2006年 09月 12日
これから少し日本の国際協力について考えてみたいと思います。ご存知のように、私は12年間に渡りこの分野で仕事をして来ているので、それなりには現状を知っているつもりです。変革の進む日本、その中での国際協力について改めて考えてみたいと思います。 まず、国際協力が必要なのかどうかということから始めないといけないでしょうね。外交が大事であることは論議の必要もないでしょう、現状がいいか悪いかは別にして外務省の役割というものは重要なものだと思います。となると、日本の国際協力不要論から考えてみるということも一つの方法かも知れません。 日本の戦後復興で、ワールドバンク(世界銀行)が多額の支援をしたことはよく知られていることでしょう。日本のODA(政府開発援助)の一つにJBIC(国際協力銀行)による円借款事業があります。これは数十億円のような巨額を低利で長期の緩やかな条件で開発資金を貸付けるものです。インフラ整備のためには巨額の投資が必要となるので、これは大きな援助の一つだと思います。 ところで、こういう低金利の借款を行う機関としては、ワールドバンクの他にアジア開発銀行というものもあります。そして、そこへ多額の資金提供を行っているのも日本です。このような環境の中、独立した円借款の事業が必要かどうかを考える必要があるでしょう。私は、この分野は素人ですから、正しい理解ができるかどうか分かりませんが、ともあれ真面目に考えてみたいと思います。 JBICの円借款事業を考えると、日本からの援助という色彩が強いことは自明なことです。国際機関に同種の事業があるのも拘わらず、日本からの援助ということは、とりもなおさず日本と相手国との関係を重視した行為でしょう。直接の見返りを期待しないにしても、将来的に良好な関係を維持するということで日本の国益になるものだと思います。経済大国の日本に資金援助を求めてくる国があっても不思議ではありませんね。 ところが、円借款でもワールドバンクローンでも同じなのですが、借りるときはお願いするけど借りてしまうとあまり感謝しないということがあります。私たちが銀行ローンをお願いするときも同じでしょう。イラン政府の様子をみていると、ワールドバンクローンの例ですが、借りたものは返すもの、したがってそれは自分たちのお金であると考えているようでした。 JBICでもワールドバンクでもいえることですが、これらの機関は審査をしてただお金を貸すということをしている訳ではありません。その使い方、必要な技術指導まで関与してきます。低金利のお金を勝手に使われては困るし、有効かつ適切に活用してもらわないと困るということからですね。ですから、借りた方は、いちいちうるさいなぁという本音があると思います。(苦笑) ということで円借款に関する私の個人的な意見は、経済大国の日本に円借款をお願いしてくる国がある限り、そういうことはしていないと断ることはできないと思います。身近な例に置き換えると、お金に困っているときにお金のある友人から借りるという行為に似ていますね。 あまり感謝されそうもない円借款事業に思えますが、経済発展のためのインフラ整備には巨額が必要ですから、円借款は必要な事業だと思います。政治家にばら撒きをやられたのでは困りますが、必要なものに必要な援助をするということは、外交的にも重要なことではないでしょうか。 (つづく)
by elderman
| 2006-09-12 10:42
| えるだまの観察
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海外在住13年余、渡航国数は40か国です。海外在住と海外旅行の記事、世界の花の写真、エッセイなど盛りだくさんです。現在は日本在住です。★お気楽にコメントをいただければ大変嬉しく思います。 by elderman カレンダー
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