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2007年 07月 27日

国際協力の現場(3)国際協力機構

私は現状のJICAに失望してしまったので、もはやJICA専門家の道を進もうとは考えていません。ですから、これまで言えなかったことなども含めて、日本のあるべき国際協力という視点で考えていきたいと思います。

JICAという組織は大変素直な組織だと思います。前政権の指示どおり素直に変身してしまったのですから、驚いてしまいます。改革、改革の掛け声で、これまでの実績を正当に評価しないまま組織改革が進んでしまったものと思います。

その結果、前政権の好きだった短いキャッチフレーズを使い、「成果主義」、「現場主義」という響きのよい方針を掲げ、ホ○○モンのごとくお金で技術も買えるというやり方で新しい業務を開始したのです。技術がお金で買えるのなら、開発途上国にお金を上げた方が早いと思いますけどね。

「成果主義」、「現場主義」の問題点については、これまでに 「国際協力について」という記事で再三述べていますので、ここでは改めて触れることはいたしません。

現在のJICAは、基本的に公示、公募によりプロジェクトチームや専門家を募集しています。独立行政法人になって、これはJICA職員にとっては気持ちのいいことだろうと思います。まさにお金を使って技術を買うという作業そのものです。そのお金は、紛れもなく国家予算から来るものです。

外務省の下部機関としてのJICA時代は、そうはいきませんでした。責任の主体は、外務省あるいは関係省庁にあったからです。独立法人となった今、自分のところで予算を持ち、それを自ら運用できるのですから気持ちのいいのは当然でしょう。

問題は、予算の運用に際してその内容に精通する人材に不足しているということです。技術移転のすべての分野を網羅できるだけの人材を持てるはずがありません。また持つとしたら、どれくらいの職員数になるか見当もつきません。これまでは、国の巨大な行政組織を通じて必要な部局に協力をお願いできたから効率が良かったのです。必要のない分野には声を掛ける必要はありませんからね。

したがって、JICAの予算の獲得、執行に際して、裏で動いているのが国際協力分野におけるコンサルタント会社ということになります。企画段階からコンサルタント会社が動き、JICAに資料を提供します。そして、それがコンサルタント会社に発注され、業務が遂行される。この構造っておかしいと思いませんか。

実際の話、以前のJICAでは専門家活動の内容について一生懸命学ぶ職員は少なかったように思います。責任がないからと言えばそれまでなのですが、専門分野がいろいろあって担当者はとてもそこまでは追従できなかったというのが本音のはずです。専門家のレポートを読んでいたのはJICAの職員ではなく、責任のある関係省庁の担当部署でした。

以前、私が提出したレポートをJICAの担当者が読んでいないということを知り、それを詰ったら、「いろいろな専門家の面倒をみているのでそこまでみている時間はない」なんて叱られたことがあります。担当している専門家のレポートも読まないという怠慢を居直ってしまう担当者には呆れたものです。その御仁、麻雀が大好きだそうで、そちらには大変熱心なご様子でした。

このような実態があるから、JICAに責任を持たせたいという気持ちは分かります。しかし、問題は責任を持たせても、それができるかどうかということです。職員数を二倍にしたら、かなり成果は上がるでしょう。でも、これは今の日本政府の目指す方向として逆行です。現実的ではありません。つまり、そうしなければ本来的な機能ができないということは、改革が改悪になった典型的な例だと思います。

また別な話ですが、専門家として、相手国政府の中に行政アドバイザーとして派遣される場合があります。この場合の専門家は、コンサルタント会社の技術者という訳にはいきません。現職の公務員か公務員経験者が専門家に当てられます。この部分については、現在でも関係省庁の協力を得て仕事が進められているはずです。

現在、公務員の天下りが制限されている状況下でこの専門家としての派遣というのは人事担当部局にとっては美味しい話だろうと思います。後2年間外国で仕事するか、今退職するかを迫れるからです。国家公務員のエリートの方々は大変頭のいい方が揃っていますので、国際協力における業務遂行には心配はないでしょうが、ポスト化するというのは問題だろうと思います。

(つづく)

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by elderman | 2007-07-27 00:14 | えるだまの観察 | Comments(0)


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