えるだま・・・世界の国から

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2005年 12月 07日

テヘランの大気汚染(イラン)

この話題は頭の痛い問題ですが、紹介しない訳にもいかないでしょう。今日は大気汚染がひどいため、学校、官公庁は休日になりました。私は大気汚染対策の専門家なので、そんな休日を喜んではいられません。実はテヘランではこの一週間ほど大気汚染の状況が最悪に近いものでした。大気汚染物質は一酸化酸素で自動車の排気ガスに含まれているものです。

イラン製の自動車の排気ガスには高濃度の一酸化炭素が含まれていて、これがテヘランの大気汚染の原因になっているのですが、そもそも一酸化炭素というのは不完全燃焼によって発生するものですから、日本の自動車の常識から考えたら過去の遺物のようなものです。日本の自動車は不完全燃焼なんて燃費悪化の原因ですから、20年以上も前に問題解決されています。

テヘランでは悪質なガソリンと劣悪な自動車エンジンがいまだに一酸化炭素という大気汚染物質をばら撒いているのです。近年、政府のいろいろな努力の甲斐もあり、新車への代替も進んだため一酸化炭素により大気汚染が改善傾向にありました。

テヘランの気候では一年を通じて秋と冬の境目、丁度今の時期が一番大気汚染に危険な気象条件が整います。風が弱く、大気が安定した日が続くからです。大気汚染については大気が安定するというのは非常にまずいことでして、雷雨のように不安定な状態が逆に好ましいものなのです。不安定な状況では大気汚染物質が簡単に吹き飛ばされてしまうからです。

