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2005年 09月 21日

日本人の特殊性(21):派閥

芥川賞を受賞した19歳の錦矢りさ著の「蹴りたい背中」を読んだところです。読書後に感想文でも書いてやろうかと思っていたのですが、どうにもその気にはなれないようです。若過ぎる作家の作品のせいでしょうか。ところがちょっと角度を変えて作品のテーマをみるとこのシリーズのテーマに近いものがあります。

主人公は早熟のせいか頭が良いせいか、同級生のなかに素直に入っていけない苦しみが描かれています。日本人の特殊性とも言える強い仲間意識、連帯感、そしてそれが派閥にもなっていく。仲間になれない人は仲間外れということになり、冷たい視線を浴びる。そんな実社会にも存在するような仲間意識が高校生活の中でも演じられている。

主人公は仲間でいるための努力もくだらないと思い、先生ですら生徒の受け狙いの行動をとるというようなことまで見透かしてしまう。子供だから、高校生だから仲間を作っているというよりも、この構図は大人の社会の縮図のようにも思われます。作者がそこまで意識して書いているかどうかは分かりませんが、一人称で書かれた描写にはかなり鋭いものがありました。

これが日本人特有の仲間意識、連帯感、協調心の強要という世界からの脱却の芽生えということであれば、文部省が近年打ち出してきている「個性を伸ばす」という教育方針が生きて来ているのかも知れません。作品に感動し、同調する中学生、高校生に大きな影響を与える作品という気がします。

日本人は徒党を組み易い国民だと言えると思います。自己主張よりグループとしての発言力の強化を図り、そこで自分の意見を反映させていくという戦略が自然と発達したのかも知れないし、寄らば大樹という安心感のためという消極的な動機もあるかも知れません。ともあれグループの長はグループの代表ということで評価され、発言力を持つようになります。日本人の感性として、人物よりもその人の肩書きがモノを言いますね。その人がどういう人物なのかというよりも、何人の代表なのかというのが発言力の物差しと言えるでしょう。

中東のアラブ人やイラン人は、日本人とはまったく反対で、仲間を組織して行動するというセンス、協調心にまったく欠けています。こちらの人から日本人をみたらとても奇妙に見えるはずです。個人より組織が優先するような心の働きはまず理解されないものでしょう。

そもそも最初から妙な仲間意識、派閥意識がなければ、仲間外れも、それによるイジメも発生しないかも知れません。単なる弱いものイジメはどこの国にでもあるでしょうが、日本の場合は仲間外れとしてもっと陰湿に現れているような気がします。

そう言えば、私も小学生の頃、協調心がないと指摘されたことがあり、不満を感じたことがあります。子供ですからそれは多分一生懸命に清掃作業をやればいいという話なのかと解釈してしていました。自分の意見を言うことのどこが悪いのかという精神はいまでも変わっていませんけどね。この精神で担任の先生に協調心がないと言われるなら、今では逆に文句を言ってやりたい気分です。

そういう精神ですから、私の子供頃には仲間意識を持つということはあまりありませんでした。自分が輪の中なのか外なのか、そんなことは無頓着でした。しかし、働いてからは事情は変わりました。仕事では情報が大事だし、しかも良質な情報を必要とします。そして、効率的な業務の遂行という意味においても派閥の意味を認識するようになったのです。もちろんイジメのための派閥ではありませんが、中に入れない人たちというのは、複雑な心境でいたことでしょう。

日本では普通飲み会というとどういう人の集まりなのかを明確にする配慮をします。そうでないと誰かからどうして自分が呼ばれないのかといういちゃもんが付けられ問題が起きるからです。ところが私の意図した飲み会では敢えて派閥に名称を与えず、メンバーリストも作りませんでした。恣意的にメンバーを選んで声を掛けるという恐ろしいものです。日本的な妙な配慮はしないという意思の表れと言えるでしょうか。

私が直接メンバーに声を掛けていた訳ではないのですが、強面(?)の私のところに文句を言ってくる人は最初から最後まで一人もいませんでした。ということで私が日本で現役当時は派閥の幹事長のような役目をしていたことは否定できません。表面的には気まぐれな飲み会なんですが、部全体を巻き込む大きなグループになりました。

