えるだま・・・世界の国から

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2006年 09月 21日

国際協力について(10)現場主義

JICA(国際協力機構)では新しい理事長になり、「現場主義」というテーマが掲げられています。国際協力のためにJICA職員がどんどん被援助国に出掛けて行って、効果的な技術協力を行なおうというものです。東京にある本部で机上の空論を繰り広げていてもしょうがないということなのでしょう、趣旨は立派なものに思われます。

ところが現実ベースの話では、少し無理がある部分があります。JICA本部には多くの職員がいますが、技術移転活動の内容は多岐に及んでいます。その内容にまで精通することは至難の業のように思われます。それが、現地事務所に派遣されて、専門家の活動をみると言っても職員数に限りがあり、技術移転の内容まで踏み込んで理解することは現実問題ほとんど不可能に近いものだと考えます。

例を挙げると、大きな分類では、土木、農業、漁業、林業、医療、環境、教育、災害、工業、ITなどがあり、環境の中は、自然環境、公害部門と二分され、公害部門には、大気汚染、水質汚濁、騒音・振動、地盤沈下、土壌汚染、廃棄物などがあり、さらに大気汚染の中には、防止対策、防止計画、組織・制度、モニタリング、各種基準、気象、測定方法、発生源の同定などの専門分野に分かれるというくらいです。

そして、さらに細かいことを言えば、今日のあらゆるサービスのグローバリゼーションの中、日本からの送金など、いちいち現地事務所を経由することが効率的であるかどうかは大いに疑問なところです。経理や庶務的なことは、むしろ本部で一括して処理した方が、現地事務所の職員数の減少を図れるものではないかと考えられます。

現地事務所に大きな権限が移譲されると、専門家は却ってやりにくくなるという問題点もあります。説明しなければいけない相手が二人になる訳ですから当然でしょう。しかも、それぞれの意見が違ったりしたら最悪な状況になるでしょう。現地事務所は同意してくれたものの、本部が了解しないなんて事態は実際ありがたくないものです。こういうことは現実問題として、次年度の予算獲得というときに発生するものです。

JICAの現地事務所は、技術移転活動が円滑に実行されるように支援し、必要に応じてその内容を監視し、場合によってはやり方の提案をするというような機能で業務を遂行していただきたいものです。小さな現地事務所では、所長を含めて4人しかいないという場合もあります。専門家が10名も派遣されたら、所長一人、庶務担当一人で実務担当者が二人という体制では、とても個々の業務に集中することはできないのではないでしょうか。

問題点ばかり羅列しましたが、JICAの現地事務所自体のメリットはあるでしょう。被援助国に対する日本のプレゼンスを強調し、他の国や国際機関に比べて勝るとも劣らない協力姿勢をみせることもできるでしょう。供与機材などの免税特権や技術移転のやりやすさにおいてもメリットはあると思います。

現場主義というテーマの下で、JICAの職員が汗をかきながら、効果的な国際協力、技術移転を図っていくということは大変結構なことですが、無理なことは無理だと判断することも必要なのではないかと思うことがあります。

(つづく)
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by elderman | 2006-09-21 06:32 | えるだまの観察 | Comments(0)


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