2005年 10月 09日

秘書のおじさんの急死

昨日のことです、オフィスから帰ろうと建物の中を歩いているときに秘書のアツーサの携帯電話が鳴りました。いつもの明るいやりとりではなく、明らかに様子が変です。すれ違う人たちもその異様な雰囲気を察知して奇妙な表情を見せていました。

歩きながら電話をしていましたが、外に出る頃にようやく電話が終わりました。実際彼女は泣いていたのです。私が「誰か近い人が亡くなったの?」と聞くと、案の定、「おじさんが今朝亡くなりました」と言います。電話の相手はアツーサの母親でした。実の弟を亡くしたのですから、電話の向こうで嗚咽していたことは想像に難くありません。

いろいろと話を聞くと、そのおじさんはアツーサの母親の弟です。相当近い親族の急死ということになります。まだ50歳という若さ、心臓発作による急死でした。かなり太っていたと言います。カスピ海周辺に住んでいるにも拘わらず、羊の肉の多食家だったのでしょうか。イラン人にはこういう心臓発作での急死が多いように思われます。

ところでそのおじさんですが、子供が3人いて3人とも大学に在学中とのこと。これは大変です。そのおじさん、公務員を退職しているとのことで国から年金をもらって、なおかつ働いていたことでしょう。

子供たちは結構いい大学(学費が高い)に行っているとのことです。残された奥様は旦那の年金で暮らすことはできるでしょうが、子供たちの学費はどうにもならないでしょう。一番下の子供は大学に入学したばかり、一番上はPhD取得コースとのことで、途中で止めてしまうと修士号も取れないコースのようです。まさに突然の悲劇です。

生命保険について聞くと、イラン人の場合には高額の生命保険という制度はないようで、多額の一時金を得るということもないそうです。バリバリの働き手の万が一に際して何の保証もないというのは心細い話です。元気で生きているうちはそんなことは考えもしないでしょうが、実際問題ありうることです。

日本人の私は今何かの事故で死んだりしたら、少なくとも5000万円くらいの金額は家族に残せるでしょう。公務中、しかも飛行機事故だったら1億円くらいの保証があるかも知れません。こういう万が一の悲劇において何の保証もないというのが発展途上国の悲哀と言えるでしょう。

亡くなったおじさんの3人の子供たちの大学教育がどうなるのか私には分かりませんが、奨学金やら借金という手段ででも無事に卒業してもらいたいものです。親戚のつながりが濃いイランですが、お金のこととなると簡単にどうにかなるものでもないでしょう。

交通事故や心臓発作、これらが無くならない限り、こういう悲劇も存在することになります。厳しい日本の経済状況ですが、こういう悲劇を考えるとさすがに先進国のようです。もっとも生命保険に加入していないと同じ悲劇になってしまうでしょうね。

今回の悲劇とは関係ありませんが、発展途上国の人間の命の安さには驚かされます。ブラジルでは100万円でした。イランも似たようなものでしょう。自動車の方が人間の命より高価であるという事実はなんとも受け入れがたいものです。

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by elderman | 2005-10-09 13:47 | 日々の雑感


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