私は今回のこの最悪の大気汚染について、スケールの大きな気象現象がもたらしたものだと考えています。まだ、詳しいデータを見ていないので断定はできませんが、相当大きなスケールで大気の安定層が形成されているようです。要するに大気汚染物質が逃げていかない構造をしているということです。普通、日中には大気汚染物質は上空に拡散してしまうのですが、それがないのです。
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大気汚染のせいで学校や官公庁がお休みになりましたが、日没の頃には大気汚染問題は一段落したようです。大気汚染のせいで夕日が赤いものの、地平線近くまで夕日が見えるのですからまずは深刻な状況は一段落したように思われます。
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(写真の撮り方では綺麗に見えますけど・・・)
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(よく見るとまだ大気汚染が見えます。)
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by elderman | 2005-12-07 20:26 | 日々の雑感 | Comments(18)
Commented by mintogreen at 2005-12-07 22:06 x
えるだまさん、おかえりなさい。
待ちくたびれた~、と言いながら、おじゃまする時間がとれなかった~。
この度は、テヘランは大変な惨事でしたね。
こういう二ュースを聞くたびに、心が痛みます。
この大気汚染も本当に大変な問題ですね。
一番大きな原因としては、自動車ですか? そして産業廃棄物、生活排水、リサイクル時から排出されるガス、数え上げたらきりが無い位に、人間は様々な悪いものを生み出しているのですね。
大きなスケールの大気の安定層なんて、怖くなりますね。
えるだまさん、本当に重要なお仕事に就いていらっしゃるのですね。
ご苦労様、お疲れ様でした。
Commented by elderman at 2005-12-07 22:11
mintogreenさん、こんばんは。^^
なんだかすごくお久し振りのような気がします。たった2日の出張だったんですけどねぇ。
軍用機の事故で大気汚染の問題の方が霞んでいますが、実生活の方面ではこちらの方が大きな影響がありそうです。子供が登校拒否だなんて思う親もいるかも・・・(汗)
Commented by 宇宙和里 at 2005-12-07 23:05 x
こんばんわ。あれやこれやと、いろんなところで、悲惨な事件が起こりますね。どんな場合も、巻き込まれた被害者・犠牲者、および、その関係者の方は、さぞ、心痛いことでしょう。そして、いつ自分の身に怒ってもおかしくない、自然災害のみならず、人為的な事件や事故、ニュースを見るたびに、世の中、生き辛いなあと思います。 そして、、テヘランは、大気汚染ですか??? 息・辛いですね?! 学校・官公庁が休みというのは、相当なものなのでしょうね。 いくら専門家さんでも、ご自分の健康にも、お気をつけ下さい。。。
Commented by aki at 2005-12-07 23:09 x
なんだか見てるだけでマスクしたくなりました。一酸化炭素ってのはひどいなぁ。大雨でも降ってくれたら・・・あ、でも黒い雨なんだろうか?アメリカでは今石炭が見直されていて、廃棄物を出さない装置を開発して発電所での利用が高まっていると聞きました。
Commented by elderman at 2005-12-07 23:09
宇宙和里さん、ありがとうございます。^^
私は日ごろから喫煙で呼吸器を鍛えていますから、簡単には被害者にはならないと思います。(苦笑) テヘランの一酸化炭素の濃度は非常に高くて、市街地の中心部に半日もいたら気分が悪くなるくらいです。環境基準が9ppmなのですが、20ppmを超えることはこの季節ではよくあります。500ppmで一酸化炭素中毒になってしまいますけど・・・(汗)
Commented by elderman at 2005-12-07 23:13
akiさん、こんばんは。^^
一酸化炭素は目には見えませんが、見えているものは浮遊粉塵と呼ばれるものです。ともに自動車から排出されますから、挙動は同じようなものです。浮遊粒子状物質の濃度もかなり高いはずです。
石炭燃料はその扱いがいろいろ面倒ですから、実用化にはまだまだ難関があると思います。燃料自身に含まれる硫黄、窒素分もあるし、不燃物を除去しないといけないので設備投資も掛かるでしょう。石油が枯渇すればしばらくは代替燃料ということになるでしょうから、対策面は開発する必要がありますね。
Commented by kaze at 2005-12-08 08:17 x
随分ひどい大気汚染ですね。
石油の産油国がそんなに質の悪いガソリンを売っていることが問題です。
古い自動車にしても、国が思い切った政策を出さない限り無くならないでしょう。
こうやって大気の安定層で囲まれることが自分たちの責任を認識するきっかけになるといいのですが。
Commented by japonikk-la at 2005-12-08 09:15
こんなひどい環境の中で生活しなくてはいけないなんて信じられないです。外にでて帰ってくると洋服の襟が真っ黒になるって聞いたけれどもこれじゃあ長生きできなそう。
えるだまさんの助けでなんとか出来ないでしょうかねえ。
Commented by elderman at 2005-12-08 11:08
kazeさん、おはようございます。^^
産油国であることと、良質のガソリンというのは別問題でしょう。イランはガソリンを輸入しているくらいです。自動車のエンジンにしても燃料の質についても解決策は存在していますが、米国の技術封鎖、経済封鎖という外交施策の中で日本からの技術援助には限界があります。イラン人で解決できればいいのですが、自力での技術開発というのはなかなか難しいようです。
Commented by elderman at 2005-12-08 11:13
japonikk-laさん、こんばんは。^^
テヘランは山に囲まれているので気象条件によってはこのようなひどい状況になることがあります。大分改善して来ているのですが、それでも市の中心部で一日を過ごす気にはなれないですね。気分が悪くなります。
米国の技術封鎖政策のせいで日本からの自動車に関する技術援助はできません。こういう点でも米国の外交政策の影響は出ています。飛行機事故でも部品などの点で米国のイランに対する外交政策の影響があると思われます。
Commented by 猫姫少佐現品限り at 2005-12-08 14:49 x
いつもきれいなお写真ばかりなのに、
これが現実ですか??
Commented by elderman at 2005-12-08 14:52
猫姫さん、今回のものはちょっと特別ですね。
いつもこうだったら困ります。(汗) お陰で今日は大気汚染もどこかに吹っ飛んでいったようです。専門家がテヘランに戻ったからかな。(笑)
Commented by untikusai at 2005-12-08 17:36 x
スモッグ、そう言えばありましたね。公害という言葉もその頃出てきました。イランの公害は排ガスによるものですか。それなら日本が良いお手本になれますね。タイやベトナムの排ガスも酷いと聞きます。そして中国も。日本の国民は公害で酷い目にあい、国民の税金でやっときれいになりました。メーカーに負担を要求したいもんです。untikusaiは少々怒っています。(*^_^*)
Commented by elderman at 2005-12-08 17:48
untikusaiさん、そうなんです。
私はその時代の技術者なんで今は外国でその技術移転を図っております。イランの場合、政府は税金で賄われていないし、大きな企業は国営が多いです。日本とは大分事情が違っています。
Commented by anjoy24s at 2005-12-08 20:17 x
eldermanさん、
聞きしに勝るすごい風景ですねぇ。 それでも鳥が飛んでいる。 
Commented by elderman at 2005-12-08 20:26
anjoy24sさん、そうですね。
困ったものです。今日も夕方から大分視界が悪くなって来ています。昨日ほどではありませんが、まだ一酸化炭素の濃度は高そうです。
そのうち飛んでいる鳥まで落ちてくるかな。(汗)
Commented by M-flower5 at 2005-12-09 14:50 x
灰色の空は一年中という生活を東京で経験しております。正月三が日雪や強風で青空が戻ると輝いた景色となります。毎年計測されていましたが決して公表出来ない数値だと聞かされていました。白の自作カーテンにはタイヤからの微鉄粉で錆がつき染まっているのも見ました。都心生活は閉め切って清浄機を置ける人達ばかりではないので、気管などを傷め続けた時代でした。一挙に解決できない事が多いですね。
Commented by elderman at 2005-12-09 14:57
M-flower5さん、そうですね。
日本の空も汚れていたものです。それで私はこの仕事を始めたのですけどね。日本ではいろいろな公害対策が功を奏しましたけど、外国ではなかなかその経験が生かせません。自動車の性能という問題もあるし、時間が掛かります。


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