーン州のラシュトを少し過ぎたところです」
「そっか、カスピ海は以前ラムサールまでは行ったことがあるけどね」
「そこからさらに先になります」
「車で行くと時間が掛かりそうだね?」
「6時間か7時間は掛かると思います」
「そう、遠いなぁ」
「今度、私の実家に是非来てください」
「うん、ありがとう。いつか行ってみたいな」

地図でみるとテヘランからカスピ海までは近そうにみえるが、その間にはアルボルズ山脈があるため、山道を抜けて行かなければならない。平山は、カスピ海を見たくて赴任の当初、車で行ったことがあり、その時は約3時間掛かったのを覚えている。その後、ラムサールまで行ったときは、一泊二日の旅行であった。

ラムサールというのは、ラムサール条約で有名だが、それがイランの地名であることを知っている日本人は少ない。平山もイランに来るまでは知らなかったことである。ラムサール条約というのは、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」のことである。

「アツーサ、今日はスピードガンを探しに行こうか?」
「先日の会議で警察から来ている人がいたねぇ、名詞交換した人」
「はい、覚えています」
「電話して、どこで買えそうか聞いてくれないか?」
「チャシム」(分かりました)

スピードガンとうのは、野球のピッチャーの球速を測ったりするものである。平山は自動車の走行スピードを測りたいと考えていたのだった。何でも調達可能なイランである。テヘランの大バザールに行けば、さすがにペルシャ商人の末裔と驚かされるものが見られる。日本の土鍋を見つけたときには目を疑ったくらいである。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-10-24 07:00 | Comments(2)
Commented by あじゅるえずめ at 2007-10-25 00:09 x
テヘランのバザールで土鍋ですか?
それはびっくりしそうです(笑)
Commented by えるだま at 2007-10-25 01:43 x
あじゅるえずめさん、こんばんは。^^
あはは、土鍋なんてイラン人は何に使うのでしょうかね。(笑)
ラム肉でシチューでも作るのかな。^^


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