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えるだま・・・世界の国から

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2007年 10月 16日

遥かなる遺産 Part2(8)

「やはり、アリマだったんだな」
「悪いな、マツダ。所詮、俺たちは一緒にはやっていけなかったようだ」
「うう、一体何を企てているのだ。ここの人々を不幸にしてどうするというのだ?」
「不幸かどうかは、歴史が証明するさ」
「いや、おまえのやっていることは悪だ」
「善だの悪だの、そんなものは時代によって変るものだ」
「人殺しは絶対悪だ」
「そうかな。邪魔者は消す。それは理に適っているというものさ」

こうして、ファリドゥン王の砦は、アリマを王とする北方民族の手に落ちた。そして、このことはファリドゥン王も知るところとなった。

「ああ、マツダさま、いや、アフラ・マツダさま。御身を犠牲にしてまで・・・」
「あのアリマというやつ、今はアーリマンと呼ばれ、悪魔とも魔の中の魔とも呼ばれています」
「アフラ・マツダさまとは大違いだ」
「アーリマンは、死、虚偽、凶暴などの全ての悪を司ると言われています」
「目的のためには手段を選ばないというのだろう・・・」
「あの三頭の怪獣だってアーリマンの創造したもののようです」
「恐ろしい敵よのう・・・」
「どうしましょうか?」
「こうなっては、ミソラさまにすがるしかないようだ」
「あのミソラさまでアーリマンに対抗できるものでしょうか?」
「他に対抗手段がないだろう・・・」
「おっしゃるとおりで」
「では、ソーマ、お前が使者になってエクバタナ(メディア王国の首都)に向かえ!」
「御意」
「私は、アフラ・マツダさまの志を引き継ぎ、法による秩序を求めようと思う」

一方、マディア王国では、ミソラの目指したことは実を結びつつあるようで、王国は平和で繁栄していた。人々は、ミソラの教えをミソラ教として受け入れ、メディア王国の王もミソラを神として接待した。ミソラのことは、人々はアフラ・ミソラと呼んだ。厳密に言うと、現地の人たちの間では、ミトラ教、そしてアフラ・ミトラと発音された。

ファリドゥン王の使いのソーマから話を聞いたミソラは、マツダの死を大いに悲しんだ。そして、アリマの行いに対する怒りは激しいもので、アリマ打倒へと準備を開始することを誓ったのだった。ミソラがソーマから話を聞いたときには、メディア王国に対して戦争に関することについては何一つ教示しなかったのだが、もはや事情が変ったのである。

数年後、ミソラはメディア軍を率い、恐ろしい敵であるアーリマンの悪魔軍団を殲滅した。アーリマンは死してもなお、大魔王アーリマンとして存在しているという。



夢から覚めた平山は、夢とはいえ、主人公らしいマツダが死んでしまったことが不思議でならなかった。小説などでは主人公が死んでしまうなんて考えられないことだ。夢だからこそ、脈絡も論理もないのだろうと思った。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。

by elderman | 2007-10-16 00:06


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