えるだま・・・世界の国から

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2006年 05月 29日

イランの思い出(6)使用人

使用人のテーマの2回目です。今回はシェフの番です。4年間で二人のスリランカ人シェフに働いてもらいました。シェフと言っても、料理だけでなく、掃除、洗濯、ベッドメーキング、買い物も仕事になります。とはいえ、私は単身赴任ですから料理以外の仕事は簡単なものです。

私が大きなアパートを借りた理由の一つに、パーティをやって仲間を呼んで楽しみたいということがありました。娯楽のないイランですから、そのくらいの楽しみがないと長期滞在が辛くなりますものね。ですから、ちゃんとした料理の作れるシェフを雇うことは大変好都合なのです。もちろん、パーティの準備、給仕、後片付けは大きな仕事ですから、別にお手当てを払ったことは言うまでもありません。

ところで、アパート住まいではメイドを雇うというのが一般的ですが、なぜそうしなかったかということに触れておきましょう。タイなどでは、大きなアパートにはメイドの住み込み用の部屋があります。平日は住み込んで、週末に家に帰るというような生活になるのが普通でしょう。

しかし、イランでは話が違います。メイドと言えば女性ですから、女性の住み込みはやっかいな問題です。しかも、イラン人女性となれば、ペルシャ語しか話さないし、イラン料理しか作れないでしょう。これでは困るのです。そういう条件のところにスリランカ人の男性シェフの存在というのはありがいものでした。

スリランカ人シェフだと、インド料理はもちろん、西洋料理も作ることができます。イラン料理は外食やお呼ばれでたくさんですから、申し分のない人材ということになります。お陰で、ゴルフ仲間や仕事仲間を呼んで、カラオケ・パーティやインド料理パーティなどを楽しむことができました。

最初のシェフは、大家さんに紹介してもらったもので、約1年半の間働いてくれました。彼の場合は解雇でなく、なんと家族と一緒にスペインに脱出してしまったのです。イラン人にはモハンマドと呼ばれていましたが、本名は別にあり、あまりにも長いため、私は「ディーン」と呼んでいました。

ディーンはイランに来て25年になると言います。そしてイラン人の奥様を持ち、二人の子供がありました。一度招待されたことがありますが、立派な家を持っていました。彼の働いている間、よく聞きましたが、彼は本気でイラン脱出を計画していたのです。イランにいてもいい将来が期待できないというのが彼の見解でした。

ディーンは単なるシェフではありませんでした。私のアパートの仕事以外にケイタリング(仕出し)をやっていたのです。ケイタリング会社の社長でもあります。スリランカ大使館だけでなく、あちこちの大使館から声が掛けられていました。私のアパートでは携帯電話で指示を出していたものです。

外国の大使館では、やはり西洋料理やインド料理というイラン料理でないメニューが歓迎されるのでしょう。週に1、2回はパーティの準備があり、私のところの仕事を休むこともありました。そういうディーンですから、各国の大使との面識もあるくらいなのです。

各国の大使館とのつながりがあるので、アルコール類を手に入れることは割り合い簡単なようでした。私がイランに着いた頃は、アルコール類の入手はちょっと難しく、また種類も限られていました。そんな状況でしたから、彼の入手してくるアルコール類には喜ばされました。2年くらい後には、一般的なアルコール類が手に入るようになりましたから、状況は変化していますけどね。

そのディーン、1年半後に家族でスペイン旅行に出たのです。ビザを取得するために家の登記書類を提出したと言います。そして、彼と家族は二度とイランには戻ってきませんでした。私とはE-メールでやりとりできたので、彼がどこで何をしているのか知ることはできました。

彼が定住を決めたのは、コスタデルソル(太陽海岸)にあるマルベージャという町でマラガの近くにあります。スペインのマドリッドには彼の弟がいて事業を成功させています。ディーンは最初はインドレストランのスーパーバイザーとして仕事を始めましたが、その2年後には自分のインド料理レストランを持つことになりました。事業で成功した弟の援助があるにせよ、立派なものです。

彼の突然の国外脱出で、私は彼に支払うべき退職金や給料がありました。そこで、私は休暇を利用して1年後にコスタデルソルに行ったのでした。立派な経営者になった彼ですが、私を呼ぶときは相変わらず「サー」でした。私は、彼の国外脱出、そして成功を心から喜びました。

長くなってしまったので、二番目のシェフのお話は次回ということにしましょう。

(アパートでケバブを焼くディーン)
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(スペインでレストランのスーパーバイザーをするディーン)
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by elderman | 2006-05-29 10:31 | Comments(10)
Commented by ネリ at 2006-05-29 10:33 x
面白いですねwwww
Commented by elderman at 2006-05-29 10:45
ネリさん、はじめまして。^^
ようこそいらっしゃいました。
Commented by ひよこ.com at 2006-05-29 12:49 x
ちは!
おおーあちらの方って商売上手って言うか
なんかあっという間にすごいことになってますよね。
見習いたい部分ではあります。
Commented by elderman at 2006-05-29 13:51
ひよこさん、こんにちは。^^
そうですね、大変だったろうと思いますが、それにしてもすごいものです。^^
何事も、勇気とやる気かなぁ・・・
Commented by madamkase at 2006-05-29 14:48 x
私が最初にえるだまさんのブログにお邪魔した頃、スペイン旅行の思い出を書いていらして、ディーンさんの一家の歓迎振りが伝わってきました。わざわざ給料の残りや退職手当を届けてくれる雇い主など、ほとんどいないでしょうから、えるだまさんは素晴らしいことをされたのだと思います。人間関係はそうありたいですね。
Commented by elderman at 2006-05-29 15:04
madamkaseさん、そうなんです。^^
あのスペイン旅行にはこういう事情があったのです。シェフの人材確保に関しては大当たりでした。^^
スリランカ人にはとてもいい印象を持っています。お金のことを決して口にしないという点、日本人に似た文化を持っているようです。最近の日本人はすべてお金という風潮があるようで、ちょっと気になりますけど・・・
Commented by mintogreen at 2006-05-29 20:57
えるだまさんの、人に対する誠実さが多くの国で友人が待っていてくれているのですね。
今でも、「サー」って呼ばれる位、信頼関係を築きあげたのですね。
素晴らしいシェフに出会えて良かったですね。
Commented by elderman at 2006-05-29 21:35
mintogreenさん、嬉しいですね。^^
「サー」って呼ばれるとムズ痒いですけどね。(笑) どんな仕事をしていても、立派な人間というのは変わらないものです。人間、見かけじゃないよね。^^
Commented by at 2006-05-29 22:25 x
な~~~んだ、イランでもカラオケしてたんですね・・・・。ノリノリの理由が・・・判明ですわ。
Commented by elderman at 2006-05-29 22:41
華さん、あっはっは。^^
イランでは、タイで仕入れたカラオケが600曲ほどありました。^^


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