えるだま・・・世界の国から

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2006年 09月 23日

国際協力について(12)技術移転のあり方②

今回JICA(国際協力機構)で起きた事件、実はこちらで書いていることと無縁ではありません。独立行政法人になった新しいJICAでは、その独立という性格からでしょうか、かなりの業務を公募に移しています。つまり、業務の遂行者を公募して、提案書の内容を審査の上、業務委託しようとするものです。

これらの手続きは本部で行なわれますから、事前調査などの報告会や質疑などが行なわれるもののいわば机上のものです。もちろん、業務が始まれば、現地事務所の担当者が案内やら業務の遂行状態をみていますが、調査チームにべったりと張り付いている訳にはいきません。経費の報告は領収書などで証拠書類を提出するものですが、開発途上国では領収書などは簡単に作成できてしまうものです。

領収書の用紙に連続番号が打たれ、領収書を無意味に発行しないように管理している日本とは事情が違います。文書、データが大きな価値を持つというのは先進国でのことでしょう。開発途上国にその概念を適用してようとしても、文化・習慣が違います。今回の事件では、このような書類審査偏重ということから起きたものと思われます。書類さえ整えて提出すればいいという部分を悪用したのだと思います。

発覚したのは、同じ国で発注された下請け業務の価格が特に高くて目立ったのかも知れません。常識的な金額では、受注者にまで支払われた金額のチェックを行なうということはできないでしょう。もう一つ考えられるのは、受託業者に嫌疑が掛けられていたのかも知れません。これについては憶測に過ぎませんけどね。

私が個人的に不思議に思っていることに、JICAの基準では下請け業者の儲け分を見積に入れないということがあります。人件費のところで多目に見ているということなのでしょうか。私がセミナー開催の業務委託をするときに、現地コンサルタントにすべて必要経費だけで見積書を作成させたことがあるので気になっています。もちろん、現地コンサルタントは儲けにならないとぼやいていました。

どこかで水増し請求をしないと会社に儲けが出ないという仕組みが背後にあるのではないかと思ってしまいます。ガラス張りで厳しい基準を通すと、逆に不正を誘発する可能性というのもあるのではないでしょうか。企業には適切な儲け分というものがあっていいと思いますが、諸経費は認められず、人件費の部分だけで会社の利益が捻出されているように思われます。

もう一つ考えられるのは、公募では競争原理を取り入れているので、よい提案で安い見積を行なったコンサルタント会社が受注できるということです。業務の質などは実績や書類で審査されているでしょうが、JICAは基本的に一番安い業者に発注するシステムです。これは入札制度などの精神からある意味当然なのですが、競争の中で質と儲けを維持することが難しくなっているのではないかと感じます。

このような厳しい技術審査、書類審査の中で、民間コンサルタント会社はどこかで手を抜くか、水増し請求をする動機を持つようになるのかも知れません。肝心な仕事で手抜きでは効果的な技術移転、国際協力というものが図られるか疑問に思います。また、不正防止のためにJICA職員が現地で受託業者の業務監視に専念するというのでは、肝心の技術移転業務の方に影響が出てしまいそうです。

(つづく)
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by elderman | 2006-09-23 08:03 | えるだまの観察 | Comments(0)


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