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2007年 07月 28日

国際協力の現場(4)JICA事務所

現場主義といっても現地JICA事務所にすべての権限が移譲された訳ではありません。予算獲得の時期になれば、本部との折衝があります。本部に対する関係省庁からのアドバイスもあります。となると、専門家としても直接関係省庁と連絡を取るということになり、話がますます複雑化してしまいます。現場主義というキャッチフレーズ、スローガンですが、現実は必ずしも単純には機能しないものです。

現場主義に関してもう一つ不合理なことを挙げましょう。JICAには、専門家などに対する福利厚生というかさまざまな規定がありますが、いろいろなケースがあってJICA事務所の担当者は頭を痛めることが多いようです。日常業務のある中、個別に専門家から問い合わせのある特殊なケースの扱いについて調べたりすることは結構時間の掛かるものです。

このケースなどの場合、今ではインターネットなどで自由に通信できるのですから、本部にその分野に精通した職員がいて、適切にかつ迅速に処理することは十分可能だし、むしろ現場で対応するより効率的だと考えられます。

JICA事務所で問題だと思うことの一つに現地スタッフのリクルートの問題があります。JICAのポリシーは、まず安いこと、安くていい人材を探すことです。相手国の人件費の相場からみてもかなり低い金額でサラリーを抑えます。これでは、能力のある人材が集まりそうもないという水準です。実際、面接に現れるのは、ほとんど英語を話せない人たちです。

それでも、どういう事情かは分かりませんが、大勢の候補者の中から少しはまともな人材をみつけることはできるでしょう。そして採用になります。少ないサラリーに応募した人ですから、それなりのキャリアのはず、一から教えないといけないでしょう。

問題は、その後に出て来ます。こういう安く採用された人材が、JICA事務所で10年以上働くことになると、その給料は現地水準よりも大分高給になって行きます。外務省の規定を準用しているのでしょうが、毎年定期的な昇給があることがその理由です。こういうのは国によって変えるとか柔軟な対応がとれないものでしょうかねぇ。

そもそも大した人材を雇っていないのに、それが10年以上も働いていれば、高給取りになって行きます。こうなれば能力が不足しているといって辞めさせたくても、当事者が辞めるはずがありません。JICAのリクルートの方法、結果的に安い買い物なのかどうか大いに疑問です。

むしろ定期昇給をできるだけ抑えて、初任給を高目に設定すれば、いい人材を獲得でき、年数が経って昇給が悪いということになれば退職するかも知れません。外国で転職はかなり自由なのが一般的ですが、外国でも日本の終身雇用の制度を運用しているようで、腑に落ちないところです。

もしも、10年働いた優秀な現地スタッフが辞めてしまえば、また若い優秀な人材を高給で雇えばいいだけのことです。現地スタッフについて、日本人と同じように扱うべき、現地の人たちと同程度の給与水準を保つべきという二つの考え方があるので、解決策は簡単なことではないでしょうけどね。

JICA事務所には、他に問題点と言えば問題点といえるものがあります。イスラム圏では、木曜日・金曜日が休日になるので、日本と連絡を取り合えるのは月曜日から水曜日までの3日間しかありません。これは問題点と言っても、解決しようのない問題ですから仕方がないですね。JICA本部のイスラム圏担当部局は、休日を木曜日・金曜日にするとかすればいいのかな。外務省、大使館が一緒でないと意味がないですけどね。

(つづく)

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by elderman | 2007-07-28 00:05 | えるだまの観察 | Comments(4)
Commented by madamkase at 2007-07-28 01:45 x
こういう問題についてわかりやすく解説してくださるのでなるほどと思いますよ。
国際協力機構またはそれに類似する諸団体のなかには、ちょっと伏魔殿めいたの、ありますね。
続きを楽しみにしています。
Commented by えるだま at 2007-07-28 08:35 x
madamkaseさん、おはようございます。^^
改革は改善ならいいのですが、改悪になる場合もあるので困ったものです。
改革の号令の下で、変化してしまったJICAですが、どうなるんでしょうねぇ。
JICAは元々外務省の外郭団体だったので、不明瞭な部分はそちらからの準用なのではないでしょうか。正しいポリシーの下で仕事をされるのはいいのですが、短いコピーで弊害のあるような場合は問題だと思います。
Commented by 俘囚(「ふしゅう」と読みます) at 2007-07-29 05:27 x
 初めましておはようございます。
 向こうの7月は外国以前に本州から外へ出たことも無い僕にとって幾ら説明してもらっても想像を超える環境でしょうから実際に足を運んでみたいと考えています。
 しかし、貧乏ですから代わりにまだ見ぬ外国に憧れの眼差しで写真とテキストを眺めさせてもらっています。

 国際協力の現場(4)だけ読ませて頂いていましたら、何の関連もなく前に見た記事を思い出しました。

 記事ですと国連開発計画(UNDP)が北朝鮮の現地で人道支援を行うために雇った現地人(雇われたのは「核心階層」と言われる将軍様に忠誠心の高い人か、保衛部かと思われ)に給与で支払った外貨が偉大なる将軍様を助けるばかりか核とテロの資金にもなってるとか。
 ウォールストリートジャーナルの米大使とUNDP副総裁の手紙をすっぱ抜き、国連の北朝鮮に対する人道的支援が金正日の懐に消え、その行方はテロと核に・・・という話が正しければですけど。
 話が無駄に長くなったのともかくまた新しい写真を期待しています。
 失礼しました。長すぎたら削除して結構です。
Commented by えるだま at 2007-07-29 08:44 x
俘囚さん、おはようございます。^^
はじめまして、ようこそいらっしゃいました。
そうですね、違う文化・習慣・価値観・景色など実際に体験してみないと実感は得られないでしょうね。それでも、見る・読むは、少しは事前の知識としては役に立つと思います。
北朝鮮のような国でも庶民の感覚はあまり変わらないものでしょう。人々とは接してみたいものです。あの国は、親分がコケない限り無茶苦茶なやり方を続けそうです。あと10年の辛抱かな。


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