えるだま・・・世界の国から

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2007年 10月 11日

遥かなる遺産 Part2(3)

ケルマンシャーの飛行場に着陸してロビーに出ると、迎えが来ていた。そして、どういう訳か、マジディ部長が待っていた。平山はキツネにつままれたような気分だった。しかし、それよりも驚いたことは、迎えに来ていたのがケルマンシャー州の州局長だった。

飛行場に誰かが迎えに来てくれるということはいつものことだったが、州局長がわざわざ飛行場まで迎えに来るというのは驚いた。平山は、ピラステ州局長が一緒だからだろうとは思ったが、それにしても意外な出迎えであった。

技術的なセミナーであるにも拘わらず、二つの州の州局長が出席するという不思議なセミナーが開始された。それでも、二人の州局長の挨拶に始まり、セミナーは計画どおりに実施された。30人くらいの参加者であったが、平山には参加者の全員がセミナーの趣旨に関係しているとは思えなかった。

それでも、参加者は熱心のようだった。平山のプレゼンテーションの後、いくつかの質問を受けたが、質問の内容は、とんでもなく的外れなものや奇妙な質問ばかりであった。平山は苦笑していた。

そして、さらに11時頃のティーブレイクは、お祭のようだった。お菓子や飲み物が用意され、参加者たちは明るく歓談し、平山には日本のことなどを聞いて来た。そして、アツーサが面白いことを平山に語った。

「私には、ときどき彼らが話していることが全然分からないんです」
「え?ペルシャ語じゃないの?」
「はい、そうなんです。クルド語のようです」

会議ではペルシャ語で話をしているが、どうやら仲間内ではクルド語で会話をしているようなのだ。

地方の勤務時間は、8時から2時半までである。テヘランでは8時から4時までで週休2日だが、その代わり、地方では土曜日も出勤している。したがって、昼食は仕事が終わってからということになる。初日のプログラムが終わると、30人もいる参加者全員がバスに乗ってレストランまで移動した。ティーブレイクとランチは、平山の予算で賄うことになっていた。

後で精算してみて分かったことだが、ケルマンシャー州の物価は安い。大勢の参加者なので、平山は予算不足について心配になったが、それは杞憂であった。

昼食の後、解散かと思いきや、ケルマンシャー州の局長は引き続き、平山たちを案内すると言う。平山は、なんだか一昔前の日本のようだと思った。本庁から地方を訪問すると、大変な歓迎を受けたことがあったものだ。今のイランを見ていると、丁度そうした昔の日本を思い出させてくれた。

そして、平山たち一行が案内された場所は、鍾乳洞であった。イランは、砂漠のような場所ばかりだが、驚くことに地底湖のような場所が存在する。一番大きなものは、ハマダン州にあるアリ・サドル地底湖だが、ケルマンシャー州にも似たものがある。

観光を済ませ、ホテルで一休みすると、今度は夕食への招待であった。町の郊外にある気の利いたレストランで夕食ということであった。平山が驚いたことに、そこには再び州局長以下参加者の30名余りの全員が集合した。

平山は思った。これはセミナーというよりも、ピラステ局長の凱旋パーティのようだ。やはり、クルド人が本庁で局長まで出世するというのは、おめでたいことであり、ピラステ局長も誇らしいのだろう。アツーサも今回のセミナーには半分呆れているようだった。

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。

(参考)ケルマンシャー州にあるグーリー・ガルエ洞窟
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by elderman | 2007-10-11 08:37 | Comments(0)


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