2005年 10月 08日

技術移転のひとコマ

イラン政府の本庁に活動場所を移して半年以上が経過しました。私はより効果的な技術移転を図るために配属された局からさらに業務の関係する他の局にちょっかいを出し始めたのです。もちろん私の配属された局長、新しい相手となる局長の了解を得ていることは申し上げるまでもありません。

そして先日のことですが、私のセミナーに出席する局長推薦の担当者と初めて面会することになりました。ところが定刻を過ぎても誰も現れません。講師を待たせるなんて一体全体どういう神経なんだといらいらをつのらせていると、予定時刻を遅れること30分、髭もじゃの男性二人がおずおずと執務室に入って来ました。

予定時刻を遅れているので少し不機嫌な表情の私だったと思います。彼らは少しすまなそうにしていました。私は心の中で、ははぁ、一応はすまないという神経は持ち合わせているんだと思いました。私は席を立って、彼らの待つ応接セットに向かいました。二人とも初めて見る顔です。

秘書兼アシスタントのアツーサ、そして一緒に仕事をしている女性がテーブルを囲みます。男3人では緊張感がすごいのでこういう時には女性の参加はありがたいことです。場が和みます。とは言え、私が最初に始めたのは二人の参加者の学歴・職歴調査です。根堀り葉堀り、気分がいい訳はありませんね。二人とも修士課程を卒業していました。え?私ですか?私はただの学士です。^^

セミナーを始めるに際して参加者の学歴・職歴は大変重要です。話を聞いて、セミナーに登場する分野の専門知識について、「ある程度の予備知識がありますね」とまずはジャブを飛ばしておきます。髭もじゃの二人はややむっつり状態です。当然ですね。

そして少し現在やっている実務について質問をしました。これについては熱心に話をしてくれました。問題は秘書が通訳の役割りを忘れて、彼らとの議論に入ってしまうことです。これはいつもの悪い癖でして、なかなか直りません。私が全然話しが分からないっていうのに何で勝手に議論しているんでしょうねぇ・・・ イラン人の性格と言えば性格なんですけど・・・

私は彼らがやっている業務内容についてはあらかじめ多少の知識はありましたが、実際に話を聞くと、私の想像以上に真面目に取り組んでいることが分かりました。こういうところがイラン人の優秀なところだなぁと感心しながらも、話はともかく、さて実態はどうだろうかという疑問は残りましたけどもね。

さて、必要事項のヒアリングが終われば、いよいよ私の番です。焦点を絞って、私のやろうとしている二つの大きなサブジェクトを簡単に説明しました。イラン人というのは話しだけでは反応のないものです。議論とかプレゼンテーションとなると彼ら上手ですから、その土俵では互角以上のものにはなれません。

社交辞令でしょう、彼らは大人です、一応の関心を表明してくれました。この日は、初めて会う相手なので、私は当初からこの日がセミナーの第一回目とは考えていませんでした。まずは相手を知るということから始めることが肝要だと考えているからです。

イラン人というのはかなり立派なことを言います。でも、話の受け答えは結構素直なものです。そういう認識が私にはあるので、今回はまずはざっと私のセミナーを受講すると何ができるようになるのか、手っ取り早くデモンストレーションを見せることにしました。

実は彼らの局から6か月分のデータを受け取ったのは2週間ほど前のことでした。そのデータを使って、必要なあらゆるデータ解析結果を実際にビジュアルな表現で見せました。目の当たりにその結果を見せられた彼らの表情は明らかに変化して来ました。彼らには良く分かることなんですが、見せられたものはそんな短時間にできるものではないのです。

私は、二つ用意するセミナーのこれからの予定を話し、彼らの参加希望を聞きました。すると、彼らは喜んで二つのセミナーへの参加を表明してくれました。どうやら作戦成功です。まず、第一段階突破というところです。

ところが最後に彼らが言うには、次回、ちゃんと時刻に来れるかどうか分からないということです。まぁ、緊急の仕事があればセミナーの開始時刻に間に合わないということは了解できますが、最初にそういうことを釘刺してくるイラン人というのはたいした神経を持っていますね。(苦笑) 私は、そういう場合は事前に連絡があってしかるべきだと言いました。彼らはできたらそうすると言いましたが、ちょっと当てにはならない感じです。(再苦笑)

翌日セミナー参加者の一人が文献を必要としているということで私のところにやって来ました。私は英文の文献(日本製)を渡しながら、ついでに実際のデータ処理を見せてやろうと考えました。彼らが業務としてエクセルを使って手作業で処理しているものです。

私がやったことは、彼らが送付してくれたエクセルの表の一つをコピーペーストして、マクロでプログラムを起動させて、ボタンをクリック。それだけで必要とするファイルができるところを見せました。後の必要なビジュアル出力はセミナーの時に見せたとおりです。見せられた彼は最初びっくりしていましたが、帰り際にボソッと言いました。「今まで手計算していたけど・・・」

こういう感じで、私の技術移転の業務は進められていきます。

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by elderman | 2005-10-08 00:03 | 日々の雑感


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