えるだま・・・世界の国から

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2007年 10月 01日

遥かなる遺産 Part1(9)

平山はノールーズの休暇を利用して、ヨーロッパの国を旅行するのもいいかと考えていたが、足元のイランを見ておくこともこの際大事だと考え直すことにした。それで、岡野のエスファハン-ヤズドの旅行の誘いに乗ることにしたのだった。旅行のアレンジは、すべて秘書のアツーサに頼んだ。

イランの暦はイスラム暦とは違う。春分の日を起点にした太陽暦である。前半の6か月が31日で残りの5か月が30日、そして最後の月が29日か30日という構造を持っている。平山は、もしも純粋に暦を作ったらイラン暦になるだろうと思っている。起点を春分の日にするというのは一番妥当なものと思われるのだ。

イランの正月は、春を迎えるという意味でまさに迎春である。日本のお正月の習慣が身についていると春分の日が元旦とうのはピンと来ないかも知れないが、西洋暦の元旦というのは、むしろ妙な日だと思えてくる。

ノールーズが近くなった日、岡野から電話があった。今回の旅行、さらにシラーズにまで足を伸ばしたいというものであった。ペルセポリスに興味を示さない岡野だったが、気が変ったのかと思って話を聞いていると、やはり目的はペルセポリスではなかった。

「ペルセポリスに興味があるのかと思ったら、違うのか?」
「うん、ペルセポリスじゃなくて、その奥にあるパサルガダエに行ってみたい」
「パサルガダエ?なにそれ?」
「知らないのか、ペルセポリスよりもっと古い遺跡があるところ。世界遺産にも指定されている」
「え!世界遺産にも・・・ 全然知らなかったなぁ」

平山は、世界遺産という言葉を聞いて俄然興味が湧いて来た。イランには3つの世界遺産しかないと思っていたのだった。エスファハンとペルセポリス、そしてチョガーザンビルのピラミッドの3つだと思っていたのだ。平山は、シラーズの出張の際、仕事の後、駆け足だったが、ペルセポリスは見ていた。パサルガダエという名前はさっぱり思い出せないが、言われてみれば、ペルセポリスのさらに奥に別な遺跡があるという話があったような気がする・・・

「分かった。面白そうな話だね。でも、ノールーズで飛行機がとれるかどうか分からないから、当たってみて連絡するってことでいい?」
「うん、よろしく頼みます」

平山は、早速アツーサに計画変更を伝え、旅行計画のやり直しを頼んだ。結果は、幸いにテヘラン-エスファハン-ヤズド-シラーズ-テヘランというアレンジができた。どこの土地のホテルも平山には初めてではなかったので、アツーサの同行がなくても問題が少ないように思えた。

「なかなか難しかったけど、なんとかなりました」
「そうでしたか、それはよかった。平山さんにも悪いことをしたかな」
「いや、面白くなければ賛同しないから、気にしないで。せっかくの旅行だから満足する方が大事でしょう」
「ありがとう、本当にありがとう」
「で、パサルガダエには何があるの?」
「もちろん、ペルシャ帝国の遺跡だけど、一番初期のものなんだ」
「でも、ペルセポリスには興味がないんでしょ?」
「いや、ないことはないけど、時間があったら見てみたいかな」
「私は駆け足で見たことがあるけど、時間があればいいですよ」
「そうですか」
「日程からみると時間は取れそうだし、ペルセポリスはどうせ途中だからね」

(つづく)

(注)こちらはフィクションですから人名など実在するものとは一切関係ありません。
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by elderman | 2007-10-01 05:04 | Comments(2)
Commented by mintogreen at 2007-10-02 00:25
えるだまさん、こんばんは。
あの~、ハラハラ、ドキドキ待っているんですが・・・、私の期待には沿う訳にはいきませんものね。^^
これは、忠実な日常・・・とでも言いましょうか、あえて、感情を見せない手法で作られているのですね。
生意気言ってすみません。
次、どうなるのか、毎日楽しみに拝見させて頂いてます。^^
Commented by えるだま at 2007-10-02 00:39 x
mintogreenさん、こんばんは。^^
すいません、自分の世界に入り込んでしまっています。(苦笑)
妄想が始まると、しばらくは止まらないので困ったものです。
とんでもない展開になって行きますので、お楽しみに。^^


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