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2006年 10月 22日

日本人の特殊性(35)人事管理マジック

久し振りの「日本人の特殊性」のシリーズです。今回は日本で強力な役割りを果たしている「人事管理マジック」について書いてみたいと思います。

まず、人事管理マジックというのは基本的に余分なお金を必要としないで、労働者たちを一生懸命に働かせる効果があるということです。労働者を働かせるために経営者や管理者にとってこれほど経済的で効果的な方法はないでしょう。まさにマジックだと思います。

日本人には謙虚さが美徳として認められていますが、これを逆にみればそれだけ闘争心が強い国民とも言えるのではないでしょうか。そこで会社や組織に働き始めた労働者の同期同士を競わせるという人事管理マジックが有効になるのでしょう。

職場にはさまざまなポストがありますが、それになんらかの序列をつけて同期同士の競争心を刺激するということがあります。本当はポストに序列などないはずなのですが、組織図や名簿を作るとどうしても上下関係ができてしまいます。それでどっちが上か下かなんて印象を持たれてしまいますが、人事管理マジックではそれは歓迎すべきことなのでしょう。

ポストで給料が変わるというものなら話は分かりますが、一般的に大きな組織では同じ役職では給料は変わらないものです。特に公務員の場合はそうですね。給料が変わらないのにどっちが上かということで競争心を煽ることができたら管理者側は大歓迎でしょう。

私は、経済高度成長時代には、この人事管理が効率的に働いたと考えています。働く人たちもプラス思考ですから、一生懸命働くというものでしょうし、競争に勝てないと自覚した人でもそれなりに生活は保障されていました。今では、リストラという恐ろしい圧力があるので、恐怖政治のような体制の下で働かされているという哀しい状況があるようです。

この人事管理マジックと日本人の尊ぶ協調心とが一体となって日本の組織を作り上げてきたものと思います。能力のある人間が自己顕示欲を曝け出して仕事をしても日本では好印象は持たれませんね。能力があっても謙虚さが求められ、職場の仲間と協調して仕事をこなしていく、そして、周囲にその人の能力が認められて高い地位についていくというものだと思います。

現在のお金がすべてという風潮はまた別な問題を持っていますが、今回はこれまでの日本で行なわれてきたことについて考察しています。つまり現代的な変革を遂げた組織ではなく古い体質のままの組織を対象に考えていただきたいと思います。古い体質の組織、その典型が役所、あるいは大企業でしょう。

役所の裏金作り、問題点の隠蔽、身の保身優先、過労死、家庭崩壊、こういった問題の背景に人事管理と組織優先という日本人特有の特徴が出ているように思われます。私は、日本人にはもともと正義という観念は薄いように思っています。「清濁併せ呑む」、「勝てば官軍」などという表現がありますね。この概念は徳川家康の時代から影響を受けているんじゃないかと思っていますけど。

今の教育界で起きている問題をみていると、江戸時代のお家大事というものに近い発想が感じられます。問題は起きていないことにすればいい、そうすれば誰も責任をとる必要がないですからね。たまたま人事異動で問題のある部署の責任者になった人には不運な面もありますが、対応を間違えたりしながらも問題を隠蔽しようという体質はどこにでもありそうです。

それから人事管理というのは加点法というよりも減点法ということが普通ですから、これも問題の隠蔽という動機を持たせるものだと思います。なにも問題に巻き込まれないという強運の人が偉くなっていくということはあるでしょう。ですから、国の機関が「問題を隠さずに報告しなさい」と言ってもなかなかそんなことはできないんじゃないかなぁ。根は深いものだろうと思います。

これまでの日本の経済成長を支えてきた文化というか、さまざまな慣習・制度が新しい時代で歪をみせているような気がします。これからは性悪説を前提とした法治国家としてやっていくしかないのでしょうか。
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by elderman | 2006-10-22 10:17 | えるだま雑記【案内画面】 | Comments(4)
Commented by Mook at 2006-10-22 20:28 x
確かに、お役所とか金融関係はそんな感じを強く感じています
サラリーマン世界では結構住みやすい、過ごし易い世界なんですけどね~
Commented by elderman at 2006-10-22 21:17
Mookさんはどうなんでしょうね。
人事管理システムの中で踊らされているようには見えませんけどね。^^
ん?、それを利用している側でしたか。(笑)
Commented by 宇宙和里 at 2006-10-23 08:40 x
おはようございます^^。性善説で、進んでほしいものですが・・・(笑)。
給与の差がないことは、ある程度、人々に安心感をもたらすものだとは、思いますが、肩書ではわからない、実務的なレベルで、仕事能力の差、または、熱心さ、などで”差”を感じる人たちは、どうして同じ給与なのか?・・・不満にはなるでしょうね・・・。日本の人事マジック、今回のを読ませていただいて、なるほど~という驚きと、やっぱり~という”あきれた感じ”両方がありました。 どんなにがんばっても、上司に認めてもらえなかったり、組織のシステムが、そういう成果を汲み上げないようになっていると、熱意だけでは、そのうち、”息切れ”を感じて、辞職・転職となっていく人もいる、、、と思います。組織を上手く動かすことは、大事ですよね、みんなで沈没すると、その家族もみんな困りますから・・・。でも、それで個人をつぶされると、結局、内側から崩壊するような、、、気もしますよね。
保身は、、、やはり、組織優先の 置き土産 でしょうね。 ん~、むずかしいもんですね。
Commented by elderman at 2006-10-23 08:54
宇宙和里さん、おはようございます。^^
人間の行動のすべてを律するような法律を整備するなんてことはできませんから、マナーやエチケット、倫理観など子供の頃からの躾が重要だと考えています。学校に入ってからでは遅いんじゃないかとも思います。
古いシステムのよさ、悪さ、こういったものを的確に見極めていきたいものです。表面に出て来た事件ばかり扱っても根源となる文化・習慣というものを考えないといけないと思います。
現在の日本は試行錯誤の最中なのでしょう、お金がすべてという風潮もありますが、いずれは日本らしい文化・習慣というものが定着するんじゃないかなぁ。


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