えるだま・・・世界の国から

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2007年 07月 30日

国際協力の現場(6)再び国際協力機構

話があちこちに飛んでいますが、これまで書いてきたことは、現在の国際協力機構(JICA)の業務がコンサルタント契約にシフトして来ているということを言いたかったからです。独立法人になってから大きく変わったJICAです。責任を持って仕事をするという聞こえのいい表現で現在仕事を遂行していますが、本部をみても現地の事務所をみても責任を取れるほどの人材的に能力があるのか、大いに疑問のあるところです。

日本で一番大きな組織は、国であり地方公共団体です。国の外交の窓口である外務省から分離独立したような形のせいで、JICAはもともと専門技術という点で実力のない組織ですから、頼りはコンサルタント会社ということになってしまいます。コンサルタントが事前調査をしてコンサルタントがプロジェクトを遂行するなんて構造に変化しつつあります。

JICA側からの反論としては、今でも関係省庁の指導監督を受けているという話があるかも知れませんが、責任があるないで仕事に対する姿勢は違っているはずです。ま、そんな言い訳はしないでしょうね、実力がないと自ら認めるようなものでしょうから。

JICA自身が勉強して人材を育てるのは大いに結構ですが、できることとできないことがあるのはないでしょうか。複雑多岐にわたる技術移転のすべてをカバーできるだけの人材がないことは明瞭なことなのに困ったことです。しかも、現場主義なんて言い出したから、現場はもっと大変です。職員数の少ない中で、次から次へと新しい技術移転の分野の勉強をしなければならなくなっています。

成果主義の下で、失敗を恐れるということも弊害としてあるでしょう。相手国の体制そのものが不安定ということもあるのですから、ODAは相手国政府に対する国際協力なので失敗はつきもののはずです。失敗もあると胸を張って言えないはずはありません。こういうのは税金の無駄遣いとは言わないのではないでしょうか。

個人的には、JICAの組織変えは改悪だったと考えています。外務省を頂点にして、国、地方公共団体の力を借りて、技術移転をするのが本来だと考えています。大きな仕事をしているのですから、責任は外務省なり担当省庁が持てばいいのです。JICAで全部を背負う必要はないと思います。

現在のコンサルタント契約にシフトして来ているのには大きな危険性があると考えています。まず、決定的なことですが、コンサルタント会社は利益のためだけにしか動かないということです。仕事をやってもらうためにTOR(仕様書)でガチガチに縛ってしまいますが、その結果、現地では仕様書どおりのことをやってさっさと引き上げてしまいます。相手国にとって何がもっと役に立つのか、そんなことを考えるはずがありません。

さっさと引き上げると書きましたが、これはコンサルタント会社の意志ではなく、企画段階で長期間の滞在では経費が掛かるので、どうしても現地での滞在期間を短くするという企画になってしまいます。長期間にした場合、全体の経費がかさむので他社との競争に勝てなくなってしまいます。こういうやり方では、JICAは自分で自分の首を絞めているという見方もできる訳です。

そして、肝心の相手国の政府職員の見方ですが、JICAが雇ったコンサルタント会社だから自分たちも使えるという発想すら持っているのです。これが技術移転でしょうか、日本の経験を活かし、一緒になって考え、必要な技術を移転するという趣旨とは大きくかけ離れていると思います。

建前上、軍隊のない日本ですから、ODAは外交の有効な一手段だと思います。外務省にとって、ODAの実行部隊のJICAを独立法人にしてしまうというのはメリットがないものと考えます。そういう外交絡みのものは、今でもJICAを通じて実行可能という話がありそうですが、それなら独立法人というのはどういうことかという疑問が生じて来ます。

JICAはもともと国の組織ではありませんでした。それを独立法人にする意味があったのか、大いに疑問です。強いて合理的な理由をみつけるとすると、事業規模の縮小のためでしょうか。これは大変皮肉な見方ですが、JICAの活動内容いかんでは現実にそうならないとは言えないでしょう。

しかし、日本では実感のない景気回復のせいでODAには依然として批判的な意見が多いと思いますが、国際的な潮流の中では、日本からの援助はさらに求められているはずです。

現地に行って、与えられた仕事だけをさっさとこなして帰って来るというような国際協力ならば、縮小してしまえばいいとすら思います。また、現在やっているような技術までお金で買えるということなら、技術援助などしなくても資金援助をすればいいとしたものでしょう。こういう本質的な矛盾を持っていることを気がつかない方がおかしいと思います。

JICAがこのまま進むのであるなら、外務省の中に純粋なODA遂行機関を組織したらいかがなものでしょうか。

(おわり)
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by elderman | 2007-07-30 01:54 | えるだまの観察 | Comments(2)
Commented by madamkase at 2007-07-30 16:27 x
かつてどれほど高い評価を受けた事柄でも時代のニーズにそぐわなくなれば改変、統廃合、
その他必要に応じた措置を取るのは当然のことと思います。
1960年代から日本が目覚しい進展を遂げたことで、低開発国への技術援助をおこなうようになった
こと自体は高く評価されるべきですが、時代の変遷とともにその組織の構成員のクォリティが低下し、
組織自体が形骸化しているような状態ではないでしょうか。
どこを母体にしようと、組織自体に新陳代謝力がなければ成果が期待できないばかりか、
やたら威張り散らす人間ばかり輩出する欠陥煙突みたいなものです。
協力現場でほんとうに心血注いで指導に励む人も知っていますが、偉そうに現地の和食レストランなどで
無理難題吹っかけている程度の低いヤツも知っています。
「美しい国日本を作ろう」がスローガンの安倍内閣に大きな試練のときがきましたね。
このスローガンは中学生の作文の題名のようで、一国の総理にしては物足りないし、幼稚ですよ。
あまり役に立たない組織をどんどん整理しなければならない時代が来ていると思います。

Commented by えるだま at 2007-07-30 17:44 x
madamkaseさん、長文にお付き合いいただいてありがとうございました。^^
時代の流れかも知れませんが、それにしても素直に改革されてしまったものです。自己矛盾に気がつかない限り、改善はないとしたものでしょう。なんでも金で買えるという、国際協力や技術移転において間違った考えを基本にしているうちはダメじゃないかな。
今の安部政権は動きが取れないでしょうね、解散すれば大敗するに決まっていますからねぇ。組閣のやり直しでは解決しない問題でしょうから、とことん落ちるまでいくのかな。


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