2007年 03月 04日
ミーは私のことをどう思っているのだろう。それはいくら鈍感な私だって考える。これまで付き合ってきたところでは、彼女は私との特別な関係は求めていないように思われた。私だって彼女の人生を台無しにするようなことはできない。若くて美人のミーと誠心誠意付き合う関係でいいじゃないかと思っていた。 そんなことを考えている折、ミーから兄貴の結婚式へ出席しないかと話があった。タイ人の結婚式を知るにはいい機会である。私は儀式というものが基本的に好きじゃないのだが、今回の申し出は意味が違った。タイ人の結婚式というものがどういうものか本当に知りたかったのだ。 結婚式の儀式は新郎が花嫁を迎えに行くことから始まった。信じられないことに、行列を作って太鼓を叩いて迎えに行くのである。大名行列にあるような飾りを振り上げている人もいた。 そして新郎は花嫁と一緒に結婚式を挙げるお寺に向かう。私たちは先回りしてお寺で彼らの到着を待っていた。お寺には何枚かの綺麗な座布団があったが、それらは新郎新婦と儀式のもののようだった。私たちは板の間に座って待った。 やがて新郎新婦が着席すると、僧侶が何人も現れ、結婚の誓いの儀式でもやっているのだろうか、座布団の上で何かをやっていた。私は遠くからみているだけだったし、意味はよく分からなかった。ミーは近い親族なのでいろいろやることがあるのだろう、私の傍にはいない。 その後も儀式は長時間かかった。私にはいったい何をやっているのだろうというだけで進行はさっぱり分からなかった。やがて私の足がしびれてきたので投げ出すと、ミーが来て行儀が悪いとたしなめられてしまった。足の裏を他人にみせるのは行儀が悪いとされているのだった。長時間の胡坐だって板の間では疲れるのだ。私は長い時間我慢した。 やがて結婚式が終わったのだろう、食事が振舞われた。仕出し屋が持ってきた料理なのだが、簡易パックで体裁は悪いものの味は良かった。タイ料理というより中国料理のようなものが振舞われたのであった。私には一般論は分からないが、こういう儀式みたいな機会には外国料理が好まれるのかと思った。 朝から始まった結婚式だったが、食事を終えるともう2時近くになっていた。なんとものんびりした結婚式である。私はもともと好奇心のかたまりではあるが、この長い結婚式にすっかり飽きてしまった。機会をみつけて逃げ出そうと思っていたが、何しろ足がない。参加者のみんなが引き上げないと帰れないのだった。 ミーが傍にいれば気も紛れたろうが、新郎に一番近い親族だから、参加者へのもてなしなどに追われているようだった。私は彼女に負担をかけまいと努めてのんびりを装った。心の中は早く帰りたいの一心だったのだが・・・ やっぱり儀式というものはどこの国でも退屈なものらしい。私は儀式を好きになったことがない。意味のない挨拶の連鎖、歯の浮くようなお世辞、どうしてこういう時間の浪費を人間社会は必要とするのだろうか、私には理解の及ばないところである。 (つづく)
by elderman
| 2007-03-04 20:40
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海外在住13年余、渡航国数は40か国です。海外在住と海外旅行の記事、世界の花の写真、エッセイなど盛りだくさんです。現在は日本在住です。★お気楽にコメントをいただければ大変嬉しく思います。 by elderman カレンダー
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