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えるだま・・・世界の国から

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2007年 10月 14日

遥かなる遺産 Part2(6)

マツダは考えている。なぜ、ミソラが去ったのか、そしてアリマまで・・・ 帰還の希望がなくなったということは一つの大きな要因であり、それぞれの考え方の違いも大きな問題であった。個人用のシェルターを作るまでは、ほとんど一心同体で活動していたのだが・・・

そんなことを考えていると、突然爆音が聴こえて来た。現地人の生活を考えると、爆音なんてナンを焼く釜がある台所くらいしか考えられない。しかし、爆音は次々に聴こえる。マツダは嫌な予感がした。まさか・・・

マツダの部屋にソーマが駆け込んで来た。

「マツダさま、大変です。北方民族が攻撃して来ました」
「あの爆音はなんだ?」
「分かりません。みたこともないものです」
「みたこともない?」
「空から玉が落ちて来て爆発するのです」

マツダは、大砲などいう原始的な武器は書物でしか知らないものであったが、どうやらそういうもののようだ。マツダの部屋が轟音とともに揺れた。ソーマは震えている。

「マツダさま、どうしましょうか?」
「ファリドゥン王はどうされているのか?」
「敵を迎え撃とうとしています」
「私は様子を見て来る」

マツダは、スライダーをシェルターから取り出し、部屋から外に出た。庭にはいくつもの穴があり、白煙が上がっている。そして、マツダの直ぐ上の建物の一角が大きな爆音とともに崩れて来た。マツダは急いでスライダーに乗った。スライダーはぐんぐん上昇して行き、砦の北側に北方民族の軍団を見ることができた。

確かに彼らは大砲で攻撃して来ている。かなり原始的な武器のようで、砲弾の動きがはっきりと見える。その背後には騎馬軍団が整列して総攻撃に備えているようだ。原始的な武器とはいえ、刀か槍くらいしか持っていない現地人である。火薬を使った武器には度肝を抜かれているようだ。

マツダがスライダーで空から敵の軍団に接近すると、敵の大将らしき人が見えて来た。鎧の上に毛皮をつけている。敵の兵隊がマツダを発見したようだ。スライダーで飛ぶマツダを見ても驚いた様子はない。弓を持った兵隊が打ち落とそうとしている。もちろん、マツダは弓が届くように距離までは接近しない。

硝煙ではっきりとは見えないが、大砲は10基くらいあるようだ。かなり原始的な大砲のようで、一発撃つと次の一発まではかなり時間がかかるようだ。マツダは北方民族の軍隊の様子をファリドゥン王に急いで伝えなければいけないと思った。早くしないと、騎馬軍団による総攻撃が開始されるだろう。

白煙の上がる砦に急いで戻ると、砦の中はパニック状態であった。砲撃という見たことも聞いたこともない攻撃を受けたのだ、冷静でいられる人などいるはずがない。赤いマントを着たファリドゥン王は直ぐにみつけることができた。砦の塔の陰に身を隠していた。しかし、その顔は蒼白であった。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。

by elderman | 2007-10-14 00:14


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