えるだま・・・世界の国から

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2005年 12月 23日

専門家活動の紹介(10)大気汚染情報センター(本庁)

しかし、ワールドバンクプロジェクトは、既に具体的な計画が慎重に検討された上で、採択されて動いているものですから、簡単にはその計画を変更できないものです。イラン側が計画を変えようとしたのは水質に関するプロジェクトが暗礁に乗り上げたからで、そのお金を大気汚染プロジェクトの方に振り替えようというものだったのです。

私を真っ青にさせた事態は直ぐに収束しました。ワシントンにあるワールドバンク側がイラン側の計画変更を拒否したからです。私は当然のことだと思っていましたが、お陰で私の方は再び全国規模での技術協力ができるという状態に戻ったのでした。

イラン政府の動きは亀のようにのろいかと思うと、ある日突然動き出すということもあります。私が主張していた「大気汚染情報センター」の設置が急展開でなされました。かなり大きな執務室が提供されたのです。しかも、女性の専属スタッフを2名配置してくれたのです。

(本庁の大気汚染情報センター)
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私の役割りは役務供与ではないので、センター長というポストでは困るのですが、幸い専属スタッフの2名のうちの一人が環境局職員に昇格したので、私が去った後、マネージャーとして機能してくれることでしょう。環境局内部で働いているスタッフの半分以上は正職員でなく契約職員なので、これではいつ辞められてしまうか分からないという不安定要因があります。現在のイランでは役所の職員から民間に移動するという人はほとんど見かけません。やはり安定収入が魅力なのでしょうか。

大気汚染情報センターという入れ物だけでは意味がありませんから、早速全国の大気汚染測定データの収集活動と配属スタッフへの技術移転活動を開始しました。地方都市でのワークショップにも参加してもらい、知識をどんどん吸収してもらいました。

環境局には大気汚染研究局のほかにラボラトリ局というものがあって、各州の大気汚染測定の管理を行っている組織があります。各州→ラボラトリ→研究局という構図になります。私の技術移転はこのいずれにも関係するため、ラボラトリ局との技術協力についても業務展開を図ることにしました。

ラボラトリ局から2名が選任されて私の行う内部セミナーを受講することになりました。ということで現在まで測定データ管理及び大気汚染機構の二つのセミナーを行っています。各州、ラボラトリ、研究局と三者が共通のもので測定データ処理を行えるようにするのが、私の目論見でもあります。そして最終的にはワールドバンクプロジェクトで設置された測定局のデータもこの流れの中に入ってくることになります。私の目指す技術移転の全国制覇への道筋が整って来ました。

私の仕事がこのようにして進んでいる中、イランでは大統領選挙が行われました。新しい大統領は保守強硬派というグループでいままでの保守穏健派とは様変わりです。日本とは違い、外国ではよくあることですが、局長以上の大きな人事異動が伴います。

選挙が8月であったにも拘わらず、環境局内部の人事は12月になっても完全に固まっていません。トップの副大統領、ナンバー2の局次官は決まりましたが、今でもまだ局長クラスの人事が流動的です。新大統領の方針で、専門職はその分野を専攻したスペシャリストを配置すべきであるということのようです。私のような外国人専門家についての方針は聞いていませんので、私の技術移転がこの先どうなるのかという不安要素がないとは言えません。

イラン政府のために行っていることですから、大きな反対が起こるとは思えませんけれども、新体制の考え方が気になるところです。そして新しい局長がどういう考えを持つ人なのかも重要な要素になるでしょう。この記事の連載が終わる頃にはこの問題は解決していることと思います。

(つづく)
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by elderman | 2005-12-23 16:35 | Comments(2)
Commented by mintogreen at 2005-12-23 23:42 x
えるだまさん、こんばんは。
そういう訳があって、イラン側は計画を変えようとしたんですね。
でも、全国規模での技術協力が出来る状態に戻った事を知り安心しました。しかし、新体制の考え方が、今度は気になります。
現在のイランは日本と違い、天下り天国という図式は存在しないのですね? それは、不安定な社会情勢だから役所の方が安定した収入が得られるという事ですか?
日本のあの図式が、社会を歪めているんですよね。

Commented by elderman at 2005-12-23 23:57
mintogreenさん、こんばんは。^^
今現在、新大統領の下の新体制の国内方針はいまいち見えて来ていません。従来のコネで人事を動かすことに歯止めと掛けようとはしています。大学で専攻した分野の人材をそのポストに当てるという原則を貫いています。天下り・・・ これをイランの情勢に当てはめることはできないでしょう。首になった局長さんたちは大学教授の肩書きを元々持っているので大学に戻ればいいだけです。これは天下りではないですね。
なぜ役所を好むのか、それはちょっと長い話になるので、また別な機会にね。^^


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