えるだま・・・世界の国から

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2007年 10月 04日

遥かなる遺産 Part1(12)

「ダメだ。操縦できない」
「熱のせいでやられたのか」
「この濃厚な大気のせいだろう」
「アリマ、しっかり操縦桿を握っていてくれ。電気系統を調べてみる」

そう言うと、マツダは操縦室から出て行った。

「アリマさん、頑張って」
「頑張るもなにも、まったく操縦不能だ」
「マツダさんが、直してくれますよ」
「ミソラさんは、いつも冷静だねぇ。このままだと陸地に激突だというのに・・・」
「悲観的になってもしょうがないでしょ、やれるだけのことをやりましょう」
「あれは湖かな、大きな湖のようだ」
「湖なら助かるかも知れない。方向を変えられる?」
「それができれば苦労しないんだが。まだダメだ」
「湖でも垂直に突っ込んだら、とてももたないわね」

陸地がどんどん近づいて来る。ベージュ色の大地と緑色がみえる。かなり接近して来ているせいだろう、地形が明瞭に分かるようになって来た。湖のようなものはかなり上方にある。機体の向きを変えないと、このままでは陸地に激突してしまう。

「あ、戻った。操縦できる」
「さあ、頑張って」

マツダが戻って来た。

「どう?操縦できるようになったのでは?」
「ああ、できるようになった。でも、すごく重たい」
「逆噴射をかけてみたら?」
「ちょっと危険だなぁ、この状態では」
「アリマさん、そんなことを言っている場合じゃないでしょ、このままで十分危険なんですから」
「仕方がないね、じゃぁ、覚悟して」

その瞬間、大きな衝撃が機体を揺らした。しかし、アリマはなんとかコントロールを失わないでいた。操縦室に戻ったマツダは、ミソラと同じようにシートにしっかりと体を固定している。

「降下中に逆噴射なんてやったことがない」
「滑空中だって大して変らないんじゃないの?」
「コントロールを失ったら最後だよ」

機体は、向きを変え始めた。一旦視界から消えていた湖が見えて来た。

「逆噴射は危険過ぎるから、このスピードで湖に突っ込むよ」
「アリマさん、うまくやってね」

機体が水面に接触した。これからがまた大変である。一旦方向を失ったら、機体が回転して搭乗員の全員が気絶してしまうだろう。機体を激しい振動が襲う。それでも、アリマは懸命に操縦を続けた。やがて、機体は減速し、湖の中に潜り始めた。

「マツダさん、この湖の成分は何?」
「うん、今調べている。どうやら水と少々の塩分のようだ」
「そう、それなら良かった。塩酸の湖では困るものね」

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-10-04 06:21 | Comments(2)
Commented by MAKIAND at 2007-10-04 11:36
なんだか、えるさんのセリフ回しがそのまま伝わってきてしまいます~
ははは、楽しい。。
こういう時、こういうふうに考える人なんだ~って思いますね。
しかし、小説って、書いてる人の普段の考えや、感じ方も出るのでしょうか。
そういうところも面白いです。
Commented by えるだま at 2007-10-04 11:47 x
MAKIANDさん、こんにちは。^^
あはは、そうですか。あまり癖はないと思うのですが、出ちゃうのでしょうね。(笑)
登場人物は、所詮作者の分身でしょうから、ま、しょうがないかな。(汗)


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