えるだま・・・世界の国から

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2007年 07月 29日

国際協力の現場(5)専門家と現場

国際協力の場で活躍する専門家にはいろいろな種類があります。特定の技術移転のためだけに派遣された人、広範囲な行政的・技術的アドバイスをするために派遣された人というように性格も違っています。

ただ言えることは、専門家というのは直接相手国の人たちと接して仕事をしているということがあります。なぜこんなことを言ったかというと、一般的に外務省やJICAの職員というのは、外国でその国の人たちの中で仕事をやっていると思われがちだからです。

現実はそうでもないのです。そういう組織の人たちは、どちらかというと日本を向いて仕事をしていると言っても間違いではないと思います。もちろん、会議や打ち合わせという場で現地の人たちと接することはあるでしょうが、専門家が現地の人たちと接している時間に比べたら比較にもなりません。

ですから、国際協力の最前線にいる人が専門家であり、また別な分野で活躍している海外青年協力隊ということになります。この協力隊については、ボランティアベースなので今回は触れません。今回は、専門家の話ということで絞らせていただきます。

私は、どちらかというと行政的・技術的アドバイスを求められて派遣されるタイプの専門家でした。派遣前によく訊かれたことがあります。「あなたは任国でどんな技術移転をして来る予定ですか?」という質問です。私は、「行ってみないと分かりません」という答しか普通はしませんでした。

私の答えははなはだ無責任のように聞こえるでしょうが、むしろ私はこの点を強調したいと思います。現地に入って、何が必要で、どのように技術移転をしたらいいかを考えて、それから業務計画を作成するというのが本筋だと考えています。

専門家が任国政府に行くと、いろいろな問題に直面します。最悪なのは、前任者が要請したのであって今は必要ないとか、どうして要請書が出されたのか分からないとか、要請した分野とは違う専門家が派遣されたとか、技術移転の直接の相手となるC/Pが不在であるとか、所属先がまだ決まっていないとか・・・ 当初からこんな問題はいくらでもあります。

これらの原因にはいろいろあります。相手国の人事異動、日本側の調査不足、受け入れ側の体制の不備、日本側の対応に時間が掛かったので忘れられた、などなど。派遣された専門家にとっては原因を追究しても仕方のないことです。もしも、受け入れ体制がしっかりしていて、なすべきことが明確であるというケースだったら、これは幸運というべきでしょう。

相手国からすると日本側のアクションが遅過ぎるというのが大きな問題になります。要請書が提出されて専門家の派遣が実現するには、少なくとも1、2年以上は掛かっています。日本側もこれは承知していて、「日本の国際協力は動き出すまでには時間が掛かりますが、大きな仕事でも動き出したら着実に遂行されます」と説明しているくらいです。

派遣当初の実態を説明しましたが、結果的には紆余曲折しながらもなんとか業務が開始されることになります。業務計画はこうして少し先が見えた段階で作成され、実行に移されるものです。ですから、専門家が派遣前に現地でどうするつもりなのか、具体的に答えることは不可能に近いものでしょう。

専門家のC/Pというのは、かなり地位の高い人になります。課長、部長、局長、それは派遣される専門家のレベルにもよるでしょう。いずれにしても、高い地位の人というのは、会議への出席が多く、専門家と直接話をする時間すら限られているものです。

他の専門家がどうしているのか詳しくは分かりませんが、私の場合はC/Pの部下に対する研修・教育を行うことを主要な技術移転項目にしました。C/Pとは対等に議論し、その部下たちには技術移転を直接行うというパターンです。

専門家とC/Pとの人間関係は大変重要です。これがまずいと専門家は何もできないことになります。C/Pというのは、そのくらい重要な存在です。それが最初から不在というようなケースでは専門家は途方に暮れるしかありません。こういう最悪ケースを、幸い私は経験していませんが、同じ国に派遣された専門家からそういう話を聞いたことがあります。

JICAの制度の中で、いいものの一つにC/P研修というものがあります。これは実際にC/Pを日本に招き、日本で研修を受けてもらうというものです。前述したようにC/Pというのは地位が高いので、日本にいられる期間はせいぜい2週間、人によっては1週間程度です。

私は、このC/P研修期間と自分の一時帰国の期間を合わせ、日本に来ているC/Pの面倒をみるという方針を持っていました。そうしないで日本にC/Pだけを送り込む専門家もありますが、この場合はよほど受け入れ機関がしっかりしているのでしょう。

C/Pが日本にいる間、研修に同行することもありますが、一番の問題は休日です。休日、単身で来日しているC/Pを誰かが面倒みないといけないでしょう。私の場合は、家族総動員で対応しました。仕事以外の時間で個人的なつながりが深まるという意味があります。C/Pは業務遂行上大変重要ですから、C/P研修後、仕事にいい影響が出ることが多いと思います。

(つづく)

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by elderman | 2007-07-29 08:57 | えるだまの観察 | Comments(2)
Commented by MAKIAND at 2007-08-02 13:43
えるだまさんとお仕事できた方は幸せでしたね。^^
Commented by えるだま at 2007-08-02 14:01 x
MAKIANDさん、うーん、どうでしょうねぇ。
世の中にはいろいろな人がいますからねぇ。(苦笑)
一緒に仕事をした仲間たちは喜んでいますね。C/Pはいろいろかな。
問題は、その上の人たちでしたね。いろいろな思惑があるんじゃないかな。


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