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えるだま・・・世界の国から

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2005年 07月 21日

冷房中は窓を開けるべし

この話題は「なんでもあべこべ」のお話のときに書けばよかったかも知れません。これはイランでは常識なのです。部屋の冷房をしている時には、必ず窓を開けます。もちろんあまり開けたのでは外部の暑い空気が入って来てしまいますから、全開放というものではありませんけどね。

イラン人は頭のいい国民です。部屋の冷房のときにそうするからと言って車で冷房中に窓を開ける人はいません。要するに彼らは冷房のメカニズムを知っているのです。ですから、部屋の冷房のスイッチを入れるときに、まず給水のスイッチを入れて、約3分待ってからファンのスイッチを入れます。この妙な一連の動作はどうしてでしょうか。考えると面白いですよ。

建物の冷房の場合、イランでは日本と違う冷房方法をとっています。日本の場合には冷媒を使って部屋の熱を外部に放出するという構造の冷房装置を使っていますから部屋の一部が開いていれば、暖かい空気がコンプレッサーに戻ってしまい、冷房効率が落ちてしまいます。ですから、冷房中は部屋のドアや窓を開けるなんてことは考えられないことです。

ところが、イランの冷房装置の構造は日本の冷媒を使ったものとは違います。単純に気化熱を利用するものなのです。水を流してそこに風を送るだけという極めてシンプルなものです。気化熱は539cal/gものエネルギーを吸収しますから、かなり効率の良い冷房ができます。

どうして同じことが日本でできないのかということは、既にお分かりでしょう。日本は湿度が高いため、水が蒸発しにくい、だからイランほどの冷房効果が得られないのです。つまり砂漠地帯特有の乾燥を利用した冷房方法と言えますね。

最初からすべてのスイッチをONにしないのは、乾燥しているために前日からの埃が気化器のダクトなどに付着しているからです。ですから、最初は水を流して埃が飛ばないようにする訳です。3分して十分水が循環したら、送風のスイッチを入れます。奇妙な一連の操作は最初の風に埃を混じらせないためだったのです。

窓を開けるというのは、締め切った部屋では冷たい空気が送られにくいということもあるし、湿度を持っているので、空気を乾燥させないと蒸し暑く感じるということもあるでしょう。窓を開けても閉めても、イランの冷房装置に変化はありません。ただ、ファンが動いて送風しているだけですからね。

冷媒を使った日本の冷房装置よりも地球に優しい冷房の方法だとも言えるでしょう。ドバイなど一流ホテルでは日本と同じ冷房方法をとっているはずですから、イラン流はやめておいた方がいいですね。夏のドバイの気温は50度近いし、湿度が非常に高いですからイラン方式の冷房では効き目がないでしょう。

今回の話は、日本での常識が通じない一つの例でした。^^


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by elderman | 2005-07-21 13:52 | えるだまの観察


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