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えるだま・・・世界の国から

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2006年 12月 29日

日本人の心と今後について(1)

 警察官が犯罪を犯し、教師が生徒をいじめ、子が親を殺し、親が子を殺し、振り込め詐欺の横行、酔っ払い運転、万引きの横行、自己中心的行動・・・などなど、昨今の日本のすさんだ社会情勢をみるにつけ、日本人の心の原点というのは何かという関心を持ってしまいます。これから日本はどうなっていくのだろうという心配から、そういうことを考えずにはいられません。

1.八百万の神
 よく八百万の神という表現を耳にしますが、実際に八百万の神々が存在しているかどうかはともかく、日本人が古来から自然に畏怖の念を抱き、神格化してきたことを思わされます。自然などに神を求める宗教は、原始的な宗教としてアニミズムという分類をされ、その後キリスト教のような一神教へと発展したというのが西欧の考え方のようです。

 日本の原始的宗教は、高度な文化を持つ国としては珍しく今日まで続いているように思われます。「触らぬ神に祟りなし」って今でも言いますね。宗教としてというよりも、自然に対する恐れ、敬いという意味で、西欧のような自然を征服するという方向でなく、自然に怒られないように、自然と調和を図ろうとする姿勢は素晴らしいものだと思います。

 古代社会では、八百万の神を怒らすと祟りがあるということになります。それがどういう訳か、死んだ人間に対してもその考えが拡大され、祟りを恐れるという考え方が浸透したようです。これはほぼ単一民族からなる日本の特殊事情によるもののように考えられます。実際、外国では日本ほど強く祟りを恐れるという習慣をみたことがありません。

 聖徳太子を筆頭に、無念のまま亡くなった人の祟りを恐れたという事例は日本に数多く見かけられます。これらを自然科学的に考えれば、日本は災害の多い国であり、疫病の蔓延など、原因の分からない現象について当時の人々が祟りという解釈をしたように考えられます。加持祈祷に頼ったというのはつい最近までのことでしょう。

2.仏教の普及
 仏教は、飛鳥時代の頃に伝来したようですが、一般に浸透したのは、空海や親鸞、日蓮たちの現れた12世紀くらいのことではないでしょうか。それまでは、一部の僧たちが苦行を伴って学んだものだったはずです。念仏を唱えるだけで、極楽浄土ができるというイージーな教えを広めたため、多くの信者を得たのはいいのですが、信仰心という意味ではどうだったのでしょうか。

 仏教国としてみた場合、タイの方が日本よりずっと仏教国らしくみえます。日本では昔のイージーな教えのせいか、日本人は死ぬときだけちゃっかりとお寺さんにお世話になるようです。仏前結婚というのもありますが、あまり人気がないようですものね。

 タイがどうして仏教国らしくみえるか、その理由を考えてみましょう。まずは、挨拶のときの仕草でしょうか、日本人は仏前以外では何かを頼むときにする手を合わせる仕草ですが、タイでは日常的に行なわれます。それから、タイでは兵役と同じように男子は一定期間僧になって修行をしないといけません。托鉢もあります。仏教寺院の多さもあげられるでしょうか。

 そのタイにもアニミズムはあります。魔物が家に近づかないようにと家のあちこちに魔よけをつけたりします。このあたりは日本とよく似ている気がします。タイでは神棚の代わりに王様の肖像が仏壇と一緒に飾られたりしています。

3.儒教の影響
 宗教という観点で日本人を見てきましたが、他に儒教の影響も大きいように思われます。これは宗教というよりは倫理観、生き方に関するものと言った方がいいかもしれません。ただ、儒教は支配者にとって都合のいいものなので、民主化の進んだ今の日本でどこまで重要な役割を果たせるか疑問を感じます。

 武士道というものを日本人の心の原点と捉える方もいらっしゃるようですが、武士道というのはそもそも武士階級の心得でしょうから、一般庶民にまで適用していいものかどうか、私には疑問に思えます。主のためにいつでも死ねるという人生観、ちょっと現代には適用が難しいような気がします。

4.日本人は無宗教か
 では、日本人が無宗教かというと、信仰心はそれほど強くはないものの、私は無宗教ではないと思います。訊かれれば、大半の人は仏教徒と答えるでしょう。これは面倒を避けるという意味もあるので、本当に仏教徒かどうかということには疑問はありますが、少なくとも誰かが亡くなったら、念仏を唱えるのですから、間違いとも言えないのではないでしょうか。

 八百万の神という古来からの精神があるので、日本人はキリスト教の神に対しても、イスラム教のアッラーに対しても敬意を払いますね。軽んじた行動をとる人はほとんどいないと思います。なにはともあれ、祟られたのではたまりませんから、敬意を払っておきましょうというのが深層心理だろうとは思っていますけどね。
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(つづく)

by elderman | 2006-12-29 07:33 | えるだまの観察


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