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えるだま・・・世界の国から

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2007年 10月 13日

遥かなる遺産 Part2(5)

砦の中は、お祭騒ぎである。ファリドゥン王が凱旋して来たのだ。北方で暴れ回っていた三つ頭の怪獣のダハーカを倒したというのだから、まさに英雄であった。ファリドゥン王は凱旋パレードの後、宮殿に戻り、真っ先にマツダのところにやって来た。

「マツダさま、ありがとうございました。お陰さまで怪獣を仕留めることができました」
「それは、良かった。お役に立てれば嬉しいです」
「それでは、お借りしたレーザーガンをお返しいたします」
「いや、ファリドゥン王、あなたのような立派な方なら心配はありません。どうぞそのままお持ちくださって結構です」
「そうですか、それはありがたい。こんなすごい武器をお授けくださるなんて、なんと言ってお礼申し上げていいやら」
「いえいえ、こちらこそ、これまでずい分お世話になっていますから」

「アリマさま、ミソラさま、今頃どうなさっていらっしゃることでしょうか」
「あれ以来、音信不通です。でも、彼らのことですから心配には及ばないでしょう」
「アリマさま、ミソラさま、もちろん彼らのことは心配しておりません。ただ・・・」
「ただ?どうしたのですか?」
「あの人たちもマツダさまと同じように、神の力をお持ちになっていらっしゃいます・・・」

「ああ、そうか、彼らの他国への援助を心配されているのですね?」
「正直なところそうなんです」
「ミソラさんは、西に行き、メディアに向かえ入れられたようですが、その後は分かりません」
「そこなんです。メディアは私たちの敵のような存在です」
「それならご心配いりません。ミソラさんは、決して悪いことをするような人ではないし、悪いことに加担することは絶対にないでしょう」
「悪いことですか・・・」
「他国を攻撃し、多くの人々を殺すなんてまさに悪といえるでしょう」
「・・・・」

「ああ、ファリドゥン王、あなたはこれからの南下計画のことを気にしておられるのですね」
「正直な話、そういうことです」
「敵として全部を打倒することはありません。まず話し合い、説得する。そしてそれに従わない王たちをやっつけることは仕方がないとしても、人々まで犠牲にすることはありません」
「私とて戦いを求めているものではありません」
「圧政に苦しむ人々の解放、これは良いことです」
「マツダさまにそうおっしゃっていただければ、鬼に金棒、いや王にレーザーガンです」
「あはは、レーザーガンは単なる武器です。武器では人々の心は掌握できますまい」
「そのとおりです」

今やマツダの地位は、王の相談役以上のものだった。そして人民は神様だと考え敬意を表していた。そもそもは、アリマとミソラ、不時着により三人でこの地に現れたのだが、シェルターを個別に用意できるようになってから、三人はそれぞれの道を歩むようになった。

帰還の希望があれば、話は違っただろう。しかし、三人の力を合わせても、なお、不時着した宇宙船の修理はほとんど不可能だった。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。

by elderman | 2007-10-13 00:05


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