2007年 03月 04日
ミスター・タンとの再会は本当に嬉しかった。私は彼のレストランで昼食を済ませると伊勢丹に向かった。ここからは歩いて行くしかない。その途中にシーフードレストランがある。歩道には相変わらず犬がだらしなく寝そべっている。 伊勢丹にもミーとよく一緒に来たものだ。彼女の好きな化粧品や、衣類など買ってあげたものだった。伊勢丹はあまり高級品志向をしてないせいだろう、結構賑わっている。私は6階のスーパーマーケットで買い物を済ませるとホテルに戻った。 長期滞在者用のホテルを空港周辺に求めたが、高級ホテルはあっても長期滞在者用のホテル・アパートメントはなかった。ホテルでは部屋が狭いので3か月もそこに住むのでは息が詰まってしまう。大きな部屋もホテルにはあるが、料金から言って論外である。私の使えるのはせいぜい月に3000ドルが限界であった。 AITの周辺にはたくさんの住宅があるが、そこに住む気にはなれなかった。バンコクでアジア大会が開催されたときの選手村がそのまま住宅地になっているのだった。結局選んだのは、もっとバンコク寄りのホテルであった。長期滞在者を対象にしたもので「ラヴィファ」という名前である。 ミスタータンに会ったせいかも知れない。私はミーに無性に会いたくなった。彼女はもう結婚している年齢である、会いたくても会えないだろうと思う。しかし、ダメでもともと、ミーの家に電話をしてみようと決心した。 どうしているのだろうか、あれから5年も経っているのだ。ミーの家には英語を話せる人はいない。彼女がいなければ意思の疎通も図れないのだ。 「ハロー、ディス・イズ・ハナイ・スピーキング」 「サワディー・カー」 「キャナイ・スピーク・トゥ・ミー?」 誰が電話に出たのか分からないが、どうやら英語が分からないようである。私は途方に暮れたまま受話器を持ち続けた。 少しの間だったのかも知れないが、私には10分も待ったような気がした。 「ハナイさん。サワッディ・カー」(花井さん、こんにちは) 「オー!ミー!ロング・タイム・ノー・シー」(おー!ミー!久しぶりだね) 「お元気ですか?」 「あれ?日本語を話せるようになったの?」 「今、私は実家に帰って来ています」 ミーの日本語には驚いた。彼女は日本人と結婚したのだった。彼女が実家にいるというのは、彼女が結婚して出産のために里帰りしていたのだ。赤ちゃんはもう生まれていた。私はまだ彼女の家を覚えていると思った。私は明日、彼女の家に行くと言って電話を切った。ミーの声は嬉しそうだった。 翌日、私はタクシーでバンコクに行き、大きなゴリラの縫いぐるみを買った。それを持ってミーの家に向かうのだ。彼女の家に行ったのはもう5年前、記憶はいい加減だった。それでも迷いながらなんとか彼女の家に着けたのは幸いだった。途中でタクシーの運転手が道を聞いたりしてやっと着けたのだった。 (つづく)
by elderman
| 2007-03-04 18:50
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海外在住13年余、渡航国数は40か国です。海外在住と海外旅行の記事、世界の花の写真、エッセイなど盛りだくさんです。現在は日本在住です。★お気楽にコメントをいただければ大変嬉しく思います。 by elderman カレンダー
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