えるだま・・・世界の国から

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2006年 09月 24日

国際協力について(13)技術移転のあり方③

1.見返りを求めない援助
 ODA(政府開発援助)は、取りも直さず国民の税金から捻出されています。同じ地球上で、飢餓や戦争や紛争によって生命の危険に曝されている人々があるという現実ですから、こういう国々に対する支援というものは、見返りを求めない人道的な見地からの支援ということができるのではないでしょうか。

 日本は、国際的にみると無償援助の割り合いが少ないと言われていますが、これは円借款という巨額の援助があるため割り合いとして小さく見えるのでしょう。開発のためにインフラ整備は不可欠であり、そのために巨額の資金が必要になりますから、円借款の役割を無視するわけにはいかないと思います。

 無償援助は、開発途上国の中でも最貧国に近い国々に対する支援ですから巨額なものではないはずです。問題があるとすれば、被援助国で適切にお金が使われないということがあるでしょうか。特定の人たちの懐に入ってしまうのではたまりません。

 以上のような見返りを求めない援助というものはあると思います。最貧国の多いアフリカの諸国に対する援助について、日本を国連の常任理事国に推薦してほしいという見返りを指摘する人もあるでしょうし、そういう諸国には天然資源が豊富にあるという見解もあるでしょう。しかし、これらは早急な見返りを期待するものではありませんから、人道支援と考えてもいいと思います。

 災害時の緊急援助も見返りを期待するものではないでしょう。実行までに時間の掛かる日本でしたが、最近では地震や津波などの災害に対して迅速に行動できるようになって来ているようです。こういう行動は無駄な支援をしない限り、日本国民から支持される援助といえるでしょう。

 その他の国際協力というものには、それ相応の見返りの期待や危険の回避という意味があると思います。資源のない国の日本ですから、石油など天然資源の確保、輸送ルートの安全性の確保、こういう問題は私たちの生活に直結する事柄でしょう。

 近隣諸国との国際協力を通して、平和な関係の維持というのも国益になるものだと思います。経済大国の日本が国際協力など何もしないというのでは、近隣諸国の国民が日本に対していい感情を持つはずはないでしょう。

2.国際協力の成果とは何か
 見返りを期待しない援助でも成果というものは重要でしょうが、もともと人道上からの支援ですから、無駄がなければ良しとしたものでしょう。では、見返りを期待するような支援の場合、成果というものはどういうものでしょうか。技術移転などかなり専門的な領域での支援ですから、即国益になるというものではないはずです。

 となると、技術移転の成果というものはいったいどういうものであるべきでしょうか。被援助国が求める技術や機材を日本が提供するというだけでは不十分なはずです。それが活用されるようになってはじめて成果があったと言えるのではないでしょうか。言葉では簡単に言えますが、活用されるには被援助国の法整備や技術の普及などさまざまな問題が絡みます。このことを考えると、成果というものは簡単には見ることができないものではないでしょうか。

 被援助国に感謝されればいいという考え方もあるでしょうが、豊かな国が貧しい国を援助するのは当然と考える国々もありますから、日本人が期待するような感謝というものは、外交辞令以外で期待するのは難しいと思います。円借款のところで触れましたが、こちらでは被援助国の国民が知らなかったり、政府にしてもローン(借款)ということで感謝という気持ちが薄いものだと思います。

 JICAが活動を開始して約35年、この期間を通じてこのテーマとの格闘をして来たと言っても過言ではないと思います。現在、さらに独立行政法人になり、成果主義を掲げ一層真剣に取り組んでいるところだと言えるでしょう。私はこの点について、目に見えるものばかり追求して、形骸化しないだろうかという危惧を述べました。

 私は、国際協力や技術移転の成果というものは目に見えないものだと繰り返し述べていますが、一つの大きな成果といえるものを挙げておかないといけないでしょう。

 経済大国である日本ですが、国際的にはそれほどやっかまれていないということ(ごく近くにある国はちょっと別なようですが)、むしろ好感を持って見られていること、そして日本国のパスポートを持っていれば、大抵の国に自由に行けるということが挙げられるでしょう。JICAのこれまでの活動がこういうことに大きく貢献していると思います。

 効果的な国際協力の実現を目指して、今でも試行錯誤を繰り返しているJICAですが、過去の実績にもっと自信を持ち、目先の成果ばかり追いかけずに、マスコミや妙な政治家に振り回されずに大人の支援が行なえる国際的な援助機関になってほしいと私は考えています。

(つづく)
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by elderman | 2006-09-24 08:34 | えるだまの観察 | Comments(4)
Commented by mintogreen at 2006-09-25 23:09
えるだまさんが、ずっと仰られて来た事は、なかなかマスコミにとりあげられない事が多いけど、その国にもたらされたものは、必ず感謝され、積み重ねによって実を結ぶと信じています。
目に見えないところで個人個人、或いは、チームによっての陰の努力が、こうして国と国の繋がりを造り上げていってると思うと嬉しいです。
私達は、JICAに感謝しなくてはいけませんね。

本当に、今の政治家は自分の保身しか考えてない人が多すぎますね。
プンプン!
えるだまさん、いつも貴重な記事をありがとうございます。
Commented by elderman at 2006-09-26 03:41
mintogreenさん、ありがとうございます。^^
いいことというのはマスコミ受けしないようで、不正とかインチキとかそんなことが話題になるので困ったものです。(汗)
国際協力の分野には、多くの立派な方々の努力が見えないけれどもたくさんあったことと思います。JICAはその実行機関だったのですが、今は妙に成果にばかりこだわっているように思われます。
Commented by kaze at 2006-09-26 08:16 x
実は私はJICAの専門職の方の活動を、えるだまさんにお会いして初めて知りました。
私の市には海外青年協力隊の基地があり市でも支援し、よくPRされています。
しかし、専門職の方のご苦労はほとんど知れれていません。
もう少しPRするか、NHK等で活動を特集していただくのがいいかもしれません。しかし、関心がなければやはり一般の方は見ないのでしょうか。
海外への技術移転、ほんとうにご苦労様です。
Commented by elderman at 2006-09-26 10:12
kazeさん、おはようございます。^^
海外青年協力隊はボランティアで、さまざまな分野の能力を持った人が草の根活動として開発途上国に入ってその国の人たちと一緒に活動するというものですから、評判が悪かろうはずもないですね。
一方の技術移転の柱でもある専門家活動は、被援助国政府に対するものなので規模や責任が大きなものです。すんなり技術移転ができればいいのですが、なかなかうまく進まないというのが悩みの種です。


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