飲み会ですから、アホな上司の悪口や人事の話など、酒の肴にはことを欠きませんでした。欠席すると悪口を言われると冗談を言うメンバーもいました。サラリーマンの典型的な飲み会の姿でしょうか。それでも、たまには真面目に環境行政がどうあるべきかも論じたものです。
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by elderman | 2005-09-21 06:01 | えるだま雑記【案内画面】 | Comments(8)
Commented by 宇宙和里 at 2005-09-21 08:25 x
ひきつづき、おはようさんです。飲み会については、判りませんが、日本人って、海外で生活していても(駐在と言う意味です)、子供たちは、異質なものを(同じ日本人の中で)排除しようとします。というか、表面は仲良く(?)しているようにみせかけていても、実は、はずしている・・・。親の影響なのか?日本人の特性なのか?娘を見ていて、”個”が生きにくい世界だと思いました。「蹴りたい背中」は、読んでいませんが、共感する若者がいるとしたら、喜ばしい>>大きな影響を与える>> となるか、そうは思っていても、見て見ぬふりをする「赤信号みんなで~」のままでいくか、まだわかりませんね。私も、通信簿には、「協調性」だけは◎つきませんでした。約10年前、「出身母体はどちら?」と聞かれて、はてな?と思った私は、やはり組織や派閥を背負うタイプじゃないみたいです。(余談:ケリー 対・たい ブッシュの 背中、というジョーク、出ましたよね~^^~。)
Commented by elderman at 2005-09-21 12:22
宇宙和里さん、こんにちは。^^
異質なものの排除は今回の衆議院選挙でやっていいものだという性格を帯びたようですね。それが政党政治だと言えば聞こえはいいですが、個人個人が違う意見を持つのは当然のことだと思います。調和させるよりぶっこわすという現在の風潮、しばらくは続きそうです。しばらくは静観しているよりなさそうです。(苦笑)
Commented by japonikk-la at 2005-09-21 14:33
そもそも、個性って何なのか私には今ひとつ分からないです。でも個性重視のあまり自己中心的な自分勝手な人間を作る事にならなければなあという懸念はあります。ところで、イラン人の協調性が無いコメントを見ますが、私は最近こういうコメントを見るまで全く感じた事がなかったので驚いているんですよ。イランの外交はそう思うけど、個人個人を見る限り、すごい団結してお互い助け合って仲も皆すごく良いし。それとも、私の感覚がおかしいのかなあ?
Commented by elderman at 2005-09-21 14:51
japonikk-laさん、こんばんは。^^
親戚関係だけを見ているとそういう印象かも知れませんが、組織となるとガラリと様相が変わります。省庁関係は表面上は仲良くしているように見えても実態はほとんど敵対関係にあったり、省庁内部でも部局が違えば横の関係はなく、担当者それぞれが好き勝手に仕事をしています。
喧嘩はしたくないからか、他人に干渉しないので組織の仕事とは言え、結果はバラバラ。足並みが揃うまで会議、会議の連続です。民主的とも言えますが、いつまでも結論は出ないし、やりたくないものはいつまでも放って置かれます。歴史的背景があまりにも日本とは違うからでしょう。
Commented by aki at 2005-09-21 14:58 x
今まさにそのいわゆる独特の古いサラリーマン体質の中でいじめられてます。それまでの女性が発言権を持つ職場と違い、戸惑うことが多く、
無念にも実力が発揮できないのが現状。女の子らしく「ハイ、ハイ」と
おとなしく言うことを聞く新人はかわいがられ、ライバル社のコールセンターあがりの私にはまともな教育すらしてくれず、「自分でやれば」。
やっぱりここは昔からのサラリーマン組織。女性に男性と同じ仕事をさせ給料に差もないけど、それでも女性に対しての態度には紳士的な態度が明らかに欠如してます。コールセンターではありえなかった言葉が平気で出てくることに驚きます。
Commented by elderman at 2005-09-21 15:11
akiさん、そうですか。
困った職場に転職されたようですね。お話からはすごく旧体質を持った会社のように感じますが、akiさんは実力主義を期待して転職されたのでしょう。実力を発揮できるようにしてくれないというのは会社としても損失のはずなんですが、みんなで競争しているがゆえに仲間の成長を助けないのでしょうかね。なかなか厳しいスタートになってしまいましたね。そこに持ってきてアクシデントもありで、波乱万丈ですね。休養しながら鋭気を養ってくださいな。そして、「今にみておれ~」かな。^^
Commented by じゃんぼおかん at 2005-09-22 00:00 x
私は自意識過剰のいやな子供だったのですが、かといって一匹狼的なのもいや。なので、みんなに合わせたいけどボロが出るというひねくれた子供時代でしたね。
でも、基本的に、人間って自分と異質なものに対して、いじわるするのが楽しい生き物ですよね。(知性、教養でその気持ちをうまくセーブしてる人は多いと思いますが)
Commented by elderman at 2005-09-22 00:10
じゃんぼおかんさん、こんばんは。^^
確かに一匹狼でいることは子供心にはつらいでしょうね。しかも、みんなに合わせることはいいことだというように教育されるしね。(苦笑)
自分とは異質なものには抵抗したくなるのは当然でしょうね。子供心ではそこから面白いものを発見できるなんて知恵を持つことは難しいでしょう。「ちっ、嫌なやつ・・・」というのが本音でしょう。(笑)


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