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2005年 10月 30日

日本人の特殊性(34)自殺の美学

腹切り、神風特攻、心中の美化、戦艦大和の自殺行為、これらはすべて自殺もしくは自決の美学ではないかと思うのです。キリスト教でもイスラム教でも自殺を認めている宗教はないはずなのですが、この日本人の特殊性は武士道から来ることなのかも知れません。

死の美学、死ぬために生きる、こういう観念は日本人特有なのではないでしょうか。勝つ負けるとは関係なくこの価値観が日本人の心にあるということは恐いことだと思います。戦えばとことん最後まで戦い抜く、無条件降伏まで戦い抜いたのはつい60年前にあったことです。

神風特攻の当事者は敵に対して一矢報いるという純粋な精神だったのでしょう。冷静に考えればそれによって戦況が変わるとは言えないものだったろうに、止むに止まれず望んで特攻に志願したのだと思います。生きて辱を曝すより、名誉の死を選ぶ、そういう精神性に思えます。

ジハードと称して異教徒の攻撃に対して立ち向かうイスラム教徒の戦いにも似たものが見られますが、それは美学というよりも天国に行くための手段のように見えます。それでも価値のある死に方をしたいという願望においては日本人の神風特攻と共通するものをみるような気がします。

勝ち目があろうがなかろうが決死の覚悟ですから、これに立ち向かう平常心の敵兵の怖れは非常に大きなものだろうと想像されます。美学ですから、つまり格好がいい、これに惹かれるというのは日本人の国民性ではないかと思います。そこに純粋性、潔癖性を見出すのではないでしょうか。

ちょっと距離を置けば狂信にも見えるこの心の動きですが、日本人の心の底に強く残っているのではないかと思えます。絶叫する首相への人気もその表れかも知れません。損得で考えればアジアの中で孤立する日本というのがいいはずがありません。選挙結果を見て、損得ではない純粋性を感じるのが日本国民なのかも知れないと思いました。

自民党の300議席という結果を見て、熱狂した自分たちを見直しているというのが今の姿ではないでしょうか。政治が生活感覚からはるかに離れた存在になったというのが今回の選挙結果ではないかと思っています。政治家というのは特別な仕事で自分たちの生活からは離れた存在だと思う感覚が人気投票という結果を生んだのではないかとさえ思っています。

世代交代やジェネレーション・ギャップがあると言いながらも、日本人の国民性というのは案外持続しているような気もします。損得よりも美学、それが破滅につながろうと格好がいい方がいい。戦艦大和の自殺行為は敵にむざむざと傑作戦艦を渡したくないという精神的抵抗のようにも思えます。当時の海軍本部は負け戦は当然知っていたはずですから。

心中というのは江戸時代にもてはやされたものですが、究極の恋愛の姿として格好がよかったのでしょう。歌舞伎の影響とは言え、実際に心中を試みた人たちがいるというのですから驚きです。切腹、腹切りは名誉を保った自決ですから、名誉を重んじられたものと言えるでしょう。罪人に与えられる処刑方法の首切りとは決定的に違います。

さまざまな価値観のある国際化の時代、日本人のこの潔癖で純粋を好むという傾向は少し恐い気がします。狂信との差があまりにもないからでしょうか。外国人の目には神秘に映るかも知れませんが、それだけ理解できない精神世界のことと言えるのではないかと思います。

日本人だけが自殺が多いとは思いませんが、物質的にもっと辛い人たちはイスラム教徒ではないかと思えるのに自殺者はそれほど多くはないようです。イスラム教徒は自殺を禁じられているということはありますが、それがどこまで効果があるのかは疑問です。
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by elderman | 2005-10-30 00:17 | えるだま雑記【案内画面】


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