えるだま・・・世界の国から

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2006年 09月 20日

国際協力について(9)成果主義③

”TOR”に基づいた技術移転について書いて来ましたが、30年以上の実績を持つJICA(国際協力機構)では違ったやり方を持っていました。主として、被援助国の政府の中に入り、政策アドバイザー型の専門家に対して行なって来た方法です。こちらの専門家は国の省庁からの推薦による専門家が派遣されることが多いようです。

こちらの場合、外務省を通して提出された被援助国からの要請書に基づいて、その内容に相応しい専門家が選抜され派遣されます。この専門家は、被援助国に着いてから、さまざまな必要な情報を集め、効果的な技術移転の方法を検討します。普通は3か月くらい掛かります。そして、被援助国とその内容の協議を行い、その結果を業務計画書としてまとめJICAに提出します。

その後、こういう専門家の活動は、中間報告書にまとめられ、計画の進捗状況がJICAに報告されます。この場合でも、相手のあることですから、計画変更ということは十分あり得ることです。

現在のところ、こういう専門家活動の件数は減少傾向にあるようです。専門家が省庁のポスト化しているという批判があったり、技術移転の成果の評価しにくいというのが問題のようです。私は、もともと目に見えないものだと考えていますから、評価が難しいことは当然だろうと考えていますが、「成果主義」のテーマの前では少し弱いようです。

私は、個人的には従来のやり方に意義を見出している人間です。第一に被援助国の職員たちの仕事をみながら、仕事を通じて必要な技術移転ができるし、何よりも連帯感を持つことができるというメリットがあると考えているからです。技術移転が上手く運べば、当初計画よりもさらに大きな技術移転に発展できるし、技術移転に不足があれば必要な専門家の援助を仰ぐこともできます。

技術移転プロジェクトチームの場合でも同じです。チーム全体に大きな目標があって、各専門家に計画書作成が義務付けられます。チームの場合、専門家が長期派遣になるのが普通ですが、分野によっては短期派遣の専門家が混じるということもあります。

私は、この個別派遣専門家とコンサルタント会社に委託契約する開発調査との大きな違いは、専門家の現地滞在期間にあると考えています。コンサルタント会社でも専門家を長期派遣することもあるでしょうが、一般的には現地に最長でも1か月というのが普通だと思います。

この微妙な相違を持つ業務形態は、被援助国の政府職員の対応をかなり変化させるものです。政府とJICAは横並びであり、コンサルタント会社はJICAに雇われた集団ということから、コンサルタント会社はJICAに雇われていると理解しているからでしょう。技術指導者というよりも、自分たちもこのチームを使えるという解釈をしているようです。

コンサルタント会社は技術的な能力が高いからこそコンサルタント会社でいられるものです。そして、だからJICAに雇われる。日本国内におけるコンサルタント会社の社会的地位は、その能力に比べて低いと考えていますが、雇われる側の弱みということになるのでしょうか。

JICAの現在の傾向と試行錯誤について書いて来ましたが、やり方によっては「成果主義」というテーマが形骸化してしまうのではないかと危惧しています。”TOR”に基づいて、被援助国でそのとおりやってくればいいというようなものでない、本当に意味のある国際力、技術移転活動を期待したいと思います。

(つづく)
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by elderman | 2006-09-20 06:56 | えるだまの観察 | Comments(0)


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